令和4年4月1日、医療法施行規則が改正され、放射線治療室と比べてやや要求水準を緩和した「特別措置病室」の整備基準が明確化された。その背景には、核医学の進歩に伴いニーズが高まっている一方で、放射線治療室の要求水準が高いこともあってまだ少ないこともさることながら、従来の放射線医薬品と異なって呼気に放射線が出ないために放射線治療室ほどの厳格な要求水準を満たさなくとも、一定水準の防護措置、汚染防止措置が施された特別措置病室での入院治療を可能とすることを目指してきたもの。
この特別措置病室のメリットは、一般病室を一時的に利用できることだ(医療法における非密封放射性同位元素の使用に関わるもの、特別措置病室の設置に関わるもの、地方厚生局に施設認定に係るものなどの申請が必要)。
また、こうした見直しに合わせ、令和4年度診療報酬改定でも対応されたところ。
特別措置病室を実際に運用していくにあたっての簡単なモデルを作った。参考程度に見ていただきたい。
前提条件としては、「令和2年度病院機能別・制度別医療費等の状況(厚生労働省)」を基にDPC対象病院でのケースと仮定して、一日当たり入院診療単価を62,000円と設定。また、清掃費などの一般管理費を12,000円/日とした。必要な物品については、院内にあるものを流用できると思われるが、防護衝立や防護衣、GMサーベイメータ、鉛畜尿容器などを新規購入すると仮定している。なお、実際においては廃棄コストなども発生すると考えられるが今回は除外している。そのため、実際にシミュレーションをする場合は、廃棄に関することと病院の種別に応じた入院診療単価、差額ベットを利用している場合の計算など注意が必要となる。
実際の運用にあたっては「特別措置病室に係る基準、管理・運用及び行動規範に関するマニュアル 2022年10月」を確認を。
※上記のモデルはあくまでも参考程度にお願いします。
病床機能の再編が進む一方で、新しい治療・技術への対応を通じて、高度化に対応し、患者・地域住民の期待にも応えていくことが、特に高度急性期・急性期機能を持つ基幹病院には期待されている。特別措置病室への対応は、これから訪れる核医学治療に向けたファーストステップにもなるものと考えられるだろう。