栄養管理を軸にした連携の評価は、医療従事者・介護従事者の負担軽減という結果を生み出す

3/02/2024

r6同時改定 リハビリテーション 栄養管理 介護保険 経営 在宅医療

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 骨太方針2023にリハビリテーション・栄養管理・口腔管理を一体的に推進することの重要性が盛り込まれ(参照:リハビリテーション・栄養管理・口腔管理に関する情報を施設を超えて共有するための見直し。リハスタッフ・施設は地域の共有財産という発想。)、令和6年度診療報酬改定・介護報酬改定では、その言葉の通り推進することを評価される。特徴としては、入院前からの連携の強化・経口摂取や経腸栄養への早期移行促進・在宅でも入院中の栄養管理を継続するための支援、の3つだといえる。


入院前からの連携の強化としては、介護報酬改定で新設された「退所時栄養情報連携加算(介護保険施設の入所者等の栄養管理に関する情報について、他の介護保険施設や医療機関等に提供することを評価する。対象者は特別食を必要とする入所者又は低栄養状態にあると医師が判断した入所者)」と「入退院支援加算(退院支援計画にリハビリテーション・栄養管理、口腔管理を含む療養支援内容及び多職種チームとの役割分担を含むことを追加)」の見直しが該当する。入院してから対応するのではなく、事前に共有して入院に対する備えができる環境創りだといえる。備えができていれば、スタートダッシュを決めることができる。


経口摂取や経腸栄養への早期移行促進については、まずは重症度、医療・看護必要度の見直しから確認をしておきたい。「注射薬剤3種類以上の管理」の要件が見直され、静脈栄養は対象から除外され、スコアの期間も7日間と制限された。高齢患者の長期入院の是正、中心静脈栄養が必要な患者の吟味、といった目的が考えられる。これまで、療養病棟における中心静脈栄養の管理が課題とされ、経口摂取・経腸栄養への移行促進策がとられてきたが、そもそも急性期病院で中心静脈栄養を導入して転院してきていることもある点に今回手が入ったといえるだろう。この見直しは特に200床未満の急性期病院においては影響が大きいと考えられる。また、思いのほか重症度、医療・看護必要度の要求水準が高い新設される地域包括医療病棟においても悩ましいところになるかもしれない。

なお、入院基本料において標準的な栄養評価手法の活用や退院後も定期的な栄養状態の評価について栄養管理手順に求めること、さらに回復期ンリハビリテーション病棟ではリハビリテーション実施計画書等で栄養評価においてはGLIM基準を用いることとなり、入院を通して、入院病床が変わっても栄養については共通言語化・数字化ができ、医療従事者は情報共有し、目標を共通化できるようになる。



なお、療養病棟においては中心静脈栄養について、広汎性腹膜炎、腸閉塞、難治性嘔吐、難治性下痢、活動性の消化管出血、炎症性腸疾患、短腸症候群、消化管瘻若しくは急性膵炎を有する患者を対象として30日以内の実施に制限することとして、実施期間を過ぎた場合は医療区分を引き下げることになる。ただし、中心静脈栄養終了後の7日間は、前の医療区分を維持できる。その一方で、経腸栄養管理加算を新設した。300点・7日間と高い。ACPを実施した上で、新たに経腸栄養を開始した場合に算定可能となるが、栄養サポ-トチーム加算、入院栄養食事指導料、集団栄養食事指導料の併算定は不可となる。口から食べること(経口摂取)、寝たきりにしないこと(経腸栄養など)でADLを落とさず自律支援を促すことで、医療従事者の負担を軽減することになる。経口摂取・経腸栄養への移行促進は、働き方改革でもあるわけだ。


在宅でも入院中の栄養管理を継続するための支援については、在支病・在支診等に訪問栄養食事指導を行う体制があることが施設基準に盛り込まれた。診療所等で管理栄養士がいない場合は、近隣の栄養ケア・ステーションを利用する必要がある。
また、疾患別リハビリテーション料においてリハビリテーション実施計画書をリハビリを移行するに提供することが必須となった。入院中に行われた栄養管理、そして栄養状態を維持継続することで筋力や闘病意欲を高めてリハビリテーションの効果を最大化することがねらいだ。

栄養管理を軸にした連携の評価を整理してみたが、患者の自律を高めることで介護が必要となる患者を減らし、結果として、医療従事者・介護従事者の負担を軽減することにつながるという大きな期待があることが見えてくる内容だ。人口減少は患者だけでなく、医療従事者・介護従事者の減少も意味する。栄養管理に改めて着目した連携が、限られた人的資源の価値を最大化してくれる手助けとなる。

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