精神科領域の地域医療構想と地域包括ケアシステムの考え方

4/07/2022

r4診療報酬 精神科 地域医療構想 地域包括ケアシステム

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 地域医療構想とは、一般医療における考え方をベースにしている。精神科医療については、また別の地域医療構想と地域包括ケアシステムの考え方がある。

精神科領域においても一般医療と同様に、入院医療においては急性期・回復期・慢性期と病期に応じた病床の分け方がある。

精神科入院医療は、長期入院の傾向にある。ただ、それが一概に悪いというわけではなく、必要があって1年を超えて入院する患者もいる。そこで、1年を超えて入院する患者に関する基準として「重度かつ慢性」というものがある。

精神科領域では退院後のフォローをする家族や地域社会の姿勢といった受け入れ側の問題もあり、早期退院は難しいのが実状だ。前回の診療報酬改定でもその課題を解決するために、精神科の退院時共同指導料を創設したが、対象となる患者少ないなどの理由もあるが、なかなか進んでいないのが現状だ。私も以前経験したことだが、退院前にご家族にもっと入院させてほしい、とか、飲み薬の量と種類を減らしたことをお伝えしたところなぜなんだ?それで大丈夫なのか、など強く迫られたこともある。とはいえ、入院期間が長いということはそれだ医療費もかかっていることであり、社会復帰がますます困難になってしまう。

そうした実状もあってか、最近よく感じるのは精神科に入院している中で高齢化が進み、精神疾患よりも高齢化に伴う神経筋疾患やそれに伴う介護の問題が顕著になってきつつある精神科病院も少なくないことだ。近年の医療政策は、精神科も含めていかに在宅復帰を推進し、日常は在宅・時々入院の世の中を作ることが目的になっている。退院を促進することは、確かによいことなのだといえるが、病院経営としては病床が空くことは売上・利益が減ることを意味する。だから、早期に病床埋めていかなければならないが、なかなか埋まるものではない。精神科領域では入院の長期化が身体疾患・介護に関する問題の方が大きくなろうとしているわけだ。

そこで、病棟をグループホームや介護保険の適用となる介護医療院への転換を考えるといおう話をよく耳にする。退院先がないのなら、病院自らが自宅になるともいえる取り組みといえ、病床を埋めることにつながる。ただし、保険が医療保険から介護保険にかわる点に注意が必要であることと、介護保険事業計画にあったものでなければならない。

今後、精神科領域においては、専門領域とはまた別に、認知症を含めた介護の対応ができる病院や神経難病等の身体的医療依存度の高い患者を診ることができる病院などといった具合に系統が分かれてくるのではないかと思う。ただ、精神科領域と一般医療領域での地域包括ケアシステムの考えを比較すると、もっと工夫が必要だと感じる。

一般医療領域の地域包括ケアシステムとは、日常は在宅・時々入院で住み慣れた地域での看取りがゴールといえる。一方で精神科領域はというと、障害や疾病を持ちつつも社会で生産性のある働き方や生活が求められる。すなわち、地域社会に貢献する貴重な労働資源ともいえるわけであり、精神科領域においては治療から再発しないように一日でも長く生活していくことをサポートしていくことが必要となる。令和4年度診療報酬改定では、そうした精神障害者の通院治療において、精神保健福祉士や心理士の配置等を通じて、再発・再入院を防ぐ取り組みが強化されている。そのため、地域包括ケアシステム、という表現よりも地域共生社会という言葉の方がしっくりとくる。

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