賃上げ、働き方改革が今回診療報酬改定のポイントの一つであることは間違いはなく、誰しもが知っているところ。他にポイントと言えるのは何かと考えると、私は、「高齢患者の救急・急性期入院」「受診頻度の適正化」「医療DXの推進」の3点だと考える。先日公表された短冊をもとに、その3点に焦点を当てて確認をしてみる。ここでは「受診頻度の適正化」について。
「生活習慣病管理料」と「特定疾患療養管理料」・「特定疾患処方管理加算」の厳格化
財務省による秋の建議にて、診療所の利益率が向上しているように見られることから、診療報酬での引下げが提言され、大きな話題となったのは記憶に新しいところ(参照:財務省・秋の建議に向けた議論を開始。診療所・病院・薬局別に注目ポイントを確認します。)。実際、今回の改定でどういった内容となるか、秋の建議以前に方向性は明確化して、秋の建議がその後押しをした格好だ。キーワードは、「受診頻度を下げる」「慢性腎臓病対策」の2つ。その背景にあるのは、健康寿命を3年延伸する、ということだ。
健康寿命を3年延伸するというのは、最終的に重症化して人工透析が必要になるのはやむを得ないという前提で、少なくとも重症化するまでの期間を3年間伸ばしてほしい、ということ。重症化すれば、医療費も、医療従事者の負担と人手もかかる。健康寿命を延伸するということは、間接的に働き方改革にもつながる。さらに、紹介受診重点医療機関を作り、かかりつけ医機能を整備することを今後も推進し、健康寿命を3年延伸するための医療提供体制の整備に努め、今回診療報酬改定でもその評価をすることで環境整備としているといえる。
今回の診療報酬改定では、外来診療の環境整備が大胆に行われたともいえる。そのポイントの一つが「生活習慣病管理料」と「特定疾患療養管理料」の住み分けだ。対象疾患である「糖尿病」「高血圧症」「脂質異常症」が重複していたところを、生活習慣病管理料に集約することとなった。特定疾患療養管理料を算定している医療機関としては影響が大きい。その一方で、生活習慣病管理料でも見直しが行われている。影響が大きなものでいえば、管理料1と2に区分がわけられ、管理料2は検査を包括外とするものとなっており、対象とする病院の規模が変更となりそうだ。また、患者状態に応じて、という条件があるが長期処方、リフィル処方箋の対応が求められ、院内掲示が必要となった(ウェブサイトの掲載については記載なし)。患者からの求めが増える環境がつくられたといえる。なお、長期処方・リフィル処方箋については地域包括診療料・加算も同様の対応が求められ、さらに特定疾患処方管理加算でリフィル処方箋の発行は評価されることになった。