療養病床がおかれた環境と今後① ~介護医療院という選択肢~

6/29/2022

ニュース解説 介護保険 経営 入院医療

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 3か月ごとに公表される介護医療院の施設数及びベッド数について、2022年3月時点の状況が公表された。前回が2021年12月時点だったが、そこから15施設の増加。診療報酬改定の対応などもあって、動きが取りづらかったのかもしれない。令和3年度介護報酬改定で移行定着支援加算が廃止されたことも影響していることだろう。


介護医療院は、介護保険施設である。2024年までは介護療養型医療施設は存続、さらに医療保険適用の療養病棟入院基本料の中で要件を満たしていない経過措置型療養病棟も同じく2024年までは存続することから、これらの病床の有力な転換先となっている。


療養病床についての基本的な理解だが、療養病床の根拠は医療法になる。その療養病床には、医療保険適用のものと要介護認定を受けている方の介護保険適用のものの2種類がある。医療保険適用の場合はADLや医療依存度によって入院料が変わるもので、入院期間に縛りは無いが、在宅復帰してもらうのが基本的な狙い。介護保険適用の場合は、医療依存度が高く在宅の対応が困難な利用者を対象とするため、在宅扱いとなる。



医療保険から介護保険へ変わることで、介護医療院は医療計画ではなく、介護保険事業計画での対応となる。自治体にしてみれば、医療保険だった施設が介護保険適用になることで、負担も増えることとなり、悩ましいのも確か。また、都心部などはすでにそうなのだが、すでに要介護認定を受ける高齢者数がピークに達しているところもあり、これからの転換には慎重にならざるを得ない。なぜなら、後戻りはほぼ不可能だからだ。地域の実情、人口の変化も考えながら慎重な対応が必要となる。また、近隣の医療機関の環境変化に合わせることも重要だ。一昨年前になるが、とある県において、大規模急性期病院の移転に伴い、その周辺にある医療機関が急性期機能の縮小や介護医療院への転換を意思決定したということもあった。患者だけがお客さんではなく、急性期病院もお客さんを紹介していくお客さん、という考え方に立ったものだともいえる。


厳格な施設基準、そして基準病床制度、さらに地域医療構想。後戻りするのがむずかしい時代で、療養病床、特に経過措置型と介護養病床には期日が迫っている。一方で、医療保険適用の療養病床も、従来以上に医療依存度の高い患者を受け入れる取組や看護師の負担軽減のためにも患者の自立支援に向けた体制作り、急性期病院以外からの受け入れルートの確保なども考えていくことも必要となる。

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