2030年までの医療政策上の重要KPIとタイムラインを確認して、備える。

6/30/2024

ニュース解説 経営 地域医療構想 地域包括ケアシステム 働き方改革

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 骨太の方針2024が閣議決定され、2030年以降の人口減少社会に備えるための効率性向上・生産性向上の社会的な仕組みを2030年までに行う方針が示された。

参考:

骨太の方針2024(原案)を読む

骨太の方針2024(閣議決定されました)を読む~2030年までが改革のラストチャンス。DX推進、新たな地域生活圏の形成に注目~


医療業界に目を向けてみると、来年度に施行されるかかりつけ医機能報告制度のとりまとめ(本年7月中)と2027(令和9年)度からの新たな地域医療構想のとりまとめ(中間とりまとめを夏~秋、最終とりまとめを年内)が目前に迫っている状況だ。骨太の方針2024を下敷きにして、現時点(令和6年6月30日)で明らかになっている情報をもとにして、2030年までの医療政策の重要イベントとKPIを整理した。


KPIについては、昨年12月に内閣府より公表されている改革工程表2023より、地域医療にかかわる内容を私の視点で選別して掲載している(参照:「改革工程表2023」より、医療機関・薬局の経営と実務、健康寿命延伸・医療費適正化に関するポイントを整理しました。)。個人的に注目しているのは、2028年度までに新規透析導入患者を年間4万人から3.5万人以下にする、というもの。今回の診療報酬改定で生活習慣病管理料による管理の厳格化が行われているが、その理由はこのKPIの実現にある。また、かかりつけ医機能報告制度にもかかわるものだ。次回の診療報酬改定までに一定の成果などがなければ、さらなる厳格化も考えられるだろうし、患者自身が選んだかかりつけ医以外に紹介状無しに受診した場合の選定療養による自己負担など検討されるのではないだろうか。また、院長等に対する労務管理の研修の受講というのも注目したい。働き方改革に対する評価として、経営者層の理解をと実践を高めるために、経営者層の研修の受講などが要件に加えられる可能性もあるかもしれない。

新しい地域医療構想については、議論が進行中だ(参照:地域医療構想の当面のゴール2025に向けて。そして、2040年に向けたnext地域医療構想の議論がはじまる。)。地域を一つの総合病院として、外来・在宅も視野に入れた体制作りがテーマになる。慢性疾患の管理や在宅については市区町村単位で、入院医療や難病対策等は二次医療圏単位での検討となるだろう。中萬とりまとめが出たら解説をしたい。

かかりつけ医機能報告制度については、来年度からの施行だが、実際に医療情報ネット<ナビイ>を利用した地域住民への情報発信は2026年(令和8年)度からとなる予定だ(参照:かかりつけ医機能報告は地域医療支援病院等にも。かかりつけ医機能報告の対象・内容・報告時期等が示される。)。そのため、実際の報告は2026年1-3月となる。検討で焦点となっているのは、かかりつけ医機能に関する研修と研修の内容、さらに研修の受講を要件とするか否かということだ。7月中に取りまとめが行われた段階で詳細を解説したい。

その他として注目したいのは、医療DXへの対応だろう。本年12月2日以降は健康保険証のカードの新規発行は原則中止となり、医療DXへの取組が「当たり前」の時代に突入する。電子処方箋は年度内に、電子カルテ情報共有サービスは来年9月までに導入していなければ医療DX推進体制整備加算の算定が不可となる。特に、来年1月からの電子カルテ情報共有サービスのモデル事業の開始(4月からは標準型電子カルテも実施予定)に注目が集まる(参照:電子カルテ情報共有サービスに関する導入補助金、そしてモデル事業を年明けから開始へ)。

最後に、次のトリプル改定は2030年になる。そこに至るまでに2回の診療報酬改定が控えているが、次回の診療報酬改定では、DPCからの退出を求められる病院の主な行先としての地域包括医療病棟に関する要件・評価の見直しやかかりつけ医機能に対する評価、生活習慣病管理料に対する評価、医療DXの推進による効率化で引き下げられる項目、そしてベースアップ評価料の継続・在り方(参照:介護処遇改善加算の経緯から考えるベースアップ評価料の今後)に注目が集まるところ。まだ令和6年度診療報改定が実施されたばかりだが、目の前のことに8割5分・将来の種まきとなる活動に1割5分を割くイメージ(根拠はないが、私自身はこの割合を常に意識して行動してきて、今のところ大きな失敗はない)を目安にした行動計画を立てるなど検討したい。

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