令和8年度診療報酬改定は、新たな地域医療構想を見据えて、地域における医療機関そのものの役割・機能を明確化し、地域内での連携をうまくかみ合わせていくことが目的となっているといえる。その新たな地域医療構想では、外来・在宅、介護施設、そして精神も含めた地域医療提供体制作りが目的となる。しかしながら、精神領域に関する方針はまだ明確になっていない。だが、令和8年度診療報酬改定の傾向から見えてくるのは以下の3点だ。


・1年以上入院する患者で地域移行できる患者を早期に退院、通院と時々入院でフォローアップ

・一般医科との連携、慢性疾患を含む身体合併症の対応といった高齢患者対策の強化

・「精神科におけるかかりつけ医機能」を発揮する環境整備






参考:精神科領域の地域医療構想と地域包括ケアシステムの考え方


参考:精神科診療所の「かかりつけ精神科医機能」を明確化する議論がはじまる


参考:精神領域の医療提供体制に関する論点が示される。




 とりわけ、地域移行については病床削減を促しつつ、外来・在宅の比重を高めることで経営が成り立つように「精神科地域密着多機能体制加算」が新設され、注目を集める。病床数が少ないほどに評価が高くなっているが、常勤の精神保健福祉士2名以上の配置や平均在院日数の要件など決して簡単ではなく、病床削減をするにしても、外来と病棟の一元管理体制をすすめつつ地域住民・障害福祉サービス事業者と理解と協力を得ながら慎重に進めていくことも必要と考えられる。




 昨年の6月6日、自由民主党・公明党・日本維新の会による3党合意が結ばれた。その合意のでは、約11万床の病床削減が盛り込まれていたことが話題になったが、その約11万床のうち約5万3千床の精神病床が占めている。その根拠は、医療計画における基準病床数を上回る病床数だ。




 今後、新たな地域医療構想における精神病床の在り方についても議論されていくことになるが、その基本的なスタンスとして考えられるのは、病床削減を含む病床数と機能の適正化が積極的に行われていくことになるということだ。


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精神病床の直近の推移を確認する

 令和7年4月時点・令和8年3月時点・令和8年4月時点の施設基準の届出情報から地方厚生局単位で精神病床の推移を確認してみる。


















 直近1年間で4,634床減少している。最も減少数が多いのは関東信越で1,088床減となっているが、割合でみると東北が最も多く2.68%減となった。なお、減少割合が最も低いのは九州の0.91%で、唯一1%を割り込んでいるが、602床減と4番目に減少数は大きい。


 都道府県単位で見てみると、最も多く減少しているのが北海道で360床の減少(1.89%減)で、次いで静岡県で357床の減(5.63%減)、福島県で331床の減(4.97%減)となっている。なお、基準病床数と比較すると、北海道は3,330床超過、静岡県は492床超過、福島県は2,076床の超過という状況だ。基準病床数とのギャップが最も小さいのは、愛知県の322床超過、次いで静岡県の492床超過、東京都の496床超過という具合だ。






 この1年間で精神病床は全都道府県で減少していることは確認できたが、基準病床数との開きが依然として大きい都道府県は多い。今回の診療報酬改定から読み解けることとしては、250床以下の1年以上の長期入院患者が多くを占める病院から病床削減を進め、200床未満の病院であれば在宅療養支援病院の届出も視野に入れながら、訪問看護や障害福祉サービス事業の展開・外来機能の強化を図っていくことが求められていくことになるだろう。一方で、入院期間が長期化せざるを得ない状態の患者に対しては、身体合併症対策や特殊疾患病棟の対応、一般病院との連携強化など図っていくことが必要になるだろう。



NDBから確認する精神療養病棟入院料と特殊疾患病棟入院料2のトレンド

 入院期間が長期になる傾向の精神療養病棟入院料・特殊疾患病棟入院料2について、NDBオープンデータの第8回(令和3年度)~第10回(令和5年度)を用いて、算定回数の推移を整理した。病床数ではなく、算定回数であることにご注意を。






 いずれも増加傾向にあることから、入院期間が長い患者が増え、入院患者の高齢者割合が高まっていることも考えられる。地域移行できる患者をどれだけ見いだせることができるか、新たな地域医療構想における精神領域の議論を注目していきたい。

 

 今後、精神病床数の推移について定期的にレポートしていく。