平時の連携に対する評価、流行初期医療確保協定に対する新たな評価区分の設定を検討。抗菌薬の適切な処方の実績に基づいた評価を行うことに。

12/08/2023

r6同時改定 医療安全 外来診療 経営 小児・周産期 診療報酬特例措置 入院医療 薬局

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 令和5年12月06日、第570回中医協総会が開催された。テーマは、救急医療・高度急性期入院・感染症対策となっている。ここでは、感染症対策について確認してみよう。

令和6年度からの第8次医療計画では、従来の5事業に新たに新興感染症対応が加わる。


今回の新型コロナ感染拡大での経験を活かすべく、平時からの取組と感染拡大時の取組をしていくために、今年度中に都道府県との連携協定を締結することが進められているところ(参照:感染対策向上加算、新興感染症対策への対応への備えを。抗菌薬の使用量の適正化を連携を通じて強化へ。)。



連携協定の目標は全国で3000医療機関とし、感染拡大が起きた時の流行初期に対応できる医療機関を500医療機関と想定している。こうした連携協定を締結することで、平時の連携と感染拡大時の連携を推進することにしているが、こうした連携協定の締結を既存の(外来)感染対策向上加算の要件に盛り込んでいく方向で議論が進んでいるが、その一方で流行初期に対応できる500医療機関については、さらに高い区分の評価の新設について提案がなされている。平時における役割分担・連携に対する評価の在り方を中心に、(外来)感染対策向上加算の在り方が見直されていきそうだ。


なお、前回の診療報酬改定では薬局に対しても感染症への対応として、地域支援体制加算を算定する薬局に対して連携強化加算を新設している。先の連携協定には薬局もその対象となっていることを踏まえて、その要件であるオンライン服薬指導の体制や配送対応、時間外対応などに対する評価についても検討されることとなる。


新興感染症以外の感染症に対する取組についても検討が必要だ。そこで話題になったものの一つに「院内トリアージ実施料」だ。特例は今年度中には終了するが、空気感染や飛沫感染で広がる感染症に対して、標準予防策だけではなく追加的な対策が必要であるとして、院内トリアージ実施料の特例を平時でも継続していくことや、実際に発熱患者を診療した場合の評価として平時でも評価を継続していくことの要望が出ている。


また、高齢者施設等との連携・相談対応についてもこれまでも議論されてきたところだが、介護報酬改定に向けた議論においても、医療機関との平時の連携について検討されていることが紹介され、感染対策向上加算1などの高度急性期病院との連携というよりも、協力医療機関とも期待される在宅医療の対応ができる地域包括ケア病床を有する病院など(感染対策向上加算2や3)や在宅療養支援診療所やかかりつけ医機能の有る外来感染対策向上加算との連携が求められているとのことで、診療報酬においてもそういった方向に寄せていくことになるのではないだろうか。


高齢者施設との連携以外にも、(外来)感染対策向上加算の届出がない医療機関との連携、必要に応じた支援なども今後議論が必要だろう。

また、抗菌薬の適正使用についても議論が行われている。抗菌薬の適正使用については、これまでも診療報酬で度々テコ入れがあり、使用量は減少しているものの、診療所での使用量はまだ多い傾向にある。そこで、来年度からの第4期医療費適正化計画では、抗菌薬の適正使用に関する新たな目標値を各都道府県で設定することになっており(参照:医療費適正化に向けた議論を確認 ~後発医薬品の推進、入院から外来診療への移行の促進など~)、診療報酬で後押しすることになる。


感染対策連携共通プラットフォーム(J-SIPHE)への参画と抗菌薬の適切な処方について実績に基づいた評価を行うことなど厚生労働省から提案されている。


また、急性中耳炎及び急性副鼻腔炎の患者のうち一定程度が小児科外来診療料や小児かかりつけ診療料を算定する患者に含まれているが、抗菌薬の投与の必要性が認められないため抗菌薬を使用しない場合における療養上必要な指導等については、小児抗菌薬適正使用支援加算の評価対象となっていない問題について提示があった。

急性中耳炎及び急性副鼻腔炎を小児抗菌薬適正使用支援加算の対象疾患に加えていくこととなりそうだ。

第8次医療計画のスタート、介護報酬改定の議論を受けて、平時の連携についてはもう少し議論の整理と調整が必要にも感じる。

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