令和6年度診療報酬改定のポイント②~受診頻度の適正化~

1/30/2024

r6同時改定 外来診療 経営

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賃上げ、働き方改革が今回診療報酬改定のポイントの一つであることは間違いはなく、誰しもが知っているところ。他にポイントと言えるのは何かと考えると、私は、「高齢患者の救急・急性期入院」「受診頻度の適正化」「医療DXの推進」の3点だと考える。先日公表された短冊をもとに、その3点に焦点を当てて確認をしてみる。ここでは「受診頻度の適正化」について。


「生活習慣病管理料」と「特定疾患療養管理料」・「特定疾患処方管理加算」の厳格化

財務省による秋の建議にて、診療所の利益率が向上しているように見られることから、診療報酬での引下げが提言され、大きな話題となったのは記憶に新しいところ(参照:財務省・秋の建議に向けた議論を開始。診療所・病院・薬局別に注目ポイントを確認します。)。実際、今回の改定でどういった内容となるか、秋の建議以前に方向性は明確化して、秋の建議がその後押しをした格好だ。キーワードは、「受診頻度を下げる」「慢性腎臓病対策」の2つ。その背景にあるのは、健康寿命を3年延伸する、ということだ。

健康寿命を3年延伸するというのは、最終的に重症化して人工透析が必要になるのはやむを得ないという前提で、少なくとも重症化するまでの期間を3年間伸ばしてほしい、ということ。重症化すれば、医療費も、医療従事者の負担と人手もかかる。健康寿命を延伸するということは、間接的に働き方改革にもつながる。さらに、紹介受診重点医療機関を作り、かかりつけ医機能を整備することを今後も推進し、健康寿命を3年延伸するための医療提供体制の整備に努め、今回診療報酬改定でもその評価をすることで環境整備としているといえる。

今回の診療報酬改定では、外来診療の環境整備が大胆に行われたともいえる。そのポイントの一つが「生活習慣病管理料」と「特定疾患療養管理料」の住み分けだ。対象疾患である「糖尿病」「高血圧症」「脂質異常症」が重複していたところを、生活習慣病管理料に集約することとなった。特定疾患療養管理料を算定している医療機関としては影響が大きい。その一方で、生活習慣病管理料でも見直しが行われている。影響が大きなものでいえば、管理料1と2に区分がわけられ、管理料2は検査を包括外とするものとなっており、対象とする病院の規模が変更となりそうだ。また、患者状態に応じて、という条件があるが長期処方、リフィル処方箋の対応が求められ、院内掲示が必要となった(ウェブサイトの掲載については記載なし)。患者からの求めが増える環境がつくられたといえる。なお、長期処方・リフィル処方箋については地域包括診療料・加算も同様の対応が求められ、さらに特定疾患処方管理加算でリフィル処方箋の発行は評価されることになった。


受診間隔が開くことで、役割が重要になるのが薬局薬剤師による服薬フォロー、そして受診勧奨だ(参照:受診頻度が下がることで起きることは? 入院に至らない救急車の利用に選定療養費という地域も~地域医療としてできる対応策を考える~)。今回の調剤報酬改定では、予想通り「調剤後薬剤管理指導加算」で心不全患者が対象に加えられるなど受診間隔が開く時代に合わせた薬局の対応の評価もポイントだ。調剤基本料の更なる引き下げに耐えるには、調剤後薬剤管理指導加算などの対人業務の比重を高めていくことが必要だ。昨年公表されている「改革工程表2023」でも調剤後薬剤管理指導加算の実績を増やすことが盛り込まれていることを忘れてはいけない(参照:「改革工程表2023」より、医療機関・薬局の経営と実務、健康寿命延伸・医療費適正化に関するポイントを整理しました。)。

重症化のリスクの高い患者に対しては、早期の集中的な介入・支援が当然に必要だ。特に慢性腎臓病対策が目下の課題だ。改革工程表2023では、2028年度には新規透析導入患者を35千人/年以下にする(現在は40千人/年)という目標が掲げられている。国が目標値と期日を設定しているのは要注目だ。これまでは糖尿病透析予防指導料があったが、慢性腎臓病は糖尿病だけが原因ではない。そこで、今回新たに「慢性腎臓病透析予防指導料」を新設し、糖尿病以外の患者の重症化対策にも積極的に対応していくこととなった。これは、糖尿病性腎重症化予防プログラムの改訂につながるものだといえる。
主に一般病床200床未満の病院・診療所の外来診療における慢性疾患の疾病管理の診療報酬(上段)と、かかりつけ医機能報告制度に対応した診療報酬の考え方(下段)を整理してみよう。




外来機能分化は医療機関の規模や専門医の有無だけではなく、患者の状況も大きなファクターといえる。そのため、地域住民に対しての情報発信と理解をどうやって得るかが大事なポイントになってくる。合わせて、慢性疾患の患者は、長期にわたって服用し続けることが重要だ。そのための薬局のサポートが大事であることはお伝えしたが、もう一つ大事なことは経済的負担だ。受診頻度を下げること、それから後発医薬品の使用促進はセットで考え、時には医療機関側からも患者の健康面だけではない経済や生活状況に合わせて提案をしていかなければならない。そして感じることは、入院医療では重症度、医療・看護必要度の影響もあって入院すること自体も難しくなってきているが、外来診療も同じように受診すること自体が難しくなっていくように見えるということ。すぐではないだろうが。

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