「改革工程表2023」より、医療機関・薬局の経営と実務、健康寿命延伸・医療費適正化に関するポイントを整理しました。

12/22/2023

r6同時改定 ニュース解説 医療ICT 経営 精神科 地域医療構想 薬局

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令和5年12月21日に開催された「令和5年 第17回 経済財政諮問会議」にて、新経済・財政再生計画 改革工程表2023が決定・公表された。骨太方針2023に基づいた施策を着実に実施していくためのもの。全部で148項目あるが、医療分野は全74項目ある社会保障の枠の中で組まれている。

かなり多岐にわたるものなので、あくまでも個人的な視点になるが、医療機関・薬局経営及び医療従事者の皆さんの業務に係るであろうことと健康寿命延伸・医療費適正化といった患者の受療行動に関連すると思われるものを選択し整理してみた。

〇医療・介護分野におけるDXの推進、最新技術の活用による生産性の向上 

全国医療情報プラットフォームの構築に向け、電子カルテ情報共有サービスの稼働、マイナ保険証の利活用に関するものだ。「社会保険診療報酬支払基金の抜本的改組」の動向にも注目をしていきたい。令和6年度診療報酬改定では、地域料情報連携NMに関連する評価も検討されていることから、自院だけで何とかしようという発想から、地域の医療資源を有効活用した問題解決を考えられるようにしたい。



〇予防・健康づくりの推進

新規透析導入患者を2028年までに350,000人以下にするなどの健康寿命延伸に向けた糖尿病重症化予防や糖尿病の治療継続者の割合に関する目標の他、認知症や依存症対策、アレルギー対策の他、がん患者の治療と仕事の両立に向けた取組など注目したい。診療報酬改定でも何らかの対応が考えられるところ。具体的には、慢性腎臓病対策に関する糖尿病透析予防指導料の対象拡大と早期介入の評価、人工腎臓の導入期加算3の見直し、療養・就労両立支援指導料の対象拡大・要件緩和の可能性など。



〇医療・福祉サービス改革

精神科の外来・在宅移行と再入院予防に関するKPIなどは令和6年度診療報酬改定においても重要なテーマの一つ。また、地域医療構想についても当面のゴールである2025年に向けて、「各医療機関の対応方針の策定率【2025年度に100%】」といった決意とも受け取れるKPIが設定されている。医療費適正化の観点から、フォーミュラリの作成などによる後発医薬品の使用促進や、保険者努力支援制度を利用したリフィル処方箋の活用促進も盛り込まれている。春の建議・秋の建議にあったメッセージはしっかりと工程表に盛り込まれている。診療報酬改定での何らかの対応が入ることになるだろう。また、保険者努力支援制度を利用ということは、患者にダイレクトにアプローチをするということ。医療機関側からのリフィル処方箋の提案よりも、保険者からの通知等でリフィル処方箋のことを知った患者から要望が出てくることが増えてくる、そうした事象が起きる前提に立って、備えとなる対応方針を考えておきたい。そして、地域連携薬局の目標件数に混ざって「調剤後薬剤管理指導加算の算定件数」のKPIが設定されていることにも注目をしたい。受診頻度が下がることと慢性腎臓病等の重症化対策の一環とした薬局による服薬フォローを徹底する体制作りが考えられている。





改革工程表2023の推進と診療報酬改定は連動している。中長期的には改革工程表を確認し、その方向性と経営の歩調を合わせていくことが必要だ。折に触れ、適宜工程表は確認し、その時その時の現在地を確認しておきたい。

※本ブログで紹介した改革工程表の図は、山口の視点でピックアップ・整理したものです。全体把握をした上で、本ブログ記事を参考にしていただくことをお勧めいたします。

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