人口減少時代に迫られる選択と決断~200床以上か未満か、住民と医療従事者の高齢化への対応をどうするか?~

1/25/2024

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令和6年1月24日、厚生労働省にて「第3回 かかりつけ医機能が発揮される制度の施行に関する分科会」が開催され、各構成員からのプレゼンテーションが行われた。今年夏の議論の取りまとめに向けてこれから本格的な議論が始まる(参照:「かかりつけ医機能報告制度」、令和7年度からの開始に向けて議論が始まる)。


かかりつけ医機能報告制度は令和7年度からの開始だが、令和6年度診療報酬改定では先んじて環境整備をするかのようにかかりつけ医機能及び慢性疾患の患者に関する対する評価の在り方を見直すことになる。中でも注目を集めているのは、生活習慣病管理料と特定疾患療養管理料の住み分け、長期処方に対する評価の拡充と薬局薬剤師による服薬フォローだろう。



その生活習慣病管理料と特定疾患療養管理料は、一般病床200床未満の病院及び診療所での算定できるものだ。一般病床200床以上及び紹介受診重点医療機関は専門領域や重症度・緊急性の高い患者の対応を、一般病床200床未満の病院・診療所はかかりつけ医機能及び慢性疾患の継続診療を、という大まかな役割分担が示されている(地域によっては医療資源が限られており、病院が全て担うことなどもあるので、必ずしも一般病床200床未満となるのが良い戦略だとは言い切れないことをご理解ください)。

1月24日付の「新潟日報」で「新潟県厚生連糸魚川総合病院、4月に病床数199に削減 人口減り稼働率低下、「診療科は減らさず雇用も維持」」という報道があった。人口減少や医療従事者の働き方を踏まえての決断だが、今後、一般病床200床~300床規模の病院では同様の意思決定が迫られてくる時期がやってくる。一般病床200床未満となることで、令和6年度診療報酬改定でさらに厳しくなるであろう重症度、医療・看護必要度における重症者割合を引き上げること(入院患者の分母が下がる)で入院料を維持することや病棟に配置していた看護師等の医療従事者を在宅医療部門を新設するなどして異動したり、既存の病床機能の転換を目的に手厚い配置にすることができる。そして、在宅療養支援病院及び地域包括診療料の届出、先に述べた生活習慣病管理料等の算定も可能となる。より地域に接近することになる。そこで今後、特に期待されるのは、地域のかかりつけ医機能を有する医療機関のバックアップ。中でも緊急往診等の対応を含む在宅医療への対応だ。JMAPでみると、内科系診療所は全国平均と比較しても多いものの、在宅療養支援診療所はやや少ない。その一方で薬局はやや多いので、薬局薬剤師との協力(訪問や服薬フォローなど)を引き出すことが重要になってくると考えられる(参照:受診頻度が下がることで起きることは? 入院に至らない救急車の利用に選定療養費という地域も~地域医療としてできる対応策を考える~)。地域の医療資源を有効活用していくことで、各医療機関・薬局にもインセンティブが発生し、負担の分散にもなる。


病院自らがかかりつけ医機能を担うこと、そして地域のかかりつけ医機能を有する医療機関のバックアップを担うこと、競合/競争ではなく、協業/共創となるような関係であることが理想だ。人口減少が進む地域だけで地域だけではなく、今後、都心部においても経営合理化や役割分担の明確化の一環で起きてくる。都心部ならではの対応が必要になってくる。病床機能の見直しや病床削減は地域の他の医療機関、地域住民にも何らの影響を及ぼすことになる。地域の理解と安心を得るための取組も合わせて取組んでいく必要がある。


同じ1月24日付の「朝日新聞」で「山梨大病院に初期救急医療センター、5月開設へ 夜間の軽症者に対応(Yahoo!ニュースで閲覧できます)」といった報道があった。地域住民の高齢化は例外なく医療従事者の高齢化ともリンクしているもの。令和6年度診療報酬改定では「下り搬送」がキーワードとなっている(参照:下り搬送の評価の方向性が明らかに。集中治療室での負担軽減と医療の質の維持にTele-ICUの利活用の評価を検討へ。)。地域の実状に合わせて、基幹病院にも迅速な変化・対応が必要になってきている。令和6年度診療報酬改定は、こうした動きを後押しすることになりそうだ。

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