令和6年度診療報酬改定の議論、ここまでのポイントを整理(令和6年1月1日時点)

1/01/2024

r6同時改定

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 いよいよ令和6年度診療報酬改定の点数や施設基準・要件の見直しの議論がはじまる。令和5年中の議論を改めて振り返ると、大きく3つのキーワードで整理できると考える。「高齢患者の急性期(救急)入院」「受診間隔の拡大」「医療DXの推進(働き方改革含む)」の3つだ。そして、調剤報酬については「対人業務の比重拡大」といえる。こからの議論を前に、整理しておきたい。

高齢患者の急性期入院

人口に占める高齢者割合の増加に伴い、高度急性期・急性期でも高齢患者の入院割合が高まってきている。その結果、病床稼働率の低下や看護師等の負担が重くなってきていること、また、入院に伴いADLが低下するなど高齢患者にも影響が出てきている。そこで、病状等に応じ、他の急性期病床や回復期病床に速やかに転院(救急外来や急性期病床からの下り搬送)することを評価するものが検討されているところ。さらに、搬送先となる医療機関については、当初は地域包括ケア病棟での手厚い看護職員を配置するようなサブアキュート機能を強化した病院に対する加算評価などを検討するとともに、新たに急性期一般入院料2-6の病棟で栄養管理体制・休日リハビリテーションの充実化や入退院支援機能を強化する新たな病棟機能を評価することが検討されている。その一方で、急性期一般入院料1については重症度、医療・看護必要度における「救急搬送からの入院」の見直し等を進め、より急性期機能の純化を進めていくこととなる。

受診間隔の拡大

後発医薬品のある長期収載品に対する患者一部自己負担などにみられるように、医療費抑制に向けた取り組みが随所にみられる場面があった。とりわけ、診療所に対しては財務省の秋の建議でも大きく取り上げられ、社会的な注目も浴びることとなり、中医協でも議論が白熱する場面もあった。先に紹介した長期収載品に関する扱いにも通じることだが、医療費抑制の観点から、生活習慣病管理料でのリフィル処方箋の推進や特定疾患処方管理加算でのさらなる長期処方に関する評価区分の新設など注目される。すなわち、軽症患者や医師の判断で病状が安定していると考えられる患者の受診間隔を広げる、ということだ。毎月内閣府から公表されている景気ウォッチャー調査では、令和5年9月を境に、景気の先行きに対する見方がネガティブに転じている。世間の経済状況も踏まえると、医療費の抑制の動き、すなわち受診抑制など、患者のメリットも考えて提案していくことと同時に、薬局との連携を通じた受診勧奨など進めていく視点が必要になるだろう。そうした視点を持って取り組みを進めていくことが、令和7年度からのかかりつけ医機能報告制度への対応となる。

医療DXの推進

これまで医療情報システムの導入は、医療機関にとってはリターン(診療報酬による収入)のないコストであった。そのため、医療機関ではICTサービスの恩恵を受ける機会が少なく、結果として負担軽減・働き方改革が思うように進んでこなかったと言える。そこで、医療DXを推進するべく、内閣総理大臣が旗振り役となって、2030年をゴールと設定した総合対策が推進され、先の総合経済対策においても令和6年度診療報酬改定での3文書6情報をはじめとする文書情報等の電磁的対応を診療報酬上でも評価を推進することが明記されている。医療DXがコストから投資へと変わることを意味する。令和6年度診療報酬改定での医療DXの推進では、Tele ーICUに関する評価や、適正なオンライン診療の推進のほか、情報共有が推進されることで、専従要件やカンファレンス要件の緩和なども期待されている。また、患者の同意のもと診療情報の共有を推進するための鍵となるマイナ保険証について、医療機関からの患者への周知・広報を強化し、利用割合を高めていく取り組みの推進も重要になる。

対人業務の比重拡大

調剤基本料については、さらなる引き下げとして新たな区分が設けられる見通しだ。また、300店舗を超えるグループ薬局による敷地内薬局の新規開設については、当該敷地内薬局の点数については大きな引き下げは行わず、グループ薬局全店舗の調剤基本料を引き下げるという方針を明らかにしている。今後の敷地内薬局の新規出店は大きく制限されることになりそうだ。調剤基本料に頼った経営は今後難しくなる。また、受診間隔の拡大が進められることの影響も考えておく必要がある。そこで、対人業務をさらに強化していくことが必要だ。そのための取組の一つが服薬フォローに関する評価。がん患者のフォローアップを評価する「特定薬剤管理指導加算2」や糖尿病患者のフォローアップを評価する「調剤後薬剤管理指導加算」などがそれだ。なお、心不全患者に対する服薬フォローに関する評価の新設も検討されている。また、在宅医療への参画も重要となる。特に、麻薬の管理や終末期の頻回な訪問など、人生の最終段階に係る領域での対応など検討したい。








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