先行バイオ医薬品の保険給付の在り方に関する議論がはじまる
令和8年11月5日、第219回社会保障審議会医療保険部会が開催され、後期高齢者の医療保険料の設定方法の在り方と先行バイオ医薬品の保険給付の在り方に関する議論がはじまった。ここでは、先行バイオ医薬品の保険給付の在り方に関する議論と論点整理について確認していこう。
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「先行バイ オ医薬品について、バイオ後続品の普及促進に向けた環境整備の状況を踏まえ、保険給付 の在り方の見直しを検討」(骨太の方針2026より)
先行バイオ医薬品とは、一般的な医薬品である低分子医薬品とは異なる生物由来の医薬品の新薬のこと。低分子医薬品に比べて開発・製造コストが高くなることもあり。薬価は高額になる。低分子医薬品の後発医薬品のように先行バイオ医薬品にも後発品があるが、それをバイオ後続品(バイオシミラー)とよんでいる。
1,000万円以上の高額レセプトが増加傾向になること、単価使用よりもやや高額で長期にわたって使用される医薬品の影響が大きいことを以前ご紹介したが、医療費抑制の観点からもバイオ後続品への切替が積極的に推進されているところ。令和8年度診療報酬改定においても、バイオ後続品使用体制加算の要件が緩和されたり、一般名処方への対象追加とバイオ後続品調剤体制加算の新設及び特定薬剤指導管理加算3・ロでの評価の対象となったところ。
令和6年に公表された後発医薬品の新たなロードマップにおいてバイオ後続品に関する目標値が設定されたことを契機にバイオ後続品の使用促進に向けた環境整備が着々と進められ、医療費適正化の効果も出てきている。
参照:高齢者窓口負担割合の見直しに関する議論のキックオフ、増加傾向にある高額レセプト、現状ルールの仕組みで対応できること〜診療報酬改定後、療養・就労両立支援指導料 相談支援加算は139施設の増加〜
参照:安定供給を基本とした後発医薬品とバイオシミラー使用促進の新たなロードマップが策定・公表される
ところで、バイオ後続品の使用促進のための取組方針には、「令和6年10月から施行される長期収載品の選定療養も参考にしつつ、保険給付の在り方について検討を行う」という文章がある。バイオ後続品がある先行バイオ医薬品に対しても、患者の希望で先行バイオ医薬品を希望した場合に選定療養として患者に特別な負担が発生する、という制度の導入を検討したい、ということだ。
令和8年度診療報酬改定の議論において、先行バイオ医薬品の選定療養についての議論はあったものの、導入は見送られる結果となった。その理由は、先行バイオ医薬品とバイオ後続品とで適応症が完全に一致しない「虫食い効能」がある場合があること、そして注射剤がほとんどということで、デバイスによる操作等の違いがあることなどだったと記憶している。特に院外処方のケースで、薬局薬剤師の判断で変更となった場合の自己注射指導とその結果報告などでトラブルが生じる可能性もある。
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示された3つの論点、患者への啓発と高額療養費制度の壁
今回の議論では3つの論点が示された。基本的には、先行バイオ医薬品の選定療養を進めるにあたって障害となっていることを明確にして、対応策を考える、というものだと言える。
今回提示されている3つ目の論点では、患者の認知度を高めることを取り上げている。バイオ後続品の使用促進において、大きな壁となっているのが高額療養費制度だ。高額療養費の対象となるためにあえて高額な先行バイオ医薬品を選択する、ということだ。
参照:高額療養費制度が救うもの、阻害するもの
令和8年8月、令和9年8月と所得に応じて自己負担上限額が見直される。薬価改定が毎年行われ、先行バイオ医薬品の薬価も下がってきており、高額療養費を意図して選択することも難しくなりつつあり、あえてバイオ後続品を選択する方が患者の負担が少なくなることもある。
参照:令和8年8月/令和9年8月からの高額療養費制度の見直しの内容を事例も交えて確認する
患者本人の負担にどういった影響が中長期的にあるかをわかりやすく伝えることが必要になる。医療費抑制の意義なども大事だが、やはり自分自身や家族への直接的な影響を率直に伝えることが必要だ。



