令和5年12月27日の第576回中医協総会の資料が公表されている。テーマは、医療DX・臓器移植・医療安全/訪問看護ステーション・敷地内薬局・医療技術の整理・訪問診療、往診等の距離要件となっている。
〇敷地内薬局、処方箋料は院内薬局としての評価を検討
そもそも、なぜ敷地内薬局を認めたのか、そんなことを思ってしまう。それは同情というわけではないが、非営利法人の薬局に限定するとか、高度薬学管理機能に限定する、地域連携薬局に限定するなど事前に考え尽くしてから敷地内薬局を認めるというのでよかったのではないかと思う。今回の議論だけではなく、ここまでの調剤報酬における敷地内薬局の議論ではそう思ってしまうことが多々あった(参照:敷地内薬局はグループとしての評価へ。在宅移行期の医師との連携で処方提案等に対する評価を検討。)。でも、同情ではない。敷地内薬局がビジネスモデル化していることや、これまでも敷地内薬局に対する「警告」のような調剤報酬改定の議論は繰り返し行われてきたからだ。
敷地内薬局について、診療報酬の側面から議論が行われた。敷地内にあることから、院内処方と同様の評価(処方箋料から処方料)を検討する、という。
厳しい内容と見えるが、以前から議論には出ていたことで、ある程度は予想できたと思う。患者視点では、門前にあるよりも圧倒的に便利だが、敷地内にあることで医療機関の一部のようにも見え、かかりつけ薬局とみる向きは乏しいといえる。また、医療機関との連携も乏しいとの調査結果もある。
薬局の今後は「患者のための薬局ビジョン」にある(参照:改めて読み返し、基本姿勢に立ち返るための「患者のための薬局ビジョン」)。敷地内薬局も、患者のための薬局ビジョンに基づいて考えると、立地は日常生活圏ではないものの、かかりつけ機能(地域支援体制加算や専門医療機関連携薬局など)を持つと共に、オンラインによる対応や配送機能を持つことで、患者のための薬局ビジョンが描く今後のあるべき姿に近づけることはできる。調剤報酬においても(調剤基本料3ハのようなグループ全体の評価引き下げの可能性)、診療報酬においても(院内処方と同じ評価の可能性)厳しい見直しが予想されるが、患者のための薬局ビジョンが描く姿(対人業務の強化)に近づける努力で患者からの理解を得られるように取組むことが求められる。
〇医療安全、特定集中治療室管理料や救命救急入院料等で医療安全管理加算1を要件に
令和6年度からの第8次医療計画では、「医療の安全の確保」がテーマの一つに挙げられている。医療安全支援センターにおける相談員の研修を推進することなどの他、病院における医療安全の取組への客観的な評価による医療安全体制を推進していくために、他の病院から医療安全対策に関して評価を受けている又は第三者評価を受審している病院数の割合を新たに項目へ盛り込むこととなっている。
そこで、特定集中治療室管理料や救命救急入院料等では医療安全対策加算1を要件に加えることを提案している。なお、既に特定集中治療室管理料等を届出る医療機関の多くは医療安全対策加算1を届出していることが分かっている。