精神科回復期での多職種配置・地域生活支援の取組を評価へ。診療早期に手厚い支援を行う精神科外来医療機関の体制を新たに評価。

12/25/2023

r6同時改定 回復期 外来診療 在宅医療 障害者施設 精神科 地域包括ケアシステム 入院医療

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 令和5年12月22日、第575回中医協総会にて審議が行われている。テーマは、精神科医療・慢性維持透析等の技術関連入院医療全般となっている。ここでは、精神科医療について確認しておこう。

第8次医療計画の実現を目指し、地域移行・地域平均生活日数の長期化が精神科医療のテーマとなっていることを反映した入院~在宅~外来の流れで議論が展開されている(参照:医療計画の基本と今後、そして精神科医療の指標「地域平均生活日数」)。入院では回復期に焦点が当てられている。なお、精神科医領域における回復期とは入院期間が3か月以上1年未満の患者を言う(参照:精神科領域の地域医療構想と地域包括ケアシステムの考え方)。精神科病床全般的に入院患者数は減少していく傾向にあることを以前伝えているが(参照:精神科領域における入退院支援部門に対する評価を検討。地域移行機能強化病棟の新規届出の期限と要件を見直しへ)、急性期(入院期間3か月未満)と回復期の入院患者数は増加する見込みとなっている。長期入院する高齢患者が自然死していくことなども理由といえる。なお、精神科病棟入院基本料では、最も高い基準から10対1、13対1、15対1、18対1という順になるが、平均在院日数の規定がない15対1と18対1が回復期に該当するといえる。


なお、入院期間が3か月を超える理由として、精神疾患の治療に時間を要する場合や、転院先、入所先又は居住先が見つからない場合が多いことがわかっており、病状の不安定さや生活機能の低下によって退院が困難となりやすい傾向にある。従って、回復期での治療や退院後生活支援などを充実させることが重要なポイントで、新たな長期入院に至らず退院につなげることができるといえる。今回の議論では、回復期での支援内容、地域移行に関する取組の実例を確認し、必要とされる人員配置や支援内容について議論されている。特に注目されるのは「多職種を配置することで、平均在院日数が短縮し、在宅復帰率が上昇する傾向が見られる」ということと「入院日数の短縮及び長期入院患者の地域移行を実践している病院においては、地域生活を支援するための取組が共通して実施されている」という点だ。




回復期における多職種の人員配置、そして支援内容についての新たな評価など期待されるところだ。精神科領域では、入院でも包括的支援マネジメントを実施していくために入退院支援に関する新たな評価を新設することが検討されている点も改めて確認しておきたい(参照:精神科領域における入退院支援部門に対する評価を検討。地域移行機能強化病棟の新規届出の期限と要件を見直しへ)。

在宅については、外来では包括的支援マネジメントを実施した場合の評価があるが、在宅医医療の患者に実施した場合の評価がないことが指摘されていることから、該当する患者に対する評価について検討されている。

ただ、精神科在宅患者支援管理料について、対象患者が限定的であり算定できないといった指摘がある。しかし、入退院を繰り返す患者に対して、多職種による訪問支援も含めた包括的支援マネジメントを行うことで、入院期間の短縮や入院回数の減少等が見られる傾向が見られていることや、包括的支援マネジメント導入基準の点数が一定以上の患者では支援の回数及び時間が有意に多いことなど明らかにされている。精神科在宅患者支援管理料の対象の見直し、包括的支援マネジメント導入基準の点数をベースにした重みづけなど検討されることとなりそうだ。



精神科の入院患者は全般的に減少する一方で、外来患者数は増加の傾向にある。精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築においても、一般診療領域と同様に時間外対応や24時間対応、在宅医療の充実化が求められているところだが、残念ながら取組は少ないといえる。また、6割を超える医療機関で初診時に60分以上精神療法を実施した場合の算定実績がなかった。一般外来診療と同様に、地域全体でのかかりつけ医機能を発揮するための評価・取組など求められるところだ。


今回の議論では、一部の地域では初診待機が生じていることや、初診料の算定回数が少ない医療機関も存在することが明らかになっている。児童・思春期等の一定の専門性が求められる場合には、さらに待機時間が長期化している実態もあるという。様々な精神疾患の多くは思春期や成年早期に発症することが知られていて、早期発見・早期介入が重要となる。



そこで、診療早期に手厚い支援を行う外来医療機関の体制を新たに評価することが検討される見通しだ。早期介入の手法や実施機関を評価する主要なパフォーマンス指標等も合わせて示され、こうした指標を用いた体制の評価など考えられる。


入院からの包括的支援マネジメントの実践を通じた在院日数の短縮化と地域移行の推進、通院・在宅においても引き続き実践し、入退院を繰り返す回数を減らしながら、地域平均生活日数の増加を実現していくことが明確な目標となっている。そのための多職種連携の必要性が随所にみられる内容となっている。そして、発達障害でも初診待機が問題になっていたが、一部の地域の精神科でも同様に問題になっていることから、オンライン診療の適正な活用なども今後検討されていくことになる可能性がある(参照:適正にオンライン診療を推進するための整備、そして精神科医療での利活用の推進を。長期収載品については患者の負担割合の検討が必要。)。

精神科領域では、その他にも「心的外傷等に対する心理支援」について公認心理師が行う心理支援に対する評価の新設、「不適切な養育に係る体制」について児童思春期精神科の入院医療を実施する病棟で小児入院医療管理料を算定する病棟で評価されれているように虐待対策チームによる適切な支援を実施した場合の評価の新設、「精神障害者に対する就労支援」について診療情報提供料(Ⅰ)の情報提供先として就労選択支援事業所を追加することなど議論されている。

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