令和8年度診療報酬改定の施行が近づき、必要な体制構築や手続きが進められているところ。直近の疑義解釈などから、病棟薬剤業務実施加算、心不全再入院予防継続管理料、電子的診療情報連携体制整備加算、充実管理加算、リハビリテーション総合計画評価料、腎代替療法診療体制充実加算について確認しておきたい。


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病棟薬剤業務実施加算1は病棟単位ではなく、病院全体で

 ポリファーマシー対策等の対応充実化で病棟薬剤業務実施加算1の評価が120点/週から300点に大きく引き上げられる。ここでいうところのポリファーマシー対策とは、薬剤総合評価調整加算(160点)を直近3カ月で10回以上算定すること。合わせて、直近3カ月で退院患者の4割以上で退院時薬剤情報管理指導料を算定すること。



 薬剤総合評価調整加算とは、内服薬6種類以上の患者に対して処方内容を変更し必要な指導を行い、転院先・退院先等に連携をすることで評価されるもの。委員会等のチームは必要はない。そこでポイントになるのが、入退院センターなどで持参薬確認を通じて内服薬の種類と数を確認し、薬剤部門にすぐに連携する体制や、既存のNSTなどのチーム医療と連携して内服薬確認を行ってもらい薬剤部門にすぐに連携する仕組みを作ることだ。薬局と連携して、(調剤報酬)服薬情報等提供料3の算定を促すことも効果的と言える。






 なお、新たになる病棟薬剤業務実施加算1だが、病棟単位ではなく、病院全体での届出となる。ゆえに、薬剤総合評価調整加算等の実績も病院全体での評価だ。新たな地域医療構想では医療機関機能報告がはじまるが、従来の病床機能報告とことなって、医療機関そのものの主たる機能を明確にするもの。令和8年度診療報酬改定は、医療機関全体としての機能を評価するものが多くなっている。とくに、急性期ほど。



心不全再入院予防継続管理料2・3を算定している状況での再入院でも管理料1の評価は可能

 心不全患者は再発再入院が多い傾向にあることから、今回の項目が新設された時から、リハビリテーションや経過観察中に再入院となった場合、改めて管理料1の算定は可能なのかどうかは気になる点だった。

 疑義解釈(その5)において、再入院であっても、改めての管理料1の算定は可能であることが明らかになった。ただし、その患者が退院した日が1年以内の場合は初回算定日は変更にならない(1年以上の場合は初回算定日となる)。


 ところで、心不全再入院予防継続管理料3の医療機関においても栄養食事指導が行える体制が必要になっている。管理栄養士がいない診療所等の場合は、管理料1・2を算定する医療機関や栄養ケア・ステーションと連携して外来栄養食事指導料2を算定できる環境整備をしておく必要がある。


参照:心不全再入院予防継続管理料のポイントと地域で行う疾病管理を展望する




電子的診療情報連携体制整備加算の電子カルテ情報共有サービスとの接続インターフェースとは?

 電子的診療情報連携体制整備加算に「電子カルテ情報共有サービス」に関する記載がいくつかある。この電子カルテ情報共有サービスは、早ければ令和9年1月あたりから稼働する予定となっており、今夏にも電子処方箋・厚労省が認証する電子カルテの新たな普及促進計画の中で今後の具体的な進め方が示される予定となっている。電子カルテのリプレイスに合わせた補助など新たな支援策も期待されるとこと。ゆえに、まだ存在しないサービスであるため、正式にリリースされるまでの経過措置の対象となっている。経過措置終了後は、この電子カルテ情報共有サービスとの接続インターフェースを有していることが必要になるが、ここでいう接続インターフェースとは何なのか。疑義解釈(その4)において、今後運用開始日を登録するページが設けられ、厚労省ホームページ上に電子カルテ共有サービス対応施設として公表されることで、接続インターフェースあり、となることが示された(電子処方箋管理サービスとの接続インターフェースについては、医療機関等向け総合ポータルサイトから運用開始日を入力し、公表されていること)。




 また、厚生労働省が認証する電子カルテ製品については今後案内があると思われるが、基本t系には標準型電子カルテと同様の仕様をベースに考えられるため、クラウド型になるものと考えられる。今後の案内を待ちたい。



充実管理加算1・2の算定は、令和9年10月~令和10年9月の実績で、令和10年4月からの評価

 生活習慣病管理料における外来データ出加算が充実管理加算と見直された。なお、外来データ提出加算は50点から10点に引き下げられ、充実管理加算3に該当する内容に。すなわち、提出すれば算定できる。点数が下がった理由としては、提出項目が簡素化されたこともあるが、今後は、提出するデータの質に着目することになったためといえる。具体的に言えば、診療ガイドラインに基づいた検査頻度や継続診療割合など。重症化させないことが生活習慣病管理料の目的でもある。

 なお、機能強化加算では外来データ提出加算の届出が望ましいとされ、地域包括診療料/地域包括診療加算でも算定が可能となった。いずれの項目もかかりつけ医機能を評価するものであることを考えると、いずれは充実管理加算と同様の体系へと移行していくことが考えられるだろう。


参照:外来データ提出加算の引下げと生活習慣病管理料・充実管理加算、機能強化加算で届出が望ましいとなった意味


 充実管理加算の算定スケジュールについて、改めて確認しておきたい。加算3については、本年10月から開始、加算1・2は令和10年4月からの算定となる。






リハビリテーション総合計画評価料、2回目以降の算定も可能に

 今回から2回目以降も算定可能となったリハビリテーション総合計画評価料だが、5月と6月をまたいだ場合の評価についてだが、6月は2回目以降として算定する。




 なお、対象となる患者については変更はない。



腎代替療法充実体制加算、災害対策は令和9年5月末までに、PD等の実績は令和10年5月末までに

 一律20点の引下げとなった人工腎臓に関する評価。さらに、経皮的シャント拡張術・血栓除去術が見直され、通常の狭窄は点数が引き下げられることとなった(12,000点→9,840点)。




 そこで、引下げ相当分をカバーする腎代替療法充実体制加算(20点)を目指すことが必要になってくる。

 新規透析導入患者は減少の傾向にある一方で、医療機器や診療技術等の進歩のおかげで長期にわたって人工透析を続けることができるようになってきた。その結果、透析患者の高齢化と終末期の対応が課題となってきている。そこで注目されているのが、PDファースト・PDラストだ。とくに、PDラストに注目が集まり、骨太の方針2025にも影響を与え、緩和ケア病棟の対象患者に透析を中止した末期腎不全患者も対象に加えられたところ。


参照:骨太の方針2025~「今日より明日はよくなる」と実感できる社会へ~が閣議決定される。原案との違いは?


 腎代替療法診療体制充実加算は、まさに終末期を見据えた体制を求めるものともいえる。具体的には、腹膜透析の実績、緩和ケアへの対応が求められる。なお、腹膜透析については、実績要件は令和10年5月末まで経過措置があることから、遅くとも令和9年6月から実績を積み上げていくことが必要になる。緩和ケアについては、望ましい、となっている。緩和ケア病棟を有する病院や在宅医療を提供する医療機関、訪問看護事業所との連携体制が必要といえる。また、災害対策については令和9年5月末までとなっている。訓練への参加も必要になる。

 なお、回復期リハビリテーション病棟・地域包括ケア病棟・精神科療養病棟等では人工腎臓・腹膜透析に関する技術料及び保険材料料が包括範囲外となる。腹膜透析についても、かかりつけ医の求めに応じて導入した基幹病院が指導管理を行うことで評価されることとなった。




 災害時の対応もそうだが、透析医療においても地域医療連携に積極的に参画することが必要になってきている。