地域医療構想を巡る最近の話題を整理 ~重点支援区域、独法化と指定管理者制度、アマゾン~

11/24/2022

ニュース解説 経営 地域医療構想 地域包括ケアシステム

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 重点支援区域、とは地域医療構想を推進していくにあたって、都道府県から国に対して支援の要請をおこない、国からの技術的支援・財政的支援を受ける構想区域になる。技術的支援とは、地域医療に関するデータ分析やステークスホルダー間の調整など。財政的支援とは、地域医療介護総合確保基金の優先配分や病床機能再編支援で手厚くフォローするというもの(参照:令和6年度に向けた地域医療構想を含めた医療計画の議論の現在点と病床機能再編の今)。これまで、以下の構想区域が選定されている。


・宮城県(仙南区域、石巻・登米・気仙沼区域)

・滋賀県(湖北区域)

・山口県(柳井区域、萩区域)

・北海道(南空知区域、南檜山区域)

・岡山県(県南東部区域)

・新潟県(県央区域)

・佐賀県(中部区域)

・兵庫県(阪神区域)

・熊本県(天草区域)

・山形県(置賜区域)

・岐阜県(東濃区域)

・新潟県(上越区域、佐渡区域)

・広島県(尾三区域)

・山口県(下関区域)


先日、滋賀県湖北区域における状況について報道があった。2つの市立病院と日赤病院の診療科再編に伴って、経営の一体化を検討するための委員会の初会合だ。


参照)経営一体化の手法で主張平行線 長浜3病院再編の検討委が初会合(中日新聞)


一体化についてはある程度理解されているが、独立行政法人方式(市立病院側)か指定管理者方式(日赤側)かで議論は平行線であるとのこと。令和5年6月まで協議を行い(5回の予定)、同年9月に最終判断となる。

ところで、独立行政法人方式や指定管理者方式をはじめ、公立病院の経営手法について様々な方式があるので整理した。




地方独立行政法人方式には公務員型と非公務員型があること、指定管理者方式では施設の設計などまで含めるとPFI方式になるなど細かな注意点があるが、地方独立行政法人化や指定管理者方式化を選ぶということは、議会の議決は不要となり、さらに、単年予算から複数年予算になることによる経費削減のメリットなども出てくるため、取引をする企業にとっては影響も出てくる。また、身分が公務員ではなくなるため、人件費を見直すこともできる(ただし、すぐには給与水準などの変更はできないので、中長期的に取組むこととなる)。東京都立病院と公社病院も本年7月より地方独立行政法人となった。

その一方で、重点支援区域ではないが、先日、名古屋市立緑市民病院が今年度末で終了する指定管理者制度をそのまま終え、名古屋市立大学附属病院となることが明らかにされている。名古屋市立病院は東部医療センターと西部医療センターはすでに本年4月に名古屋大学附属病院となっており、緑市民病院を加えると約2千床という大規模なグループになる。


参照)名古屋市立緑市民病院、23年4月から名市大付属病院に(朝日新聞)


同じ愛知県ではかねてから話題のアマゾンのヘルスケア参入に関連してか、藤田医大病院のPHR基盤構築で提携することが発表されている。藤田医大病院は地域医療連携推進法人尾三会の中心でもある。今後のアマゾンによるヘルスケア業界での取組の一つとして注目が集まる。医薬品の配送などまでかかわってくるのか、注目したい。


参照)藤田医科大学、PHR 基盤を AWS 上に構築(AWS)


地域医療構想は2024年度末が当面のゴールとなっている。今後も各地で、公立病院・医学部を持つ公立大学や私立大学を中心に大きな再編が起きてくるだろう。

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