※令和6年2月19日、地域包括医療病棟の薬剤料について、包括範囲になることが確認されましたので、最後の一文を削除しました。
先日公表された令和6年度診療報酬改定の答申案から、気になった点を随時確認していきたい。今回は、バイオ後続品を含む後発医薬品、医薬品取引、特定入院料における薬剤料に関するもの。
バイオ後続品(以降、BS)を含む後発医薬品の使用促進策は、安定供給に応じた適切な対応をすることに対する負担などを踏まえた評価となっている。具体的には、後発医薬品使用体制加算1-3は40点の引上げ、一般名処方加算1-2と外来後発医薬品使用体制加算1-3は3点の引上げとなった。合わせて、患者への十分な説明をすることや供給状況によって投与する医薬品が変更されることがあることをウェブサイトに掲載することが求められる。なお、この場合のウェブサイトについては、ホームーページを指すのか、医療機能情報提供制度(医療情報ネット)を指すのかはまだ不明だ。個人的に思うのは、医療機関・薬局側の負担もよくわかるものの、原因となる一部の企業側の責任で患者側の経済的メリットが縮減してしまうことについてはやっぱり違和感がある。
また、BSについても第4次医療費適正化計画で設定された目標値を達成すべく(参照:バイオシミラーの目標は、「2029年度末までに80%以上置き換わった成分数が全体の成分数の60%以上」に。)、外来患者すべてを対象とする見直しと入院患者への新規導入も新たに評価する。ただ、こちらは要求水準が高いといえる。BSはいわゆる虫食い効能(先行バイオ医薬品が適応追加していくことで、適応が異なることがある)で、説明には慎重を期する必要がある
また、本年10月からは後発医薬品のある長期収載品の患者一部自己負担が始まるのも注目される。詳細については、今後発出される通知などで確認が必要だが、消費税・インボイスの発行の有無、生活保護者への対応など気になるところだ。なお、薬局においては特定薬剤管理指導加算3(5点)を新設し、制度の説明を行うことを評価する。後発医薬品への切替は必須ではない。なお、医療機関においてはこうした説明に対する評価は確認できていないが、後発医薬品使用体制加算等が引き上げられていることから考えると、説明に関する負担がこの引き上げ分に含まれているように思う。
後発医薬品についてはオーソライズド・ジェネリック(AG)にも種類があること、BSとの違いなどを改めて理解を深め、採用や患者への説明などに活かせるようにしておきたい。
また、今年度中に改訂される「医療用医薬品の流通改善に向けて流通関係者が遵守すべきガイドライン(流通改善ガイドライン)」を踏まえた対応も注目しておく必要がある。特に、以下の点には医療機関としても厳格な対応が求められるとともに、書類等で現状の報告などが求められる可能性がある(参照:厚生労働省 第36回医療用医薬品の流通改善に関する懇談会)。価格交渉とは経営努力でもあるので、それを否定するものではないものの、「行き過ぎた交渉」や「過度な薬価差」については見直しが必要だ。医療機関・薬局においても、流通改善ガイドラインを遵守するように価格交渉代行者に強く求めることが必要であるとともに「責任」となる。医療機関・薬局の経営は、地域住民はもとより、周辺の様々な事業者の協力があって成り立っている。地域全体、係る事業者にとって最善の結果を常に意識しておきたい。
単品単価交渉について
基礎的医薬品、安定確保医薬品(カテゴリーA)、不採算品再算定品、血液製剤、麻薬及び覚せい剤については、価格交渉の段階から別枠とし、個々の医薬品の価値を踏まえた単品単価交渉とする。
過大な値引き交渉
取引条件等を考慮せずにベンチマークを用いての一方的な値引き交渉や取引品目等の相違を無視して同一の総値引率を用いた交渉、同一の納入単価での取引を各卸に求める交渉などは厳に慎むこと。価格交渉を代行する者に価格交渉を依頼するに当たっては、価格交渉を代行する者がこうした交渉を行うことがないようガイドラインを遵守するように注意すること。