マイナ保険証の利用実績の検討を開始。DPC対象病床から地域包括医療病棟への動向、そして昨年までの施設基準届出状況からわかることと今後の懸念
令和6年7月3日、第591回中央社会保険医療協議会総会が開催された。大きな話題としては、新設された医療DX推進体制整備加算に本年10月より設定されるマイナ保険証の利用実績の数値。
そもそもとしての利用実績の計算式なども明確になっていない。5月からスタートしている「マイナ保険証利用集中取組月間(参照:マイナ保険証使用促進集中取組月間、6月以降の支援制度を見直し、4月25日を皮切りにスタート。)」が終了する7月末の結果など参考にしていくことになるのではないだろうか。
また、マイナ保険証に関連する項目としては「医療情報取得加算(旧:医療情報・システム基盤整備体制充実加算)」もある。令和6年度診療報酬改定からは、マイナポータルの情報を取得して、診療に活かすことを評価するものとなった。そして、答申書の附帯意見には「令和6年12月2日から現行の健康保険証の発行が終了することを踏まえ、令和6年度早期より、医療情報取得加算による適切な情報に基づく診療の在り方について見直しの検討を行うと」といった文言がある。ひょっとすれば、年明け早々、または令和7年度からの廃止も視野に入れておく必要があるだろう。
〇DPCから地域包括医療病棟へ
その他、今回の中医協ではDPC対象病院からの退出に関する情報もあったが、4病院退出でうち3病院が地域包括医療病棟への転換を検討する、とのことだ(残りの1病院は地域包括ケア病棟)。地域包括医療病棟はその包括範囲がDPC対象病院と同じであり、病棟薬剤業務実施加算等の算定も可能となっているもの。ただ、救急受入れ割合や転棟転棟割合など厳しいハードルがあるととももに、事業として継続していくためには、近隣の三次救急医療機関や介護保険施設の連携協力体制が必須だ。また、院内転棟割合を考えると、病床規模によっては全病棟を地域包括医療病棟にすることも検討が必要ともいえる。
DPCについては、次回改定時に基準(データ数が90件/月以下など)を満たさない病院は退出が求められる予定だ。現時点では、103病院がその対象に当てはまっている。
また、附帯意見にある項目から8項目を調査することが明らかにされている。個人的に関心を持ってみているのが「医療資源の少ない地域における保険医療機関の実態について」だ。令和6年度診療報酬改定では、医療資源が少ない地域に限定して回復期リハビリテーション病棟入院医療管理料(病棟単位ではなく、病床単位での評価)が新設された。医療資源が限られた地域での病床の有効利用、重症化対策などに大きく貢献できるのではないかと期待している。