COVID-19感染拡大だけではなく、システムでも感染被害の報告が続いている。また、感染だではなく、デジタルデータの紛失や、ハードウェアそのものの紛失・流出なども。ただ多くは、人による不注意であったり、知識不足に起因するものといえる(巧妙な迷惑メールなども増えてきましたが...)。
そうした現状の中、令和4年9月5日に開催された「第12回健康・医療・介護情報利活用検討会医療等情報利活用ワーキンググループ」にて、「今後の医療機関におけるサイバーセキュリティ対策の基本方針」が決定されたところ。その内容は、平時からの予防対応・インシデント発生時の初動対応・被害を受けた後の復旧対応の3カテゴリで構成されている。
サイバーセキュリティの問題は、病院・診療所単体の問題ではなく、地域医療全体にも影響をあたえるもの。外来診療がストップしたり、救急の受入れが不可になったり、退院調整や予定入院などにも影響が出てくることがこれまでの経験からよくわかる。サイバーセキュリティ対策は、地域医療の問題として、基金の利用なども含めて検討すべき事項と個人的に考える。
参考)
また、医療版ISAC(サイバーセキュリティに関する情報を共有することを目的とした組織の医療版)の創設などについても近々検討グループを立ち上げる方針も明らかにされている。また、中長期的な取組についても方針が明らかにされている。
なお、こうした一連の対策については、費用も・人的な負担もかかるため、医療現場での対策水準に関する実態調査を本年度中に実施し、医療機関に必要な支援や補助について検討することを明らかにしている。ハード・ソフトなどについてだけではなく、教育的側面、専門用語の理解なども含めて知識レベルの底上げに必要になってくる面もあるだろう。
また、医療情報システムの安全管理に関するガイドラインを今年度末までにアップデートすることも明らかにされている。オンライン資格確認の開始に合わせて、外部接続するケースも増えてくるし、クラウドサービスの利用も増えてきたので、そうした外部との接続なども踏まえた内容へと更新される予定だ。
オンライン資格確認のスタートは患者にとっても便利になる反面、セキュリティを含めたリスクの高まることとなる。患者に対する情報管理に関する情報発信も合わせて考えるとともに、新たなオンライン資格確認に対する診療報酬上の加算がソーシャルコストにもなることを理解してもらうことが大切だと考える。