看護必要度の見直し、200床未満の病院に影響が考えられる。在宅までを病床(療養の場)と考えた発想が求められる。

1/11/2024

r6同時改定 急性期 経営 地域医療構想 入院医療

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 令和6年1月10日、第577回 中医協総会が開催され、診療報酬改定に向けた議論が行われた。賃上げ再製造単回使用医療機器、孤独孤立に関する精神疾患、看護必要度について議論されている。なお、今回は、いわゆる短冊の目次案も提示されている。こちらについては1月12日の中医協で改めて議論される予定なので、また改めて内容については解説する。ここでは、看護必要度について確認する。

重症度、医療・看護必要度(看護必要度)については、昨年の中医協で新たなモデル案が提示され、シミュレーション結果を年明け早々に公表することとなっていた(参照:重症度、医療・看護必要度の項目の整理と新たな評価基準のモデルが提示。療養病棟入院基本料の新たな区分についてさらなる検討を。)。注射薬剤については評価対象期間を7日とし静脈栄養を除外するなどされている。その上で、「救急搬送からの入院」の入院期間を短くした2パターンと抗悪性腫瘍剤(注射剤)のスコアを引き上げた内容で、B得点を除外した新たなスコアリングによるシミュレーションだ。なお、急性期一般入院料1については、平均在院日数を14-17日のパターンで算出している。



なお、看護必要度の項目が厳しく、さらにB得点が排除されているわけなので、該当患者割合を満たすのは当然困難になる病院が続出する。そこで、該当患者割合を以下のようにテスト的に設定している。

A案)A項目:3点以上またはC項目:1点以上 → 15%以上

   かつ、A項目:2点以上またはC項目:1点以上 → 24%以上

B案)A項目:3点以上またはC項目:1点以上 → 15%以上

   かつ、A項目:2点以上またはC項目:1点以上 → 28%以上

C案)A項目:3点以上またはC項目:1点以上 → 18%以上

   かつ、A項目:2点以上またはC項目:1点以上 → 24%以上

A案)A項目:3点以上またはC項目:1点以上 → 15%以上

   かつ、A項目:2点以上またはC項目:1点以上 → 28%以上

さらに、平均在院日数ごと、病床規模(200床を境)にシミューレションを加味した結果が以下になる。





ざっとみてわかるのは、200床未満の急性期一般入院料1で要件を満たせない病院が多く出てくる可能性がある。あくまでも仮のスコアリング・該当患者割合ではあるが、これに近いものとなったとしても大きな影響を受けることになる。200床未満の病院にとっては、急性期一般入院料1を維持するために病床を削減(重症者割合を高める)して一部病床転換をおこなうか、他の入院料への転換(新たにできると言われる高齢者救急病棟など?)など検討が必要になってくるだろう。地域医療構想の進展で、在宅も重要な療養の場となっていること考えると、200床未満の病院にとっては、病床削減・転換の上で、訪問看護等の新たな事業にチャレンジするきっかけとなるかもしれない。今後の議論を注視していきたい。なお、看護必要度Ⅱの対象拡大(200床未満の急性期一般入院料1、200床以上400床未満の急性期一般入院料2・3)についても検討される。

また、看護必要度については特定集中治療室とハイケアユニットについても見直しが行われる(参照:重症度、医療・看護必要度の項目の整理と新たな評価基準のモデルが提示。療養病棟入院基本料の新たな区分についてさらなる検討を。)。特定集中治療室の場合は、SOFAスコアを加味すると共に従来の項目を整理(輸液ポンプを削除、動脈ラインを1点に引下げ、基準値の該当スコア引上げ)して、該当患者割合を見直したものでシミュレーションを実施。今後もいつ起こるかわからない新興感染症や自然災害を考えると、あまり無理な条件の引上げは難しいようにも感じられる。



ハイケアユニットについては、項目の見直し(点滴ライン同時3本以上を注射薬剤に変更し、適用期間を制限・静脈栄養を除外するなど)と該当患者割合を見直すことになっている。そのシミュレーション結果が公表されているが、かなり厳しい結果(要件を満たせない)となっている。近年、ハイケユニットは届出が増えていることからも、ある程度の絞り込みという方向だろう。



なお、特定集中治療室とハイケユニットにおいても看護必要度Ⅱを必須化することが検討されることとなる。

入院すること自体が難しくなっていく時代、在宅も療養の場と考えた入院医療・地域医療連携の発想が重要になってきていると感じる。

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