かかりつけ医機能、個々の医療機関の頑張りではなく、地域で必要な機能を補完しあうことをコンセプトに。

11/29/2022

オープン情報 外来診療 患者 経営 地域医療構想 地域包括ケアシステム 慢性期

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 かねてより議論されてきた「かかりつけ医機能」について、令和4年11月28日に開催された第93回社会保障審議会医療部会にて、厚生労働省からの提案が示された。財務省などが強く主張してきた、認定・登録制については今回は見送り、まずは地域住民に対するかかりつけ医機能を有する医療機関情報の提供を充実させる方針となった。今後は、社会保障審議会医療部会において、制度整備の基本的な考えを年内にとりまとめ令和5年の通常国会に医療法改正案を提出、令和6年度から医療情報提供制度(医療情報ネット)のフォーマットを見直すと共に、各地域の協議の場(地域医療構想調整会議など)で各医療機関から報告を受け、医療情報ネットを通じて地域に発信していく、という流れとなることが想定される。ここで重要なのは、協議の場。多くは地域医療構想調整会議になると思われるが、近年の診療報酬では総合入院体制加算において地域医療構想調整会議の合意の文字が入るなど、そのプレゼンスが高まっていることに改めて注目したい。これまでは、入院医療の話し合いの色合いが強かったが、外来機能報告制度の開始もあり、医療提供体制全般についての話し合いの場として重要な意味を持つ。また、医療費適正化計画では地域別診療報酬を作ることも法律上可能となっていることから、今後、その地域の実状にあった診療報酬の設定などできる環境整備が進められているとも個人的に感じている(参照:医療費適正化に向けた議論を確認 ~後発医薬品の推進、入院から外来診療への移行の促進など~)。


今回、厚生労働省から提示されたかかりつけ医機能の考え方について、資料を基に確認していこう。

ポイントとしては、かかりつけ医機能の定義付けと地域住民へのわかりやすい情報提供の在り方の2つ。

前者については、地域医包括診療料/地域包括診療加算や機能強化加算がイメージされたものとなっているが、協議の場を通じて地域の実状にあわせて、不足する医療などを補完するための方策についても触れられている。これは、外来医療計画との連動を意識しているといえる。

後者については、医療情報ネットをもっとユーザーである国民・地域住民視点で活用してもらい、かかりつけ医機能を有する医療機関探しと選択に使えるものとしようということ。



協議の場となる地域医療構想調整会議のプレゼンスが高まっているとお伝えしたが、実際にその場でかかりつけ医機能に関するどういった話が行われるのか、そのモデルも提示されている。5つのかかりつけ医機能である「外来医療の提供」「休日・夜間の対応」「入退院時の支援」「在宅医療の提供」「介護サービス等と連携」を星取表のように整理されている。ここでわかるように、現在想定されているかかりつけ医機能とは、単独ですべてを担うものではなく、地域の複数の医療機関で機能を相互補完しあうもの、ということだ。


今後に向けては、国からも様々な研修の機会の提供や診療報酬上の適切な評価についても意向が示されている。地域医療連携推進法人の新類型の設立についてもここに盛り込まれ、国がやるべきこと、地域でやるべきことが明確にされてきている(参照:個人立医療機関も参画できる地域医療連携推進法人の新類型を検討へ)。


今回提示された内容からいえることは、個々の医療機関の頑張りに期待するでのなく、相互補完で地域医療・地域住民を守る体制を地域を挙げて作り上げる、というコンセプトだとわかる。そのために国や地域ができることの役割分担も示されている。ここの医療機関にとっては地域に対するわかりやすい情報提供・発信力が重要になる。

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