リフィル処方箋の推進、その先にある世界

4/14/2022

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 2022年4月13日、経済財政諮問会議と財政制度等審議会でリフィル処方箋の推進が議論となった。


非正規労働者への支援充実、"リフィル処方箋"推進など民間議員から提言(政府・経済財政諮問会議)

今月導入の「リフィル処方箋」など議論 財務省審議会


リフィル処方箋とは反復利用できる処方箋と言われるもので、日本では本年4月より導入された。具体的には、1回の受診で最大3回まで受診せずとも薬局で処方薬を受けとれるというもの。ただし、対象となる薬剤は決まっている(参考:2022年度診療報酬改定で導入されたリフィル処方箋の「対象外候補薬品リスト」DATA iNDEX))。



患者にとっては、1回の受診だけですむため、身体的にも経済的にも負担が減るメリットがあるが、デメリットとしては検査などの回数が減るなど診療回数が減ることで、自覚症状がなけば重症化が進んでしまうことなどもありうる。

医療機関にとっては、外来の混雑解消と診療する医師の負担軽減に、また感染対策としての密回避に役立つ。デメリットしては、医業収入が減収となること、対面診療の機会が減ることで処方の切替のタイミングなどがわかりにくくなることがあげられる。なお、1回あたりの処方は29日以下でなければ、減算規定の対象となる(紹介率・逆紹介率が一定水準を下回る病院の場合。診療所は対象ではない)そのため、実質3か月処方のようなものになっているため、3か月処方と何がちがうのかとよく聞かれることがあるが、定期的な薬局薬剤師による確認が入ることで重症化予防のリスクや受診が必要なタイミングを逃さないことにメリットがあるといえる。

行政についても考えてみると、受診回数の減少に伴う医療費抑制がメリットとしてあげられるが、ここでも患者の重症化リスクが上がることの懸念もある。

そこで、重要になってくるのが薬局との連携になると考えられる。

リフィル処方箋の他にも、オンライン診療、在宅医療と患者が自宅を基点とした診療の場となるケースが今後も増えてくる。そう考えると、そもそも医療機関に行く回数も減るが、医薬品を受けとるために薬局には足を運ぶか、配送してもらう。その場合の薬局は、自宅近くの街中薬局になるのではないだろうか。

いづれにせよ、薬局薬剤師からの服薬指導は受けることになり、医師と違って会う回数は従来通りで変わらない。さらに、一昨年前の薬機法改正に伴い、薬局薬剤師には必要に応じた服薬フォローが義務化されていることを考えると、リフィル処方箋・オンライン診療・在宅医療においては、医師に代わって薬局薬剤師が服薬フォローを通じた状況確認をして、適宜処方医に連携(服薬情報提供料を算定可)し、場合によっては受診勧奨を促す必要がある。特に、日用品を扱うドラッグストア併設型薬局等や駅近くの薬局等では、病状が安定している勤労世代や主婦層でリフィル処方箋を利用する患者が多くなるのではないだろうか。

患者の口からリフィル処方箋の希望があれば、医療機関としても病状が安定して、対象外の医薬品でなければ断ることは難しいのではないだろうか。それであれば、リフィル処方箋やオンライン診療で長いお付き合いができる関係作りを意識して、ゆくゆくはかかりつけ医機能も視野に入れていくことが望ましいように感じる。既に人口減少社会に入っている現状では、新たに来院患者を増やすことは難しい。だからこそ、薬局等と連携を深めて、医師以外の専門職者が患者を確認して、必要に応じて処方を切り替えるなどの対応ができる地域でのチーム医療の体制を作ることがこれからの時代に合った取組のように感じる。

そして、よくよく考えてみると、「患者のための薬局ビジョン」はそうした世界を見据えて作られていたのだと感じる。だからこそ薬局薬剤師は、次のステップとして患者への日常への超接近が重要だ。

改めて読み返し、基本姿勢に立ち返るための「患者のための薬局ビジョン」

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