令和8年6月26日、第33回 健康・医療・介護情報利活用検討会 医療等情報利活用ワーキンググループが開催され、本年冬以降の全国的な運用開始を控える電子カルテ情報共有サービスに関する検討事項の対応方針、電子カルテの普及に向けた今後の予定について議論されている。ここでは、電子カルテの普及に向けた今後の予定について確認する。


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遅くとも、令和12(2030)年までに概ねすべての医療機関に、必要な患者の医療情報を共有するための電子カルテの導入を目指すことが目標

 令和5年6月の医療DX推進本部の会合において、2030年までにすべての医療機関に電子カルテを導入する方針が示され、昨年の通常国会で成立した医療法等改正の中でも「2030年末までに電子カルテの普及率約100%を達成するよう、医療機関業務の電子化(クラウド技術等の活用を含む)を実現する」という文言が盛り込まれた。


参照:医療DX推進本部初会合、関係省庁の取組方針を確認する

参照:医療DXのこれからの工程表案、標準規格に対応した電子カルテの導入促進を明記

参照:標準型電子カルテ、2026年度中の完成を目指す。電子処方箋については、「電子カルテ を整備するすべての医療機関への導入を目指す」ことに


 期日が明確になっていること、クラウドベースを基本に据えている点が注目される。さらに、今夏中にも今後の普及計画を策定する予定となっている。多くの医療機関で電子カルテのリプレイスの時期を迎えていることもあり、普及が遅れている電子処方箋と今冬からの運用を目指す電子カルテ情報共有サービスの一体的導入を要件とした支援策など考えられる。






 今回の検討では、開発が進んでいる標準型電子カルテ/標準仕様に準拠した電子カルテに関する今後の予定を中心に議論されている(標準型電子カルテはデジタル庁が設計・開発をしているプロダクト。標準仕様に準拠した電子カルテとは、既存のオンプレ型電子カルテ等をクラウド型に移行して電子カルテ情報共有サービス等との連携を標準とするもので今後、厚生労働省が認証する)。

 診療所向けの標準型電子カルテ及び標準仕様に準拠した電子カルテについては令和9年4月のリリース、中小規模病院向けの標準仕様については、今年度から電子カルテメーカー各社で開発に取り組む(中小規模病院向けにはプロダクトとして標準型電子カルテの提供予定はなく、標準仕様に対応した廉価な電子カルテが各社からリリースされる見通し)。






 標準型電子カルテ等の特徴としては、クラウド型であること、データな国内で保持されることなどあるが、個人的に一番のポイントと考えられるのが、診療記録は紙ベースとなっている点だろう。キーボード入力など苦手意識がある医師にとっては導入しやすい。診療科によっては叙述的な規則も多くなる場合もあることから、診療科の影響を受けない。ただし、必要最低限の機能(ゆえに廉価)であることから、部門間連携などについては別サービスの契約が必要になるだろう。しかし、機能がリッチでも使わない機能が多いものも多くあることを考えるとかえってそれがよいのかもしれない。






標準型電子カルテ/標準仕様に準拠した電子カルテのリリースは令和9年4月から

 令和8年度診療報酬改定では、医療DX推進体制整備加算から電子的診療情報連携体制整備加算へと見直され、その施設基準の中で「厚生労働省が認証する電子カルテ製品であること」という文言が入っている。標準仕様に準拠した電子カルテ、のことだが、厚生労働省による認証のスケジュールが今回示されている。




 認証制度の要綱を本年9月に公開し、受付と審査を随時実施し、来年4月に標準仕様に準拠した電子カルテをリリースできるようにするとのこと。このブログでは掲載していないが、認証制度の要綱案も公表されている。





 クラウド環境については、
政府共通のクラウドサービスの利用環境である「ガバメントクラウド」を基本にしている。利用にあたっての基本的な対応は、デジタル庁が指定するクラウド事業者とデジタル庁の間で直接契約を行い、ガバメントクラウドを利用する事業者はデジタル庁から発行された管理者権限ユーザーで環境にログインし、初期セットアップを実施するようになっている。申請にはガバメントクラウドに関する事前相談を受けることとなっているので、その際に対応など指示があるのではないだろうか。事前相談の結果によってはガバメントクラウドを使用しないという選択肢も準備されている。実際に利用する医療機関側からすると、ガバメントクラウドをしているか否かは、信頼・信用の観点から導入判断に際して影響しそうな気がする。


 電子カルテの技術的な議論とリリースに向けたタイムラインはぼかたまった。まもなく策定されるという電子カルテ/共有サービスの新たな普及計画に注目が集まる。