2030年3月末までに、「すべての医療機関で電子カルテ普及率100%」「地域の拠点となる病院のサイバーセキュリティ対策100%」「大規模病院向けのクラウドネイティブ型の環境整備」を目指す方針が明確に
令和8年8月27日に開催された、第213回社会保障審議会医療保険部会において「医療情報化推進方針(案)」が示された。昨年12月12日に公布されている医療法等の改正の中で厚生労働大臣は医療情報化推進方針を作成することが明記され、さらに、骨太の方針2026にも明記されたところ。
なお、支払基金は本年10月に医療情報基盤・診療報酬審査⽀払機構(DX審査支払機構)に改組され、医療情報化推進方針の中期計画及び年度計画を速やかに策定する(事業終了後に厚生労働大臣のレビューを受ける)ことになる。そのため、医療情報化推進方針を本年9月末までに告示される予定だ。
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医療情報化推進方針に基づく今後の主な取り組みから確認する
昨年の医療法等改正では2030年までにすべての医療機関に(標準仕様に準拠した)電子カルテを導入することを目標に掲げられていた。なお、ここで言う「(標準仕様に準拠した)電子カルテ」とは、来年4月からリリースされる予定の標準型電子カルテ及び標準仕様に準拠した厚生労働省が認証する電子カルテのことを言う。具体的には、オンライン資格確認、電子処方箋、そして今年度中に始まる予定の電子カルテ情報共有サービスへの接続ができるクラウド型電子カルテと言える。すなわち、「全国医療等情報プラットフォーム」を利用できる環境を整備する、ということだ(これまでは、全国医療情報プラットフォームだったが、全国医療「等」)情報プラットフォームとなっている)。
最終ゴールは2030年3月末までに「すべての医療機関で電子カルテ普及率100%」「地域の拠点となる病院のサイバーセキュリティ対策100%」「大規模病院向けのクラウドネイティブ型の環境整備」と設定され、以下のような主な中間ゴールが設定される。
・2028年度末までに200床以上の病院(療養病床等が中心の病院を除く)の電子カルテ普及率約100%。
・同じく2028年度末までに救急隊と医療機関が傷病者情報を共有するための「救急医療情報連携プラットフォーム」の全国展開
・2027年度から標準型電子カルテ等と電子カルテ情報共有サービスの普及開始
参照:令和9年4月からの標準型電子カルテ/標準仕様に準拠した電子カルテリリースに向けたタイムラインが示される〜厚生労働省が認証する電子カルテ製品とは?〜
医療情報化推進方針の概要を確認する
医療情報化推進方針の基本的な考え方としては、クラウド移行をベースにしている。情報をつなぐことで、「業務効率化・生産性向上」「セキュリティ対策」「データの共有」といった3つの実現を目指す方針だ。
具体的な施策については、支払基金や医療機関だけではなく、行政・自治体においても医療費助成のオンライン資格確認や予防接種事務のデジタル化なども求められている。医療機関においては、電子カルテの導入が数値目標となっているが、本質的に求められていることは、電子カルテ情報共有サービスを介して全国医療等情報プラットフォームを活用できる環境を作り上げることだ。
厚生労働省 第213回社会保障審議会医療保険部会
全国医療等情報プラットフォームに関する詳細なタイムラインも確認しておこう。
画像データ等に関する情報共有は今のところ予定はされていないようだ。全国で共有するには容量の問題もあるのかもしれない。既存の地域医療情報連携NWなど地域内で完結する情報共有ネットワークとのハイブリッドな運用が必要になるのではないかと現時点では考えられる。
参照:全国医療情報プラットフォームと地域医療情報連携ネットワークの目的と役割を整理・理解して、共存する
電子カルテの新規導入や標準仕様のモデルへの切り替え、電子カルテ情報共有サービスの導入など、当然ながら投資が必要になる。今後、補助金なども検討されていくことになるだろう。また、令和10年度以降の診療報酬改定において、現行の電子的診療情報連携体制整備加算の施設基準の見直しや、医療機関の100%で電子カルテが導入されることを考えると、加算は廃止され、基本診療料に包括されていくことも考えられる。患者に負担を求めることには変わりはないことから、重症化対策などに積極的に活用していくことで負担いただくことに理解を得られるように意識して利用していきたい。