令和8年7月1日時点で地域医療連携推進法人は66法人の認定を受けている(地域医療連携推進業務を行う一般社団法人を都道府県知事が認定する仕組み)。なお、そのうち1法人(兵庫県 はりま姫路総合医療センター整備推進機構)は、2病院の経営統合を目的とした法人で、すでに経営統合を終えたことから解散されているので、実質的に稼働しているは65法人となる。

 地域医療連携推進法人については、骨太の方針においても地域医療構想を実現するための手段の一つとして明記され続けている。平成29年度(2017年)から制度がスタートして、約10年が経過したところ。都道府県別の傾向を見てみると、北海道・秋田県・静岡県・滋賀県・大阪府・兵庫県・高知県では3法人以上が認定を受けている。






 令和8年度診療報酬改定と新たな地域医療構想の整合性が図られ、各地で医療機関の役割分担がより明確化され、地域医療連携推進法人を選択肢の一つと考える地域も今後増えてくることが考えられるが、ここで注意しておきたいのが、地域医療連携推進法人とはあくまでも地域医療構想を実現するための手段の一つであって、法人を設立することが目的ではない、ということだ。ゆえに、私は地域の実状によっては、何が何でも地域医療連携推進法人を、というわけではなく、一般社団法人や疾病ごとの連携ネットワークの構築でも十分とお答えし、ご協力するようにしている。ここでは、改めて連携に関する取組について整理したい。

 



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地域医療連携に関する主な形態を知る

 地域医療連携の形態にはいろんな方法がある。ただ、間違いなく言えることは最終的な目標は地域医療構想及び地域包括ケアシステムに資する取組である、ということだ。それはすなわち、地域住民が安心して暮らし続けるための環境整備の一環だといえる。そうした前提のもと、地域医療連携に関する主な形態について整理してみよう。





 地域医療連携推進法人は都道府県知事による認定を受けて成立する、公益性が非常に高い法人だ。そのためハードルは高いが、法人内での病床・資金の融通ができるなど持続可能な経営を可能とするための取組が可能となっている。その一方で、監査など求められるなどが求められるなど本部機能の負担も重くなる。

 一般社団法人は、地域医療連携推進法人の前段階ともいえる。ただし、地域医療連携推進法人やこの後紹介するNPO法人と異なり、許認可が不要で、スピーディーに設立ができる。また、薬局やその他企業なども参画することができることから、業種を超えた地域医療介護の課題解決に柔軟に対応できるともいえる。ただし、柔軟な対応ができる反面、実行力・責任の明確化などに課題もでてくる。

 NPO法人は先述の通り許認可が必要であり、10名以上の参画者が必要となっている。その分、公益性は高い。いろんな地域で感じるのは、地域医療連携ネットワークシステムを運営する母体としてNPO法人を活用するケースが多い。

 法人化することで補助金等の受け皿になり、連携業務が資金を伴って進めやすくなるといえる。ただ注意しないといけないのは、法人に参画する医療機関等に具体的なメリットを実感してもらう、という仕組みが必要だ。連携に関する事務負担が減った、通信費だけではなく消耗品等の仕入れ負担が減った、紹介した患者が着実に逆紹介で戻ってきている、など。連携法人においても、具体的なメリット感がなく、法人から退出したり距離をとるケースもある。地域医療構想の実現、大義も大事だが、そのための個々の医療機関の経営の安定化も大事だ。

 法人化までは至らないものの、地域内で任意の協議会を作るケースも多い。但し、補助金などの公的な支援を受けることが難しいこともあったり、一定の強制力のようなものが働きづらいために参画する医療機関の個々の自律が求められるともいえる。

 地域内の疾病管理を行う連携を各領域毎に行っていくことも一つの手段だ。法人化をあえて選択しないこうした連携形態は、特に人口が密集し、高度急性期機能を有する医療機関が多い都心部において有効だと考えている。また、一般社団法人等の形態において、領域別の部会を作って、法人本部が管理する、という取組もある。令和8年からかかりつけ医機能報告制度に基づく報告が始まり、一次診療対応可能な領域を報告することとなり、患者及び家族からの要望があれば療養計画書を渡すことが必要になった。




 療養計画書を各医療機関で個別に作成するよりも、地域の基幹病院や特定領域に強みを持つ医療機関で標準療養計画書を作成し、診療所等と共有するといった連携例もある。開業医の負担軽減を含めたバックアップ体制を病院がとることで、外来医師の負担軽減や入院医療・専門外来の診療時間を創出できるメリットもある。

 令和8年度診療報酬改定を改めて見ると、後方支援、というのも重要なキーワードだったといえる。特に「○○充実体制加算」などがそれだ。外来でいえば連携強化診療情報提供料が該当する。近年の診療報酬では、二次性骨折予防継続管理料や心不全再入院予防継続管理料、がん治療連携指導料など病院と診療所の「横」の連携を評価する項目も増えている。


参照:地域医療連携推進法人に対する横連携型の診療報酬とは? ~術前から退院、経過観察までの一連の治療を包括支払い~


 

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公立病院経営強化プランの議論がはじまる

 地方都市の多くでは、大規模な公立病院が地域の急性期拠点機能を担うこととなるとともに、地域医療連携の基点ともなることが多い。その公立病院に関して令和8年9月29日 総務省にて「令和8年度 持続可能な地域医療の確保に向けた公立病院の経営強化に関する検討会」が開催され、2028年度以降の公立病院経営強化プランに関する議論がスタートしている。

 経営形態の見直しについても議論されており、地域における持続可能な経営形態の在り方について、今後の地域医療連携や人材確保の観点から注目が集まる。








 診療報酬と地域医療構想が一体的に運用されていくことで地域医療提供体制の整備が進めやすくなるという期待がある一方で、診療報酬は全国一律となっていることから、果たしてどこまで持続可能な医療提供体制を構築することができるのか、難しい面もある。地域医療構想調整会議及び外来医療の協議の場での話し合いもその打開策の一つともいえるだろうが、それよりもさらに近い関係で胸襟を開き、自主的な判断で話し合いを持てるような、地域医療連携の形態を選択肢の一つとして持つことは、素早いテクノロジーや政治の環境の変化に地域で一丸となって対応し、想いをつないでいくためにも必要なこといえるだろう。