令和5年4月19日、来年度の診療報酬・介護報酬同時改定に向けた意見交換会の第2回目が開催された。今回のテーマは、高齢者施設・障害者施設等における医療と認知症について。なお、本意見交換会は全3回を予定。次回は5月に開催される。
〇介護施設と医療機関の連携、薬剤管理の在り方は同時改定でもポイントに
新型コロナの5類移行に合わせて、新型コロナに感染した高齢患者の入院先については、急性期一般病棟から地域包括ケア病棟へと流れを変えようと方針だ。前回、そして今回の意見交換会においても、改めて高齢患者の入院先として地域包括ケア病棟を優先することが望ましいとされる考えが示されている。
またもう一つ注目したいポイントとしては、高齢者施設におけるポリファーマシー対策について。介護報酬では、介護老人保健施設においてだが、令和3年度改定でかかりつけ医と連携した多剤投与対策をすることで評価されている。介護老人保健施設や介護医療院においては、医師及び薬剤師が配置されているものの、特別養護老人ホームや高齢者住宅においては薬剤師の配置はなく、基本的には訪問による管理指導となる。
特別養護老人ホームでの調査によると、施設の看護職員が服薬支援に多くの時間を割いていることが分かっていることから、ポリファーマシーに関する対策は施設職員の負担軽減の観点からも重要だといえるだろう。
これまでの診療報酬改定でも入院中の処方内容の変更に関する情報連携や、調剤報酬改定における服薬フォローや薬局における持参薬確認などの、連携を軸にした薬剤管理に関する評価はあったが、次回は介護報酬との同時改定ということもあり、より地域に視野を広げた服薬管理・ポリファーマシー対策となる評価が新設されることになるのではないだろうか。
〇認知症の人の情報共有の在り方について
今回の意見交換会では、認知症についても話合われた。早期発見についても話題に上がっているが、入院時に尊厳を守りつつスクリーニング調査をすることなども今後は必要になるだろう。認知症に限らず、生活習慣病全体もそうだが、自分で気づいていない隠れ生活習慣病や認知症など、入院時に確認し、主要疾患と合わせて治療をし、連携を行う仕組みと評価が必要になってきていると感じている。
また、認知症の人に関する情報共有を地域でどのように行っていくか、ということも検討課題に挙がっているが、情報管理の在り方とプライバシー保護の観点から綿密な検討が必要だろう。