電子カルテ情報共有サービスに関する導入補助金、そしてモデル事業を年明けから開始へ

6/12/2024

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 令和6年6月10日、厚生労働省にて第22回健康・医療・介護情報利活用検討会医療等情報利活用ワーキンググループが開催され、医療DX3つの柱(オンライン資格確認・電子処方箋・電子カルテ情報共有サービス)の一つ電子カルテ情報共有サービスについて議論された。

電子カルテ情報共有サービスとは、異なるメーカー製の電子カルテに入力・蓄積された情報を連携・共有するためのフィルタのようなもので、そのフィルタである電子カルテ情報サービスを通すことで、情報が共通のフォーマットに整理される。



電子カルテ情報共有サービスでは、いわゆる3文書6情報の共有の他、診療情報提供書のやりとり、患者サマリを患者が閲覧できるなどの機能が提供される。


特に注目したいのは、患者サマリ。生活習慣病管理料では療養計画書の作成・署名をいただく・概ね4か月ごとの患者への交付が求められているが、この患者サマリの利用で療養計画書の作成・交付等は不要となるもの。医師の負担軽減に期待されるとともに、患者に閲覧してもらい、行動変容を促すためのメッセージがあり方を検討する必要があるだろう。


電子カルテ情報共有サービスについては、「昨年公表されている改革工程表2023にて令和6年度中の稼働(参照:「改革工程表2023」より、医療機関・薬局の経営と実務、健康寿命延伸・医療費適正化に関するポイントを整理しました。)、医療DX推進体制整備加算」の要件として、令和7年9月末までの導入が求められている(参照:マイナ保険証使用促進集中取組月間、6月以降の支援制度を見直し、4月25日を皮切りにスタート。)。電子カルテ情報共有サービスというだけあって、電子カルテが必要となるとともに、標準規格である「HL7FHIR」対応が必要だ。そこで、導入に向けた補助、またすでに電子カルテ導入済み医療機関が標準規格に対応するための更新に対する補助「電子カルテ情報共有サービスの導入に係る補助金」が出ている。令和13年3月31日までに電子カルテ情報共有サービスの導入を完了した上で、令和13年9月30日までに申請すれば、補助金交付の対象となる。



よく見てみるとわかるが、病院のみが対象となっている。診療所については、今後医療情報化支援基金等からなど期待したいところだが、現状ではIT導入補助金2024の利用ということになるだろうか(参照:医療・介護領域で利用できそうな補助金・助成金について(令和6年5月10日時点))。

なお、この電子カルテ情報共有サービスのモデル事業を令和7年1月より9地域で実施することが明らかにされた。


ここで気になることがある。私もよく質問を受けるのだが、「電子カルテ共有サービスができるのであれば、地域医療情報連携ネットワークは将来的に不要になるのですよね?」というもの。確かに両者はその違いが分かりにくい。今回のモデル事業ではそのあたりの解消も検討材料の一つになるだろう。


ちなみに、私は電子カルテ情報共有サービスと地域医療情報連携ネットワークサービスは異なるもの、と回答している。前者は全国縦断のユニバーサルサービスで、後者は地域により密着したローカルサービス。前者については、主に診療・治療の継続(かかりつけ医の明確化や被災した後も他の地域で診療を継続するなど)と重複サービスを除外して医療費の抑制にもつなげる期待がある。後者については、介護事業・障碍者支援事業・保育事業者なども含めて地域でのスピーディーな対応とACPの共有・実施の期待がある。

モデル事業の開始までの状況、実施後も注意深く見ていきたい。

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