医療資源が限られた地域こそ、連携を通じた働き方改革・負担の分散を~診療報酬・調剤報酬にみる連携と負担軽減の評価を再確認~

6/11/2024

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令和6年度診療報酬改定では、賃上げ・働き方改革の推進に重きが置かれているが、連携を通じて働き方改革を実現する項目が増えている点だ。医療資源が限られているへき地樋場られる地域などにおいては、医療機関単独での働き方改革・負担軽減には限界がある。そこで、同一地域にある他の医療機関、薬局等との連携を強化して、負担を分散し、負担する側に対する経済的なインセンティブが発生するような取り組みが必要だ。連携を通じた負担の分散と経済的インセンティブについて確認をしてみよう。


〇医療機関と薬局との連携でできること
調剤報酬に「服薬情報等提供料」というものがあり、1-3の区分がある。この中で1-2については、これまでも紹介してきたが、主に長期処方・リフィル処方の患者等に対する薬局薬剤師による服薬フォローとその結果を処方元に連携する、というものだ。生活習慣病管理料や地域包括診療加算などの対象患者で、長期処方を実施する場合は有効なもの。

そして、服薬情報提供料3についてだが、これは入院予定患者の服薬調整・持参薬確認を薬局薬剤師に行ってもらうことを評価するものだ。例えば、手術予定の患者の情報をかかりけ薬局に連携し、抗凝固剤等を調整し、入院前に受診しているすべての医療機関からの処方薬情報を整理し、文書で入院する医療機関に提供することだ。持参薬の確認には、時間を割く。こうした薬局の協力を得ることで、持参薬確認の時間を大幅に縮減し、他の業務に時間を割くことができ、生産性の向上につながる。「服薬情報等提供料」とは、医療機関の働き方改革を支援することで、薬局の調剤報酬にもつながるようになっている。

また、今回の調剤報酬改定では「在宅移行初期管理料」が新設されている。「服薬情報等提供料3」と対となるようなもので、退院から在宅療養の間に薬局薬剤師が訪問するというもの。開業医や介護支援専門員の負担を軽減するものとして注目される。


〇医療機関と栄養の連携
とある地域では「オープン栄養外来」と呼ばれる取組をしている病院がある。診療所の多くには管理栄養士が配置されていないため、栄養指導が不十分になりがちだ。そこで、病院の管理栄養士に開業医から自身が受けもっている患者の栄養指導を依頼し、栄養指導をしてもらう。この場合、指示を出した開業医側に「外来栄養食事指導料2」が算定される。栄養指導をしていただいた病院からはその後「外来栄養食事指導料2」の一部(5-7割程度)を請求することが可能となっている。管理栄養士を地域の貴重な共有財産として活躍してもらえる。なお、オンラインによる栄養指導でも評価される。栄養ケア・ステーションの活用も可能だ。
生活習慣病管理料Ⅱでは、外来栄養食事指導料の併算定は可能となっているので、重症化予防の観点で積極的に利用することが期待される(参照:生活習慣病管理料Ⅱを算定する医療機関に求められる連携の視点と評価の整理)。


〇医療機関同士の連携
指定難病・てんかんについては、それぞれ都道府県に診療連携拠点病院が認定・設置されている。しかしながら、その数は少なく、患者が集中することで医師の負担は重く、患者の受診待ちステータスが長くなりがちだ。また、患者の居住地によっては通院にも困難が生じるケースもある。「遠隔連携診療料」は、そうした問題を解決するため今回の診療報酬改定で見直しが図られている。「遠隔連携診療料」は通称「D to P with D」と呼ばれる。主治医と患者がオンラインで専門医療機関の医師から診療の助言を受けるというもの。先に挙げた様々な問題を解決するために作られた。今回の改定では、指定難病の患者についてはこれまでは疑いから確定診断までの期間しか算定できなかったものが、今回より確定診断後の継続診療についても3か月に1回算定ができることとなった。

患者にとっては大きなメリットであるとともに、診療連携拠点病院の医師にとっても負担の軽減につながることが期待される。なお、先の「外来栄養食事指導料2」と同様に、診療報酬自体は主治医側で算定することとなるが、その後診療連携拠点病院から請求することは可能だ。
また、「遠隔連携診療料」を実施する一般病床200床以上の紹介受診重点医療機関等においては、その対象となる患者については逆紹介患者数としてカウントできる点に注目したい。


働き方改革・負担の軽減は、自院だけの取組では限界がある。無理をせず、頼ることで頼られた側にも診療報酬・調剤報酬上でもメリットがある。特に、薬局に話を聞くと、医療機関側からの声かけをずっと待っているといった話も耳にする。多くの地域では人口減少が進み、高齢者の割合も高まってくるなか、こうした連携を通じた働き方改革・負担の軽減の取組みは必要不可欠なものとなってくる。

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