令和5年3月31日、オンライン診療に関する2つの動きがあった。1つ目は、新型コロナ感染拡大に伴い実施されていた初診からのオンライン診療・電話診療の診療報酬上の特例措置を7月31日にで終了するというもの。2つ目は、オンライン診療の適切な実施に関する指針を改訂したというもの。
〇特例措置の終了、そして今後は?
新型コロナ感染拡大に伴って実施されてきた初診からのオンライン診療・電話診療はついに廃止される。とはいうものの、昨年の指針の改訂、診療報酬改定でオンライン診療は初診からでも要件を満たせていれば実施は可能となっていた。8月以降については、指針の記載内容に基づいた体制整備をし、令和5年度診療報酬改定で設定された診療報酬点数での実施となる。電話診療については、初診からはNGとなり、再診のみとなる。
〇オンライン診療の指針を改訂。情報セキュリティへの対応を求める内容に。
特例措置の終了と共に、オンライン診療の適切な実施に関する指針も一部改訂されている。大幅な改訂、というよりも医療情報システムの安全管理に関するガイドラインの改訂や昨今のサイバーセキュリティ対策への対応を踏まえた内容とアップデートしたもの。ポイントは以下になる。
・セキュリティリスクを患者に説明するまた、患者の合意取得だけではなく、オンライン診療に用いるシステムを利用することも合意を得、合意したことを診療録に記載すること。
・診療計画を作成する際、オンライン診療システムに伴うセキュリティリスクと対策、責任の所在について患者からの問い合わせに対応できるよう、説明文書または対応者を準備すること。また、情報及び医療機関の問い合わせ先をオンライン診療システム上に掲載する。
・セキュリティソフトをインストールすること。
・責任分界点について事業者に確認するとともに、システムの導入のリスクを十分に理解する。
・汎用サービスを使用する際は、汎用サービスが医療情報システムに影響を与えない設定とする。なお、通信の管理者権限を患者に委譲しないこと。
・オンライン診療では画像とはなるべく画面共有機能を使い、、患者から提示された二次元バーコードやURL等のリンク先へのアクセス及びファイルのダウンロード等はセキュリティリスクが高いため、セキュリティリスクが限定的であることを医療機関が合理的に判断できる場合を除き、このようなアクセスやダウンロード等は行わないことが望ましい。
システム提供事業者任せにしてしまうことで、昨今のサイバーセキュリティ被害が起きていることも指摘されている。要するに、医療機関にとって利便性が高いのと同時にシステム提供事業者にとっても利便性が高い設定となり、パスワードの使いまわしや定期的なパスワードの見直しなどが行われず、被害が出てしまったことなどだ。オンライン資格確認体制の原則義務化で、これからは院内だけではなく、外ともつながる。さらに、オンライン診療は患者ともつながる。より一層のセキュリティ意識の向上と、必要コストとしての投資が重要になる。
参考)
セキュリティ対策は、まずは身近にある個人のPCから ~ウィルス対策ソフトの選び方、セキュリテイ対策の基本~
2023年6月以降の立入検査より「サイバーセキュリティ対策の確認」が実施される見通し