地域包括委医療病棟の要件を緩和。将来的に急性期一般入院料1以外との整理に向かうことに。看護配置の柔軟化に対する議論と看護マネジメント力を推進する評価設計へ
令和7年11月5日、第624回中央社会保険医療協議会 総会が開催され、包括期入院・入退院支援・看護職員の配置基準と負担軽減、がん・難病・透析・緩和ケアについて議論されている。ここでは、包括期入院・入退院支援・看護職員に関する議論についてポイントを確認し、がん等については論点の紹介としたい。
なお、本ブログでは主に診療報酬についてお伝えしているが、その他の医療制度の話題については、noteで「医療政策ニュースのつぶやき」として、端的にポイントだけをご紹介するようにします。合わせてご利用ください。また、本ブログをはじめ、ポッドキャストの更新情報はBlueskyもしくは、本ブログのサイドバーにあるfacebookをフォローしてご利用ください。
医療政策ニュースのつぶやき
HCナレッジ合同会社のBluesky
地域包括医療病棟、ADL低下患者割合と平均在院日数の要件を緩和の見通し
今回の議論で注目したいのは、急性期一般入院料2-6と地域包括医療病棟の様々比較が髄所にみられ、将来的な一本化(急性期一般入院料1以外を地域包括医療病棟へ?)を志向していることが垣間見える点だろう。たしかに、入院患者は似通っているが、当然ながら地域包括医療病棟の場合は、高齢患者割合がよい高い。そのため、ADLの維持向上は難しく、在院日数は長くなりがちだ。
こうした観点、そして将来的な急性期一般入院料~のスムーズな移行を意図してか、ADL低下患者割合と平均在院日数の要件を緩和する方向で議論が進むことになりそうだ。急性期一般入院料1以外の病院としては、中長期的に対応を検討し、セラピストや管理栄養士といった貴重な人材を確保することを考え、必要によっては早めに対応していくことも選択肢になるだろう。また、地域包括医療病棟と他の機能を有する病院においても、病床規模も踏まえて、一本化することや、将来的に機能を転換することを見据えて一時的に機能を有することなども考えておきたい。
地域包括委医療病棟、ならびに地域包括ケア病棟に共通した課題として、手術を必要としない緊急入院患者の包括内出来高点数が高くなっている(コスト高)ことも改めて示されている。その一方で、特地域包括ケア病棟では手術有の予定入院の場合に比べて手術有の緊急入院が包括内出来高が高くなっていることも示されている。
手術の有無による緊急入院の場合と予定入院とで、包括範囲に関する見直しや検査等一定点数以上の加算評価などが検討されそうだ。
それから、包括期入院については、救急搬送の受入れ実績や後方支援機能としての実績を施設基準に盛り込むことも検討されようとしている。この場合の実績は、病院としての実績となる見通しだ。新たな地域医療構想ではじまる医療機関機能報告におけ指標にもつながることをイメージしているといえる。
参照:緊急入院/高齢者救急、協力対象施設入所者入院加算の実績等で看護必要度の評価を底上げする見直しを検討、高額薬剤の使用を理由としない入院受入をどうするか? など
そうした議論の中で、在宅療養後方支援病院と協力対象施設入所者入院加算に関して整理・統合について検討されているように見られる資料がある。
在宅療養後方支援病院は、在宅医療を提供する医療機関の支援機能、協力対象施設入所者入院加算は施設との契約による直接的な受け入れと平時の連携という違いがある。個人的には、整理・統合は必要ないようにも思うが、強いて言えば、在宅療養後方支援病院を中心としたカンファレンスの定期開催などあってもよいかもしれない。ただ、外部とのカンファレンスが増えてくることで、業務負担が重くなることもありうるので、他のカンファレンスとの合同開催などの合理化は必要になるだろう。
もう一点、注目したいのが入退院支援加算を包括範囲から除外する可能性がみえることだ。急性期一般入院料からの退院の多くは、在宅となっているが、包括期の場合は、施設や他の医療機関など様々で担当者の負担も重い。療養病棟においても同様だが、病床の機能に応じた入退院支援の要件の見直しなども注目点だ。
その他、地域包括ケア病棟に関しては、管理栄養士の配置が少ないことが課題となっていることから、栄養管理に関する評価を包括外にすることや点数を引き上げた上で管理栄養士の配置を評価することなども考えられそうだ。
また、包括期入院における高額薬剤の仕様についても前向きに検討されていることがわかる。現在でも包括対象外となっている薬剤があるので、その対象の拡充と、回復期リハビリテーション病棟も地域包括ケア病棟と揃えていくこととなりそうだ。
なんとなくだが、今回の包括期入院に対する議論を見ていると、将来的に急性期一般入院料からの移行をしやすくするための環境整備のようにも見えてくる。実際に、急性期病床と併存になっている病院が多くなることについての議論も厚生労働省から要請されている点に注目しておきたい。
入退院支援加算、退院困難な要因に2つの追加へ
入退院支援加算について、これまでの入院・外来医療等の調査・評価分科会の議論において、新たに身寄りのない患者と、要介護区分の変更申請が必要と判断されるを追加ことが検討されていたところ。どうやら、こちらは追加ということになりそうだ。
その他、精神科入院退院支援加算の専従者と兼務できるようにすること、市町村が実施する在宅医療介護連携推進事業等による地域の医療・介護関係者の協議によって策定された「入退院支援ルール」に基づいて入退院支援を行った場合の評価など議論されている。
また、地域医療連携クリニカルパスを評価する地域連携診療計画加算について、診療情報提供料では加算評価されている検査・画像情報を添付して情報提供した場合の評価が地域連携診療計画加算ではないことについても議論が要請されている。かかりつけ医機能報告の2号機能においても地域連携診療計画加算の実績は求められることもあり、より質の高い連携と評価を見越してのことと考えられる。電子カルテ情報共有サービスでは画像データは共有されないこともあり、加算評価は必要だと考えられる。
看護師の確保・人員配置について、看護部門のマネジメント力を高める支援の評価も
これまでの議論では、看護師の確保がますます難しくなることを踏まえた対応策について議論が求められていた。夜勤手当がここ10年以上横ばいになっていることもあり、増額できるような評価体系にしていくことになるだろう。ただし、総合入院体制加算等で求められている「看護職員の負担の軽減及・処遇の改善に資する計画」を整備していくことなどが要件となりそうだ。
また、ハローワーク・ナースセンター(無料職業紹介)や適正認定事業者を活用する等により、平時から看護職員確保の取り組みを行っているにもかかわらず、「やむを得ない事情」によって一時的に看護職員確保ができない場合において、施設基準の配置を柔軟化することについても議論されている点に注目をしたい。重要な点は、「適正認定事業者」を活用しているという点だろう。昨今の人材紹介手数料が高額になっていることに対する対応策といえる。
労務管理の観点もあってか、看護業務の質の高いマネジメントが重要であることを踏まえ、看護の管理能力を向上する取組を促進することに対する評価の検討も要請されているのは注目されるところ。看護部長だけではなく、看護師長クラスにおいても一定のカリキュラムを修めることなどを基本診療料やベースアップ評価料に組み込むなど有力ではないだろうか。
その他、様式9の見直し(病棟内での短時間のオンライン研修受講や、通常の医療で必要な病棟外での業務等について、入院患者の看護に影響のない範囲で勤務時間に算入できるよう追加するなど)の整理、「見守り」「記録」「医療従事者間の情報共有」といった全ての類型のICT機器を活用をする場合に、入院基本料等に規定する看護職員の配置基準に対しての柔軟化を行うことについても議論されている。
ICT機器の導入を直接的に支援するものではないが、人員配置の軽減につながることは大きなメリットとなるだろう。ただ、その場合のICT機器選定で医療機関が選びやすいように、ICT機器に対する要求水準や認定制度のようなものはあってもよいかもしれない。
その他、がん・難病・人工腎臓・緩和ケアについても議論されている。
がんについて注目したいのは、皮下注射による外来腫瘍化学療法を外来腫瘍化学療法診療料の算定対象とすることについて検討されていることが挙げられる。
人工腎臓については、シャントトラブルに対する対応を連携でカバーすことの評価の新設や、腹膜透析にかんしてかかりつけ医と基幹病院との連携による対応を在宅自己腹膜灌流指導管理料の算定要件に加えることについてなど検討されそうだ。
緩和ケアについては、透析を中止した末期の腎不全患者を緩和ケア病棟の対象患者に食わることの検討行われている。










