特定疾患療養管理料や遠隔ICUモニタリングなど、様々な動向を私の体験から確認。

3/22/2024

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令和6年度診療報酬改定が告示され、6月からの対応に向けた動きが出てきている。個人的に目にし、感じたことなどご紹介したい。

ベースアップ評価料について

賃上げ対応として新設された、今回の診療報酬改定の重要ポイントの一つだが、ややネガティブに捉えている方が少なくない。よく言われるのは、ベースアップ評価料がいつまで続くかわからないことに対する不安。しかしその一方で、今回の診療報酬改定は賃上げが強調されていることから、従業員の皆さんが知っているところ。あえて、ベースアップ評価料は算定せず、臨時賞与等での対応を考えているというものも耳にする。その一方で、看護職員処遇改善評価料を算定している医療機関においては、今回のベースアップ評価料とスキームが似ていることもあり算定は前向きな印象。また、介護保険施設を併設する医療機関においても、介護報酬で処遇改善があることから、バランスをとるためにベースアップ評価料を算定する意向が多いように感じている。今後も引き続き注視し、情報を発信していきたい。


特定疾患療養管理料・生活習慣病管理料等の慢性疾患の管理について

高血圧症、糖尿病、脂質異常症が対象から除外されることになり、生活習慣病管理料での管理へと多くが移行することになる。そうした状況の中、高血圧症患者に対してNT-Pro BNPを積極的に行い、心不全を早期発見し、特定疾患療養管理料による心不全患者としての疾病管理を継続していくことを考えた動きがみえようとしてる。NT-ProBNPについては、昨年日本心不全学会から「血中BNPやNT-proBNPを用いた心不全診療に関するステートメント2023年改訂版」が公表されたところ。毎年1万人ずつ増加しているともいわれる心不全患者の早期発見・治療介入は、循環器病対策推進基本計画の目標達成に向けて重要なポイントともなる。


また特定疾患療養管理料及び生活習慣病管理料、地域包括診療料/地域包括診療加算においては、患者の求めに応じて、長期処方・リフィル処方箋に応じることが求められることになる。患者からの要望が今後出てくることを想定しておくことが必要だ。そこで、事前に長期処方・リフィル処方箋への対応方針を明確にしておくことが望ましいと考える。いくら患者からの強い要望があったとしても、医師の判断で対応不可のケースもある。そうした医療機関側の姿勢をあらかじめ知らしておくことが有効に働くこともあるだろう。合わせて、受診しない期間を薬局薬剤師による服薬フォローを、そして次回の対面診療に備えた情報のフィードバックを求めるなどの取組(調剤報酬における服薬情報等提供料2)なども意識しておくことで、患者の重症化予防や必要に応じた受診勧奨につながる。

また、長期処方・リフィル処方箋で創出された時間を、重症化リスクの高い患者の診療時間に充当させることやかかりつけ医機能である地域包括診療料/地域包括診療加算を目指すための取組に充てることも合わせて検討し、令和7年度からのかかりつけ医機能報告制度に備えたい。


遠隔ICUモニタリング(特定集中治療室遠隔支援加算)について

勤務医の負担軽減・医師不足対策の一環といえる遠隔ICUモニタリングに関する評価が新設された。対象となるのは、新設される特定集中治療室管理料5・6で、宿日直許可を行っている医師を含む集中治療を行うにつき必要な医師が当該医療機関内にいること、治療室内に特定行為研修修了者等の看護師を配置していることが求められる。そうした治療室を支援するためのものだが、従来の特定集中治療室管理料1・2から、手術や救急等への充実した対応を考え、遠隔ICUモニタリングを受ける側を選択しようと考える医療機関もありそうだ。グループ経営をする医療機関なども同様に。地域の実状によって、様々な選択がこれからも出てくることが考えられ、高度急性期領域における地域医療の在り方にも変化が出てくることが考えられるかもしれない。

なお、遠隔ICUモニタリングは支援を受ける側である特定集中治療室管理料5・6に加算されるもの。しかし、支援をする側である特定集中治療室管理料1・2も研修を実施したり、何よりもモニタリングをするなどの負担が発生している。そのため、支援を受ける側に対して、後日支援をする側から負担相当の請求をすることになる。遠隔連携診療料なども同様の考え方だ。

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