今後の社会保障政策の方向性を検討している「全世代型釈迦保障構築会議」。やはり気になるのは、「かかりつけ医機能」に関する認定制度。その必要性は誰もが認めるところだが、様々な立場からなかなか明確な方向性が定まらない。有力な考えとしては、かかりつけ医機能に関する要求水準を決め、その要求水準を満たす医療機関の中から必要に応じて患者が任意で決める、というもの。11月末にも公表される財務省「秋の建議」なども踏まえ、今後の動向は引き続き注視しておきたいが、基本は診療報酬でいうところの「機能強化加算」の要件がかかりつけ医機能の要求水準と近くなると考えられる。結論はまだわからないが、かかりつけ医機能を志向していくのであれば、「機能強化加算」の届出を意識していくことが必要になるだろう。
ところで、今回の第8回の会議で気になる議論として一つここで紹介したいのが、社会保険(厚生年金・健康保険)の適用者拡大について。従業員数101人以上の事業者で、週20時間以上の労働、月収で88千円以上であれば社会保険に加入することとなる(これが106万円の壁といわれるもの)。なお、従業員数が100人以下であれば130万円の壁となる。これからの壁を下回ることで扶養の範囲に入る。上回ると、社会保険料の負担が発生するが、将来の年金受給額は増えることになる。事業主としては、社会保険料は負担を折半するため負担が増える。じつは、この社会保険料については、すでに令和6年10月に従業員数51人以上へと引き下げることが決まっている。扶養を外れる、事業主の負担が増えるということだ。そして、今回の会議では令和7年以降、従業員数の要件を撤廃し、週20時間未満の労働や複数の事業所で働く人でも労働時間を合算して20時間以上になる場合で年収55万円以上(給与所得控除額の最低保障額)までの引き下げを具体的に検討することを明らかにしている。55万円の壁になる可能性が出てきたということだ。