新たな地域医療構想策定ガイドラインが公表。医療法・医療機関機能報告・病床機能報告・主な診療報酬の観点で病院の役割を確認
令和8年7月3日、2040年に向けた地域医療構想策定ガイドラインが公表された。2040年の各地域の実状にあった医療提供体制のあるべき姿を構築するため、都道府県の地域医療構想担当者を想定して作成されているもの。本年秋から来年上半期にかけて医療需要糖の分析を行いつつ地域医療構想調整会議で議論を行い、令和10(2028)年度までに新たに始まる医療機関機能報告等を確定していく予定となっている。
【お知らせ】医療政策ニュース解説ブログroute"hckn"および医療政策ニュースのつぶやき、医療政策ニュース解説ラジオの更新情報をBluesky、facebookでお知らせしています。よろしければ、フォローをお願いいたします。
新たな地域医療構想における医療機関機能・病床機能・診療報酬の関係性
今回公表されたガイドラインをもとにして、医療機関機能報告・病床機能報告・主な診療報酬の関連性を整理してみた。
あくまでも一般的に考えられることから分類・整理したものなので、実際に地域の実状によって微調整が必要になってくる。なお、新しく始まる医療機関機能報告では、主たる機能を設定した上で、他の機能を併存・併記することは構わないのだが、今回のガイドラインでは急性期拠点機能と高齢者救急・地域急性期機能の併存・併記はできないとされた。いずれか一方を選ぶ必要がある。そのため、医療資源が少ない地域などでは急性期拠点機能と高齢者救急・地域急性期機能の明確な役割分担に関する話し合いが重要になる。こうした地域では、急性期拠点機能の病床は適正化し、診療密度を高めていく必要も出てくるだろう。
実績ベースでこれから決定してくことになるが、すでに救急搬送の獲得に向けた綱引きが始まっている地域もある。そこで、自ら救急車と救急救命士を配置し、自ら高度急性期病院へ、介護保険施設へ、診療所へと獲得に走る病院も出てきている。競争ではなく、役割分担の観点で取り組みをしていかなければ共倒れになってしまうのではないか、中長期的に考えると、やはり気になる。
精神医療に関する地域医療構想は令和8(2026)年度中に結論
新たな地域医療構想では、外来・在宅・介護に加えて、精神医療も含まれることとなった。しかし、精神医療についてはまだ議論がまとまっていない。令和8年度中に結論を出す予定となっており、今後本格的な議論が始まる予定だ。
精神医療について、令和8年度診療報酬改定では、多職種連携による早期退院支援・長期入院/高齢患者の慢性疾患対応・精神科におけるかかりつけ医機能強化、の3点がポイントになった。
また、250床以下で1年以上の長期入院患者が多い精神病院については、病床削減を促しつつ、外来・精神障害福祉サービスとの連携を促す「精神科地域密着多機能体制加算」が新設され、病棟と外来の一元管理の評価が始まる。
前回の診療報酬改定で新設された精神科地域包括ケア病棟入院料は、届出が少なく、廃止となったが、果たして精神科地域密着多機能体制加算の届出がどれほど出てくるのか、令和8年度診療報酬改定が新たな地域医療構想との整合性を図っていることを考えると、病床削減を伴うこととなるため、緩やかに増加していくことが想像される。長期入院している患者の地域移行は一般医科よりも難しい。
参照:【2026年7月レポート】在支診が40増。その一方で在後支病は▲6。急性期入院医療の集約に続き積極的に在宅に取り組む医療機関にも変化の兆し
新たな地域医療構想をふまえて医療計画を推進へ
これまで、地域医療構想は医療計画の一部とされてきたが、今後は新たな地域医療構想を上位概念として医療計画の策定をしていくことになる。そのため、構想区域と二次医療圏を一致させていく作業もはじまる。
なお、医療計画における基準病床数と地域医療構想における必要病床数についてもその目的と考え方が整理されている。
また、かかりつけ医機能報告の始まりに伴い始まる外来医療の協議の場との一体的な話し合いや介護保険事業計画との連携も今後必要になってくる。人口減少の一方で慢性疾患を有する高齢患者の通院や在宅医療は増えてくることが考えられることから、薬局との連携についても必要になってくることが今回のガイドラインには記されている。地域医療・介護事業者の総合力と結束力が求められる。



