在宅医療でもDX・ICT化対応で新たな時間を創出し、重症者への対応や連携に必要なカンファレンス等の時間に充当を

2/28/2024

r6同時改定 経営 在宅医療

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 地域医療構想の進展は、病床の適正化を意味し、患者によっては療養する場が病院の病床から自宅・施設のベットへと変わっていくことを意味する。病床の適正化とは、単に病床の役割転換・削減だけではなく、クリティカルな経験を積んだ看護師を回復期、慢性期、そして在宅へと活躍する場を広げ、病院における看護師不足の解消と同時にこれまでの経験をいかんなく発揮してもらうという意味もある。


療養の場となる在宅に関する診療報酬は、これまでは対応できる医療機関を増やすための「量的拡大」を目的とした評価というものだったが、令和6年度診療報酬改定からは「質的向上」を目的に、適正化を図るという「量質転化の法則」に基づいた内容だともいえる。


在宅におけるかかりつけ医機能の評価を確認する

在宅時医学総合管理料/施設等入居時医学総合管理料は、いわば在宅のかかりつけ医機能を表す代名詞だ。今回の改定では、この在宅のかかりつけ医機能に関する評価にも適正化が求められることとなっている。まず注目されるのは、単一建物診療患者数について、20人以上・50人以上といった新たな区分が設けられたことだ。なお、従来の区分に関しては15点の引き下げとなっている。



またさらに、直近3か月間における訪問診療の算定回数2,100回を超える場合の単一建物診療患者数10人以上に対する減算規定が設けられることとなった。


ただその一方で、地域医療情報連携NWへの参画、そしてそのNWで得られた診療情報を基にした医学管理を行った場合を評価する「在宅医療情報連携加算」が新設されている点は注目される。在宅時医学総合管理料だけではないが、医療DX・ICTサービスの活用で業務の合理化・効率化できると考えられる場面については、点数が引き下げられているのが今回診療報酬改定の特徴だ。しかしながら、DX・ICTの対応をしておくことできちんとその引き下げ分はカバーできるようにもなっている。DX・ICTへの対応は必須だともいえる。


今回改定では緊急時の往診の見直しについても注目が集まる。具体的には、自院と関係性のある患者であるか、または連携先で関係性のある患者であるかどうかで評価が大きく変わることとなった。基本的には、かかりつけの患者に対する緊急往診を評価する、ということだ。


在宅におけるかかりつけ医機能の環境創りを着々と進めている印象だ。


ICTの積極的な活用が重要に。適正化は、回数を減らすだけではなく、必要応じた拡大も

先にも述べた通り、在宅医療においては地域医療情報連携NWへの参画が必要不可欠だともいえる内容が随所に垣間見えている。算定実績の少ない「地域療養移行加算」については、ICTの活用を要件とした従来よりも100点高い新たな項目を設けている。その一方で、適正化についても在宅時医学総合管理料以外でもみられている。例えば、在支診・在支病において、過去3月の患者一人あたりの訪問診療の回数が平均で12回を超える場合に評価を50/100とするなど。



なお、適正化という言葉からは、削減とか減少というイメージが湧きがちだが、在宅医療においては決して削減・減少ばかりではない。終末期の状態であったり、重症者や緩和ケアが必要で、頻回な訪問が必要とされる場合などにおいては、既存の評価で対象患者として加えるなど、実態に即した適正化が図られている点にも注目したい点だ。

ところで、医療機関・薬局では医療DX推進体制整備加算が初診では算定可能となっている。オンライン資格確認サービスの利活用・電子処方箋・電子カルテ情報共有サービスの3点セットの整備及びマイナ保険証の一定の利用実績が必要だ。薬局の場合はさらに電子薬歴管理が必要だ。在宅においては、先述の3点セットの整備で訪問診療料及び在宅がん医療総合診療料に在宅医療DX情報情報活用加算(10点/月)の算定が可能となる。ただし、医療DX推進体制整備加算及び医療情報取得加算(医療情報・システム基盤整備体制充実加算からの見直し)との併算定は不可となる。

DX・ICTへの対応による業務の効率化に対するインセンティブは、いつまであるかわからないところ。故に、今のうちにDX・ICTの体制を整備を図って、早い段階で失敗の経験を積み重ねておくのが大事だと感じる。DX・ICTの推進は、新たな時間を創り出す。適正化が進む在宅医療において、創り出した時間をどのように有効活用していくかが重要だ。

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