新たな地域医療構想で期待される薬局の役割を確認する~調剤報酬改定との整合性、吸入薬指導加算を含めた服薬フォローアップと医療機関の負担軽減への貢献の視点~
地域医療構想といえば、病床機能及びそのボリュームを地域の実情に合わせて最適化するものというイメージがある。本年7月に公表された「2040年に向けた地域医療構想」の策定ガイドラインを見るとわかるように、外来・在宅・介護との連携が盛り込まれており、さらに精神医療に関するガイドラインが今年度中にできる予定となっている。
2025年度をゴールとした地域医療構想について言うと、病床の全体ボリュームは概ね当初の計画通りになる見通しとなっているが、その一方で病床区分のバランス、とりわけ急性期病床については比重がやや高く、その内訳にはまだ課題がある。令和8年度診療報酬会規定は、この急性期を高度急性期(急性期病院一般入院料)と包括/回復期(地域包括医療病棟入院料及び包括期充実体制加算)へ分散させることを目的としたような見直しとなった。
ただ、病床のボリュームは着実に減少し、当初の計画を上回る結果になる見通しだが、そこで課題になってくるのが地域での受け入れ体制の整備だ。単に在宅医療のボリュームを増やすとか、介護施設等の整備をしていく、というだけではなく、再入院予防という観点が重要になってくる。例えば、令和8年度診療報酬改定で新設された心不全再入院予防継続管理料など、地域の医療資源を有効活用していくことが重要になっている。例えば、栄養について、そして服薬管理について、自院単独でできることの限界を把握したうえで、近隣の医療機関、薬局、栄養ケア・ステーションとの連携を促進し、通院を継続、または電話等によるフォローアップで診療を継続していくことで重症化対策に組むことが経営の観点からもより重要になってくる。
新たな地域医療構想策定ガイドラインを読むと、薬局に関する記載が複数個所で確認できる。薬局に関しては、営利法人がほとんどであることもあってか、ボリューム等に関する目標はないものの、外来医療・在宅医療の提供において登場している。再入院予防の観点から、適切な服薬状況を通じて、再入院を防ぐことがその目的だと言える。
調剤報酬と新たな地域医療構想の整合性の観点で、服薬フォローアップに着目してポイントを整理・確認してみたい。
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薬薬連携の観点と服薬フォローアップ
診療報酬及び調剤報酬から、医療機関と薬局との連携に関する項目を整理してみた。
令和8年度診療報酬改定では、薬剤総合評価調整加算が見直され、入院中に実施したポリファーマシー対策の取り組みを、転院先・退院後も継続して実施していくための情報提供までが必要となったところ。そして、その実績が病棟薬剤業務実施加算1の実績要件となったことから、病院においても取り組みが加速してきている。令和8年7月から同年9月にかけて、223病院が新規届出をし、合計1,114病院となっている。改定前の同加算1の届出数は2,145病院だったことを考えると、当面増加基調が続くことが考えられる。それは、ポリファーマシー対策に取組む病院が増えると共に、地域への連携が増加することを意味する。
なお、医療機関からの要請に基づく連携としては服薬情報等提供料もある。病院との連携の観点からは服薬情報等提供料3に注目したい。医療連携は「前方連携」「院内連携」「後方連携」の3つに分けられるが、この中で「前方連携」に対する評価に該当し、調剤報酬による評価となる。
服薬情報等提供料3とは、医療機関から入院予定患者等の処方箋と一緒に服薬調整に関する依頼文書を渡し、入院予定患者等の服薬調整をして、入院や所定の診療までにその一覧表を病院に連携するもので、持参薬確認を薬局に協力してもらい病院側の負担を軽減するというもの。内服薬を6種類以上服用している患者を早い段階から見つけることができ、薬剤総合評価調整加算での早期介入ができる。
地域医療構想の進展で病床のボリュームは確かに経過を上回る成果につながる一方で、診療密度の問題はまだ残っている。服薬情報等提供料3は、調剤報酬による評価なので、病院でに対する評価はないが、医療従事者の働き方改革・生産性向上による診療密度の向上に間接的に薬局が貢献するものだと言える。医療機関側からの積極的な働き方がポイントだ。
また、医療機関の負担軽減を薬局が担う観点から吸入薬指導加算の見直しも改めて確認しておきたい。令和8年度調剤報酬改定では、3ヵ月に1回から6カ月に1回へと算定回数が見直された。だがその一方で、早くもインフルエンザ流行が始まり、受診者数も増えている。今後、インフルエンザ吸入薬の投与の機会も増えてくることが考えられるのだが、吸入薬指導加算では、このインフルエンザウィルス感染症患者も対象となり、医師の了解のもと、薬局での指導が評価される。注意が必要な点としては、必ず薬剤師の目の前で薬局内で吸入を完了させること、処方医にフィードバックすることなど。なお、薬局内で二次感染防止のための場所を確保できない場合、薬局の敷地内の駐車場に止めた患者の車の車内を利用することは可能と考えられている。
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服薬フォローアップを改めて理解する
服薬情報等提供料1及び2は薬局薬剤師による服薬フォローアップを評価するもの。提供料1は長期処方患者はもちろんのこと、処方内容の変更や新たな医薬品を処方するなど処方医が気になる患者に対するフォローアップで、提供料2は長期処方やリフィル処方といった受診間隔が空いている慢性疾患患者の他薬剤師の判断で必要と感じた患者に対してのフォローアップだ。ここでいうフォローアップとは、患者に電話等で連絡をし、その結果を所定の記録にまとめて、処方医にフィードバックするまでをいう。同じ服薬フォローアップの評価である調剤後薬剤管理指導料も同様だ。一方で、似た評価にかかりつけ薬剤師フォローアップ加算があるが、こちらの場合は処方医へのフィードバックまでは求められていない。ゆえに、かかりつけ薬剤師フォローアップ加算の対象患者で、処方医にフィードバックまですることで3か月に1回は服薬情報等提供料が併算定できると考えられている(かかりつけ薬剤師フォローアップ加算を算定しない付は服薬情報等提供料のみ)。
服薬情報等提供料の算定実績は地域支援・医薬品供給対応加算の実績要件にあることからわかるように、かかりつけ薬剤師に求められる重要な役割であることが分かる。また、本年4月、長期処方及びリフィル処方に関するKPIを設定している。そして、高齢者の窓口負担の見直しや一部保険外療養を来年3月から開始するなど、病状が安定していると考えられる高齢患者を中心に、受診頻度を減らすような取組が今後行われていくことになっている。懸念されるのは、受診頻度が下がることによる重症化の懸念だ。そうした懸念を現実のものとしないために、薬局薬剤師のによるフォローアップ、時には受診勧奨が必要になってくる。
参照:高齢者窓口負担割合の見直しに関する議論のキックオフ、増加傾向にある高額レセプト、現状ルールの仕組みで対応できること〜診療報酬改定後、療養・就労両立支援指導料 相談支援加算は139施設の増加〜
場所や処方箋枚数に依存した経営から、長期処方時代を見据えた服薬フォローアップへの積極的な取り組みや医療機関のスタッフの負担軽減と診療密度を間接的に高めるための取り組みの比重を高めていくことが新たな地域医療構想で期待される薬局の主な役割といえるだろう。令和8年度診療報酬改定は新たな地域医療構想との整合性を図る内容となったが、調剤報酬改定も新たな地域医療構想で薬局に期待することとの整合性を図ったものとなっている。








