以前ご紹介した障害者権利条約に関する初の審査、その結果がこのほど公表された。
参考)
障害者権利条約、初の審査が行われる ~条約という重み、医療保護入院について~
国連、障害児の分離教育中止要請 精神科強制入院、廃止も(Yahoo!ニュース、共同通信)
強制入院や分離教育など禁止勧告 国連が日本の障害者差別巡り初審査(朝日新聞)
本年6月9日、第8次医療計画の見直し(2024年度から)や精神保健福祉法改正(臨時国会提出予定)に向けた議論の場として「地域で安心して暮らせる精神保健医療福祉体制の実現に向けた検討会」による報告書がとりまとめられたところだが、医療保護入院(強制入院)の将来的な廃止という文言が直前で消されてしまったことはよく知られている。
今回の勧告には法的な拘束力はない。しかし、条約とは国家間・国際機関との約束だ。日本単独での経済発展など国としての成長・豊かさを求めていくのが難しい時代においては、国を超えてお互いに協力をしていかなければならない。今回の勧告は、単に精神科病院に関するステークホルダーだけへのメッセージではなく、日本に発せられたメッセージとして受けとめ、対応を考えていくことが必要だ。そして、令和6年度からの第8次医療計画の策定が近づいている。精神科医療は医療計画にある5疾病の一つに挙げられている。医療計画は6年間の取組であり、このチャンスを逃すとまた6年先送りとなりかねないことになる。