一部保険外療養(代替性の高いOTC類似薬の薬剤費の一部を保険給付から除外)の施行に向けた中間とりまとめが行われる
令和8年8月5日、第4回OTC類似薬の保険給付の見直しの実施に向けた技術的検討会が開催された。令和9年3月からはじまる代替性の高いOTC類似薬の薬剤費の一部を保険給付から除外(OTC類似薬の薬剤費の4分の1を保険外の別途の負担)する「一部保険外療養」に関する、対象となる医薬品・負担を求めない患者や療養の範囲といった今後の方向性に関する中間とりまとめが行われた。
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ここでは、中間とりまとめのポイントを整理してお伝えする。
中間とりまとめの概要
一部保険外療養の仕組みをざっくりと紹介すると、以下の3点になる。
・ 対象となるOTC類似薬は、OTC医薬品と成分・投与経路が同一で、一日最大用量が異ならない医療用医薬品(77 成分)とすること
・ 当該OTC類似薬を使用する方に当該OTC類似薬の薬剤費の4分の1を保険外の別途の負担としてお支払いいただくこと
・ 引き続き必要な医療が確保されるよう、こども、がん患者や難病患者など配慮が必要な慢性疾患を抱えている方、低所得者、入院患者、医師が対象医薬品の長期使用等が医療上必要と考える方等に対しては、別途の負担を求めない配慮を行うこと
今回の中間とりまとめは、技術的な側面の内容に関するものとなっており、対象となる医薬品、対象外となるケースの考え方について明らかにされている。
対象となる医薬品について
対象となる医療用医薬品とOTC医薬品は成分、投与経路が同一で、一日最大用量が異ならないものであり、代替性が特に高い医薬品を対象医薬品としている。なお、剤形が一致するOTC医薬品が存在しない場合であっても、同一成分・同一投与経路のOTC医薬品が存在する場合には、剤形が異なるにとどまることから、代替性は否定されないものと記載されている。
また、成分の含有量又は濃度が一致しない場合であっても、一日最大用量の設定がない場合や、OTC医薬品の方が医療用医薬品を上回る含有量又は濃度を有する場合には、医療用医薬品の一日最大用量が明らかに高いとまではいえないことから、代替性は否定されないものとしている(成分が完全に一致しない配合剤や、医療用医薬品の方が一日最大用量が大きい場合には、代替性がないものとなっている)。ただし、対象医薬品のうち特定の成分については、医療用医薬品とOTC医薬品が同一の成分であっても効能・効果が一致しない場合がある。そこで、OTC医薬品において認められていない効能・効果を目的として医療用医薬品を使用する場合は、別途の負担を求めないこととされた。
一部保険外療養による負担を求めない患者と療養の範囲について
がん患者や難病患者など配慮が必要な慢性疾患を抱えている方、入院患者、医師が対象医薬品の長期使用等が医療上必要と考える方等には、一部保険外療養による負担を求めないことが明確にされている。
がんの治療中(治療行為を伴う診療を継続的に受けている場合又は治療開始に向けて具体的な治療計画の下で継続的な診療管理を受けている場合)に、がんやその治療に関連して生じた状態」に対する対象医薬品の使用についても負担を求めないこととされた。
公費負担医療を受ける際に対象医薬品を使用する場合、指定難病患者で指定難病及び当該指定難病に付随して発生する傷病に対する対象医薬品を使用する場合、そのいずれにおいても一部保険外療養による負担を求めないとされた。
また、患者が入院中(退院時を含む)に対象医薬品が処方された場合や処置等の一環として行われる処方に該当する場合、14日分までは一部保険外療養による負担を求めないこととされた。なお、ここでいうところの処置とは、医科診療報酬点数表の第3部「検査」のうち生検、穿刺その他の侵襲を伴う検査、第9部「処置」、第 10 部「手術」に位置づけられる医療行為を基本として、外来で実施される侵襲を伴う医療行為で生ずる疼痛管理、その他の処置後の急性期管理を目的として処方されるもの。
医師が対象医薬品の長期使用等が医療上必要と考える患者の場合について
①内用薬について
診療情報提供書、薬剤情報、お薬手帳、オンライン資格確認による薬剤情報等により、年間処方日数がおおむね50週を超える場合は一部保険外療養による負担の対象外とすることが示されている。なお、診療情報提供書等で確認できなかった場合は原則一部保険外療養の対象になるが、寝たきりの活動量低下に伴う慢性便秘症に対して、酸化マグネシウムを「90日分ずつ年4回」、「28日処方を概ね月1回」又は「リフィル処方箋の使用により同一処方が年間を通じて継続」で処方されるなど、年間処方日数がおおむね 50週に該当すると考えられる場合は医療上必要があるとできるとのことだ。
②外用薬について
外用薬については、種類・類型ごとに整理されている。特に影響が大きいと考えられる鎮痛消炎剤と皮膚保護材については、一定の条件があるものの令和10年度まで経過措置が設定されている。
抗真菌外用薬:一部保険外療養の対象
消毒薬:一部保険外療養の対象
点眼薬:通年性がある場合は一部保険外療養の対象外
鎮痛消炎剤:令和 10 年度末までの経過措置として、疼痛等の自覚症状が持続しこれまで通年で使用しているだけでなく、画像検査などで慢性かつ重度の疾患であることが客観的に確認され、医師が年間を通じた疼痛管理として継続使用が医療上必要と判断し、毎日使用することを指示して処方する場合に限り、一部保険外療養の対象外
皮膚保湿剤・皮膚保護剤・角化症治療剤:令和 10 年度末までの経過措置として、当該患者に対して毎日使用することを指示して処方する場合に限り、一部保険外療養の対象外
OTC医薬品 には「服用しないこと」と記載されている場合
OTC医薬品には「服用しないこと」と記載されている場合であっても、医療用医薬品においては必ずしも「禁忌」となっておらず、医療機関での処方が可能な場合がある。しかし、その記載の趣旨は一様ではない。そこで、3つのパターンで対応を整理している。
自己判断による服用を避け、医師による個別の判断を求めるもの:一部保険外療養の対象
OTC医薬品の効能・効果又は使用対象を限定するもの:効果効能の違いや療養の範囲等をもとに個別判断
原則として使用を避けることを前提とするもの:「妊婦」、「妊娠している可能性があるためOTC医薬品を服用できない女性」及び「授乳婦」は一部保険外療養の対象外とする。
今回の議論は技術的側面についてだったが、今後は制度の運用に関する議論もおこなわれ、本年秋に取りまとめが行われる予定だ。先月閣議決定された骨太の方針2026では、「OTC類似薬の保険給付の見直しの施行とその状況等を踏まえた2027年度以降の対象範囲の拡大に向けた検討」と明記されている。
参照:骨太の方針2026より、医療分野に着目 ~地域住民の健康増進に資する薬局機能・薬剤師の役割強化を、社会保障改革工程表を今年度末までに~
一部保険外療養の対象については、今後も折を見て議論され、拡大されていくことが考えられる。