令和6年度診療報酬改定と医療費適正化計画<BSを含む後発医薬品の使用促進>を確認する

2/06/2024

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令和6年度は診療報酬の他にも、6年に一度の見直しとなる医療計画、医療費適正化計画も同時に見直される。ある意味、6年後に設定した目標を達成するべく診療報酬がその後押しするための項目も目白押しになっている。医療費適正化計画(後発医薬薬品、外来化学療法など)、看護師確保等基本指針、医療計画(周産期医療、新興感染症対策など)、精神保健福祉法などとの関連性を見ながら、今回の改定の意味などを確認してみたい。今回は、医療費適正化計画<BSを含む後発医薬品の使用促進>との関連性について。

これまでの医療費適正化計画の議論、BS(バイオ後続品)を含む後発医薬品の使用促進についてはこれまでも本ブログで取り上げ、紹介してきた。安定供給を基本としつつ、まだ数量ベースで80%以上を達成できていない都道府県の目標達成を推進しつつ、既に達成できている都道府県に対しては金額ベース等の観点を踏まえた新たな目標設定を令和6年度中に行うこととしている。また、バイオ後続品についても目標値を設定し、今後推進していくことになっている。

参考:

今回の診療報酬改定では、後発医薬品の使用促進かつ医薬品のイノベーションを推進するという観点から、後発医薬品のある長一部期収載品の患者負担が本年10月から開始されることも大きな注目を集めている。この開始に合わせて、調剤報酬では「特定薬剤管理指導加算3」を新設し、長期収載品の自己負担に関する説明をすることを評価することとなる(後発医薬品への切替はなくとも、説明のみで評価される)。

参考:


10月実施に向けて、今後様々な通知も出てくることになるだろう。難病助成を受けている患者のの場合はどうなるのか(治療上の必要となる?)、生活保護者の場合はどうなるのか(後発医薬品一択?)などまだわからない点もあるが、通知を待ちたい。
なお、後発医薬品については、既に多くの都道府県で数量ベースで80%を超えている。今回の患者負担は薬価差の1/4となり、どれほどの効果が期待できるか、不透明なところもある。おそらく、これまで継続して服用してきた薬剤については、後発薬品に切り替えることは少数派になるのではないかと予想する。現状でうまくコントロールできているし、多少の負担は耐えるのではないだろうか。一方で、一時的に利用する類のものについては後発医薬品を選択するケースが多くなるのではないかと思われる。自己負担が1/2以上になれば、継続して長期収載品を服用している患者も変わってくるのではないかと思うが、どうだろうか。

なお、今回の診療報酬改定ではバイオ後続品の使用促進策の強化も注目されるところだ。これまでは「バイオ後続品導入初期加算」として、在宅自己注射指導管理料、外来腫瘍化学療法診療料、外来化学療法加算に対する加算評価となっていたが、今回からは大幅に対象を拡大するべく、外来腫瘍化学療法診療料に対する加算評価を廃止し、医療機関でバイオ後続品を注射するすべての患者を対象とすることとなる(点数は据え置き)。
またさらに、「バイオ後続品使用体制加算」という入院中の患者に対する切替も新たに評価することとなった。なお、バイオ後続品は、先行バイオ医薬品の再審査期間や特許満了日が満了していない適応症については取得できない(虫食い効能と呼ばれる)ため、切替えについては注意が必要になる。



従来からの後発医薬品使用体制加算等については、短冊の段階では点数の見直しと適切な対応をすることをウェブサイト(ホームぺージなのか、医療情報ネットなのかは現段階では不明)に掲載することといった見直しが明らかにされているが、3月の告示まではどういった内容にとなるかはまだわからない。とりわけ、気になるのが昨年7月に厚生労働省より通知されたフォーミュラリ運用の指針の存在だ(参考:骨太方針2021に基づき、フォーミュラリガイドラインが示される)。医療費適正化計画においても、後発医薬品の使用促進の一環として、保険者がフォーミュラリを医療機関周知する取組などが明記されている。後発医薬品使用促進関連の項目での要件や施設基準なのか、病棟薬剤業務実施加算やDPCの係数、調剤報酬における地域支援体制加算などで「フォーミュラリ運用の指針を参照した取り組みが望ましい」などの文言が入る可能性もまだ捨てきれないところだ。告示を注視したい。

最後に、バイオ後続品を含む後発医薬品について少し整理してみた。オーソライズド・ジェネリック(AG)にも、実は大きく2つのカテゴリがある(3つという考え方もある)。先発品医薬品と添加物や製造場所が異なるものの場合は、BE試験(生物同等性試験)が必要になるのだが、先発医薬品とすべてが完全一致したAG(オート・ジェネリック)であればBE試験は不要となる。オート・ジェネリックか否かは、ブルーブックや添付文書で確認できる。



フォーミュラリの策定、後発医薬品のある長期収載品を長期にわたって服用されている患者への情報提供の参考になれば幸いだ。

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