包括評価の病棟(DPC以外)と生活習慣病管理料Ⅰ・Ⅱに関する併算定の整理と病棟転換・生活習慣病患者への対応策

3/10/2024

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 新設される地域包括医療病棟は高齢患者の急性期に注力する内容であることから、その包括範囲をみると、DPC対象病棟に近いことが分かる。なお、地域包括医療病棟はDPC算定対象外となる。


今回の診療報酬改定では、重症度、医療・看護必要度の要件が厳格化され、200床未満病院に対する緩和的対応もなくなった。そのため、該当患者割合を満たすことが難しい病院の場合は、地域包括医療病棟は一つの選択肢となりうる。しかしながら、地域包括医療病棟には、常勤のセラピストが2名以上、常勤の管理栄養士が1名以上必要であることや救急受け入れ実績の他、退院・転棟時のADL維持率が95%以上必要であるなど、手厚い人員と成果が求められる。また、リハビリテーション・栄養・口腔連携加算の算定を考えると、こちらも成果が求められる内容となっている。


成果を出すには、個人のスキルアップが大事になってくる。とはいえ、スキルアップの時間を確保したり、個人の自己責任で学びを任せるのは良い結果にはつながらない。そこで、クリニカルパスの運用並びに運用を通じて発生するヴァリアンスの収集とクリニカルパス本体の定期的なアップデートが改めて重要だと思う。成果を出す、ということと同時に悪手(あくしゅ。その場面でやるべきことではないことという意味)を指さないことが大事だ。

ところで、併算定の表を見ると地域包括ケア病棟に今回も病棟薬剤業務実施加算1が対象に加わらなかったことに気づく。地域包括医療病棟では算定可能だ。また、療養病棟入院基本料を見ると、栄養サポートチーム加算に「経腸栄養管理加算を算定する場合は算定不可」とある。この経腸栄養管理加算は療養病棟入院基本料のみの加算だ。中心静脈栄養の要件が厳格化されたことに伴い出来たともいえる。栄養サポートチーム加算の届出もしくは経腸栄養管理を担当する専任の管理栄養士がいることが要件となっており、経腸栄養管理加算を算定する期間(7日間)は栄養サポートチーム加算の算定ができない、という意味だ。

参考:栄養管理を軸にした連携の評価は、医療従事者・介護従事者の負担軽減という結果を生み出す


特定疾患療養管理料及び特定疾患処方管理加算の対象疾患から高血圧症・糖尿病・脂質異常症が除外され、生活習慣病管理料Ⅱでの対応が求められる医療機関が多く出てくる。病院にとっては評価が上がることになる一方で、診療所は下がることになる。個人的に感じるのは、生活習慣病については検査体制があり、多職種連携がしやすい病院や専門診療所(紹介受診重点医療機関など)での診療と慢性腎臓病リスクの早期発見・早期介入が期待されている見直しのように感じた。生活習慣病料料Ⅰ・Ⅱと慢性腎臓病透析予防指導管理料等は併算定が可能となっている。


慢性疾患の管理では、長期処方・リフィル処方箋に応じることも求められている。注意いただきたいのは、あくまでも医師の判断の上、患者の要望に応じるかどうかを判断する、ということだ。今後、リフィル処方箋等への対応は掲示板やウェブサイトに掲示することになるため、患者側からの要望も出てくるだろう。そこで、リフィル処方箋等に関する対応の方針を策定し、明示することまでも視野に入れておきたい。


リフィル処方箋は考えようによっては働き方改革の施策の一つともいえる。病状が安定している患者に充当していた時間を、重症化リスクの高い患者に振り分けて手厚く対応していくということで診療報酬上の評価のメリハリをつけ、経営面でもメリットを出せることはできる(参照:連携に関する診療報酬項目・リフィル処方箋で医療依存度の高い患者と医療従事者本人のための時間を創出する)。改めて、通院されている患者の状況を確認して、今後に備えておきたい。また、リフィル処方箋等実施する場合は、薬局との連携で服薬フォローと処方元へのフィードバックの連携を忘れずにしておきたい。次回の対面診療に向けて、診察の備えもできるし、場合によっては薬局薬剤師を通じた受診勧奨もできるからだ。

なお、慢性腎臓病対策については、新たに糖尿病を原因とする患者以外も対象とする慢性腎臓病対策透析予防指導管理料が新設されている。こちらについては、成果が求められる内容となっているため、糖尿病透析予防指導管理料の加算である高度腎機能障害患者指導加算に近い内容だ。


リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算などと同様、成果が求められる内容となっている。ここでも、クリニカルパスの運用など、特に外来の場合は患者用パスも工夫をして、患者の闘病意欲を掻き立てるような内容としたい。

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