地域医療構想の当面のゴール2025に向けて。そして、2040年に向けたnext地域医療構想の議論がはじまる。

3/26/2024

r6同時改定 地域医療構想 地域包括ケアシステム

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2025年のあるべき姿をイメージして取り組まれてきた地域医療構想が間もなく一つの区切りを迎える。令和6年度診療報酬改定では、その一区切りに向けた複数の手が尽くされると同時に、かかりつけ医機能報告制度も含めて考えるべきnext地域医療構想の環境整備が行われようとしている。具体的には、高齢患者の急性期入院医療に焦点を当てて、高度急性期と急性期の整理(下り搬送、看護必要度の厳格化、DPCにおける退出基準や効率性係数の見直し、地域包括医療病棟の新設、遠隔ICUモニタリングの評価)が行われた。地域医療構想においては、そう病床数については国が掲げる目標を達成できる見通しだが、その内訳(病床機能)についてはいまだ途上にある。令和6年度診療報酬改定は、とりわけ高度急性期・急性期における役割分担を図るような、言い方をかえれば、地域医療構想の進展によって集約化が進む高度急性期入院医療という資源を有効活用するための整備が行われているといえる。


令和6年度診療報酬改定の後押しを受け、これから地域医療構想調整会議にてどういった議論が始まるのか、注目される。個人的には、内科系DPCともいえる地域包括医療病棟を有する医療機関がどれくらい誕生し、地域の中でどういった立ち回りをとるのかということ。今回の診療報酬改定全般からいえることは、「自院の都合だけで経営していくのは難しい。周囲の環境の変化、連携があってそれぞれの経営が成り立つ、相互に相応の負担をする意思確認」が必要だと感じている。


地域医療構想については、令和6年3月13日に第14回地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループにて、2025年のゴールに向けた議論が行われている。そこで話し合われたのは、各都道府県で1-2か所の「推進区域」を国が設定し、それら全国の推進区域の中から「モデル推進区域」を指定した上で国が伴走支援していくなどの取組だ。


そして、令和6年3月21日の第107回社会保障審議会医療部会にて、next地域医療構想の議論がはじまった。6年ごとに見直される医療計画に足並みをそろえるべく、第8次医療計画の中間見直しとなる令和9年度(2027年度)からの開始を目指す設定だ。


これから本格的な議論が始まる地域医療構想では、入院医療の量的適正化によって患者の療養する場が、病床から在宅や施設等へと拡大していったことへの対応が重要な視点となる。


地域全体が一つの総合病院、患者の自宅のベットが病床、という発想であり、令和7年度から始まるかかりつけ医機能報告制度との連動が必要となる。かかりつけ医機能報告制度とは、地域住民が自らかかりつけ医機能を有する医療機関を決めるために、必要な情報(5つのかかりつけ医機能)を整理して、医療機能情報提供制度(ナビイ)などを利用して発信するもの。令和6年度診療報酬改定では、この5つのかかりつけ医機能と診療報酬項目等との紐づけが暗に示されており、この1年かけて、地域住民に選ばれるためのかかりつけ医を目指すための準備期間となる。


令和6年度診療報酬改定では、慢性疾患、とりわけ生活習慣病の疾病管理の在り方が、新規透析導入患者を抑制するための生活習慣病重症化予防の厳格化のために、見直されることとなった。この見直しも、いわばnext地域医療構想に向けての外来における機能分化・役割分担に向けた布石とも見て取れる。200床未満の病院及び診療所においても、地域の実状に合わせた今後の方針について本格的に検討していくことが求められる。


長期処方・リフィル処方箋に応じることが求められるようになる。また、医療DXの推進で負担は軽減され、時間が創出されることになる。今後は、その創出される時間をどう使っていくかも地域医療構想を実現していく上では重要なポイントになってくると思われる。地域医療構想の実現はもちろん大事だが、地域住民にとっての最善と合致する内容となるように期待したい。現在の地医療構想の議論は、医療提供者側の意見が主になっている点が、やや気になるところだ。

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