令和6年度診療報酬改定のポイント③~医療DXの推進~

2/02/2024

r6同時改定 医療ICT 医療機器 遠隔医療 経営 補助金

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賃上げ、働き方改革が今回診療報酬改定のポイントの一つであることは間違いはなく、誰しもが知っているところ。他にポイントと言えるのは何かと考えると、私は、「高齢患者の救急・急性期入院」「受診頻度の適正化」「医療DXの推進」の3点だと考える。先日公表された短冊をもとに、その3点に焦点を当てて確認をしてみる。ここでは「医療DXの推進」について。


医療DXを3つの類型から考える

これまで、ICTサービス等も含めた医療DXはコストの分類だった。言い換えれば、リターンのない投資ともいえる。導入することで、業務効率化・負担軽減などにつながるのはほぼ間違いないのだが、診療報酬による評価がない(間接的にはあるものもある)ために、なかなか導入が進まず、結果として、医療機関では業務効率化・負担軽減が進んでこなかったといえる。本年4月からは勤務医の働き方改革がはじまる、賃上げもはじまる。職員一人ひとりの生産性向上が求められる。そのためには、医療DXを大胆に取り入れていくことが必要だ。令和6年度診療報酬改定では、様々な医療DXに関する直接的・間接的にも目白押しだ。基本的な考え方としては、導入(購入?)時は今後出てくるだろう医療情報化支援基金やIT導入補助金(参照:IT導入補助金2024 ※注意!令和6年2月16日以降の申請用ページです)を利用し、導入後の保守管理等のランニングコストを診療報酬でカバーしていくイメージだ。ところで、医療DXと一口に言っても、その目的であったり、機能などによっていろんなパターンがある。そこで、勝手に私が考案した医療DX3類型で今回の診療報酬改定における医療DXに関する評価のポイントを見ていきたい。


まずはじめに、業務支援・環境整備に関するものについて確認する。ポイントになるのは、マイナ保険証の利活用と電子処方箋・電子カルテ情報共有サービス(令和6年度中に開始予定)の医療DX3点セット(勝手に命名)の整備を評価する「医療DX推進体制整備加算(初診時)」だ。全国医療情報プラットフォームの基盤だ。そして、「生活習慣病管理料」及び「地域包括ケア診療料・加算」では、その基盤に加わることを推奨し、利活用することで負担軽減を実現できるようにする。



前回の診療報酬改定では、診療録管理体制加算において400床以上の病院に限定してセキュリティ教育など求められていたところだが、今回は対象がさらに拡大される点にも注目したい。

次いで、コミュニケーションに関するものについて確認する。院内の情報共有・連携だけではなく、地域内の連携まで広げた内容になっている。地域医療構想の推進で、病床が減り、在宅も療養の場となっているが、まるで、地域を一つの総合病院・患者の自宅や施設のベットが病床と見立てたネットワーク構築のようにも見える。こうしたネットワークに入り、その中で得られた情報をもとに緊急往診等をおこなうことが高い評価につながることを確認しておきたい。



最後に、診療・看護支援に関するものについて確認する。注目したいのは2点。まずは、Tele-ICU(遠隔ICUモニタリング)を評価する「特定集中治療室遠隔支援加算」だ。今回の診療報酬改定では、特定集中治療室管理料の見直しが行われているが、従来の管理料1-4に加えて、治療室内ではなく、病院内に専門の宿日直を含む常勤の医師(治療室内は宿日直勤務はだめだが、治療室内に5年以上の経験と適切な研修を修了した常勤看護師が一定時間勤務しているなど)がいることで施設基準を満たす管理料5-6が新設される。その管理料5-6において、他の管理料1-2を算定する医療機関から遠隔ICUによる支援を受けることことで、特定集中治療室遠隔支援加算が算定できる(管理料5-6の医療機関が算定するが、おそらく後日、支援をした管理料1-2の医療機関が管理料5-6の医療機関に当該加算の範囲内で請求をする)。働き方改革の推進になると共に、手術や救命救急対応などの件数を増やすことができる。
2点目は、遠隔連携診療料だ。これまでは、指定難病の患者の場合は、確定診断までだった。それが、確定診断後の継続診療も算定可能となり、さらに、てんかんの継続診療では上限1年となっていたが、今回の見直しでは上限が撤廃されることとなる。医療の地域差の解消に大きく貢献できると期待される。


他にも、短冊では具体的にICTの活用の記載はないが、薬剤総合評価調整加算(カンファレンス以外にも、日常的に共有できる機会を利用)などでの利用も可能かもしれない。院内にとどまらない、地域全体でのポリファーマシー対策にまで広げられる可能性を秘めているのではないだろうか。

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