【2025年11月レポート】在宅療養支援診療所、8月に30施設増加から一転して、9月は17施設の減少。急性期一般入院料1の増加はストップ
弊社(HCナレッジ合同会社)で毎月集計している施設基準情報より、新たな地域医療構想・地域包括ケアシステムでもポイントとなる届出情報にフォーカスして現況等について毎月ご報告しています。今回は2025年9月時点の施設基準情報をお伝えします。
【お知らせ】医療政策ニュース解説ブログroute"hckn"および医療政策ニュースのつぶやき、医療政策ニュース解説ラジオの更新情報をBlueskyでお知らせしています。よろしければ、フォローをお願いいたします。
急性期一般入院料、全体で対前月比6施設の減少。入院料1は3施設の減少
本年5月から8月まで続いていた急性期一般入院料1の増加は、9月で途切れて、3施設の減少となった。石川、静岡、大阪、兵庫、島根で1施設ずつの減少が確認され、長野、福岡で1施設ずつの増加があった。
動きが大きかったのは、入院料5が減少して、多くが入院料4に移行したとみられること。茨城、埼玉、新潟などでそうした動きがみられる。一方で、東京では入院料4・5が減少し、トータルで4施設が急性期一般入院料から退出している。
急性期一般入院料では引き続き病床削減が行われている様子で、結果として重症者割合を満たしやすくなっている状況にあるといえるが、その変動も落ち着きを見せつつある。
地域包括医療病棟入院料、対前月比10施設の増加。9月1日時点で6県が空白地帯
引き続き増加の傾向にあるが、まだ地域包括医療病棟入院料の届出のない都道府県を確認すると、山形、岐阜、富山、山口、愛媛、香川の6県。なければならない、というわけではないが、集約化・役割分担をしていくことと、セラピストや管理栄養士の人材確保を考えると、地域で話し合いを通じて対応を検討していくことが必要になる時が早々に訪れると思われる。そのための準備は常にしておきたい。
協力対象施設入所者入院加算は増加基調。令和8年度診療報酬改定で注目の項目に
重症度、医療・看護必要度において、内科系症例の重症度を底上げする際に、この協力対象施設入所者入院加算の実績がキーポイントになりそうだ。また、地域包括ケア病棟入院料等における後方支援機能の指標としても注目されるところ。
参照:緊急入院/高齢者救急、協力対象施設入所者入院加算の実績等で看護必要度の評価を底上げする見直しを検討、高額薬剤の使用を理由としない入院受入をどうするか? など
今後も増加していくことが考えられるが、その先についても注意しておきたい。それは、数ある後方支援病院の中から、以下に自院を選んでもらえるか、ということだ。平時の連携、自院の強みのPRなど大切だ。
精神科地域包括ケア病棟入院料、対前月比で1施設の増加
対前月比で増加となったとはいえ、低調であることに変わりはない。精神科領域では、回復期・在宅支援機能の強化の方針が打ち出されているところ。大規模から中規模規模に移行し、在宅療養支援病院の届出と共に、この精神科地域包括ケア病棟入院料を届出できるのが理想のように感じているが、まずは、低調な届出の原因を明確にすることが必要だ。
在宅療養支援診療所、対前月比で17施設の減少。千葉、東京、愛知で4施設ずつの減少
在宅療養支援診療所は8月は30施設の増加であったが、一転して、17施設の減少となった。関東信越と中国地方で減少数が大きかった。詳細についてはこれから調査をしてみたい。
病床削減の影響もあってなのか、在宅療養後方支援病院が減少し、在宅療養支援病院へと移行していると思われる動向もある。これから本格的な議論がはまる新たな地域医療構想と医療計画で「在宅医療において積極的役割を担う医療機関」を位置づけ、後方支援機能の拠点化も目指していくことが考えられるが、どういった指標をもって積極的とするのか、注目をしておきたい。