先日公表された令和6年度診療報酬改定の答申案から、気になった点を随時確認していきたい。今回は、主に外来・在宅に関するもの。
短期滞在手術等基本料
基本料1では、前回改定で麻酔を伴わない手術の場合の評価が新設されたが、今回は入院で行った場合と外来で行った場合に分けて評価をする構造となった。診療所等での麻酔を伴わない日帰り手術は影響を受けることになりそうだ。また、基本料3については、標準化が進んでいるものや眼科領域で片側と両側で評価を見直す内容となっているものがある点に注意しておきたい。
在宅医療関連
在宅時医学総合管理料に、単一建物診療患者の10人以上の詳細な区分ができ、厳しい内容となる。また、直近3月の訪問診療の算定回数が2,100回を超える医療機関について、単一建物診療患者の数が10人以上である患者に対する評価を60/100にするなど、いわゆる適正化が行われる。
特に注目したいのが往診だ。かかりつけの患者や地域連携をしている医療機関の患者でなければ、緊急往診等が大きな引き下げとなる。
また、在支診及び在支病についても過去3月の患者一人あたりの訪問診療の回数が平均で12回を超える場合に評価を50/100へと引き下げることとなった。在宅医療は量的拡大から質的拡大へと量質転化のフェーズにある。
時間外対応加算
時間外対応加算については、地域でかかりつけ医機能を発揮・確保していく上で重要なものとして中医協でも早期から議論されていた。来年度からのかかりつけ医機能報告制度でもポイントの一つだ。今回は、新たに加算2が新設され、非常勤の医師等による常時対応を可能とすることとなった。なお、必要に応じて診療録を閲覧できる体制が必要となる。ICTの環境整備など考えたい。なお、場合によってはコールバックが必要となるが、どれくらいの時間でやらなければならないかなどの基準は今のところは出ていない。
賃上げ・物価高対策等を目的に基本料を中心に引き上げられている一方で、データに基づく冷静な見直しが随所に際立つ診療報酬だと感じる。