令和8年10月20日、日本病院会、全日本病院協会及び日本医療法人協会に加盟する全病院を対象とした「2026年度病院経営定期調査 中間報告(集計結果)」が公表されている。回答数は848病院となっており、病床規模別にみると200床未満病院が394病院(46.5%)、200床~400床未満病院が255病院(30.1%)、400床以上病院が199病院(23.5%)となっている。病床区分別にみると、一般病床(一般病床が80%以上)が589病院(69.5%)、療養・ケアミックス(療養病床が80%以上、もしくは一般病床+療養病床が80%以上)が185病院(21.8%)、精神病床が44病院、その他が30病院となっている。

 なお、本調査は「中間報告」とあるように、まだ途中の段階だ。今冬中にも最終結果報告が行われる予定だ。


2026年度病院経営定期調査 中間報告(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会)



2026年度病院経営定期調査 中間報告(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会)


参照:2026年度病院経営定期調査 中間報告(日本病院会)


 本調査は2024年度と2025年度の年度比較と2025年6月と2026年6月の比較について集計されている。ここでは、令和8年度診療報酬改定の影響を把握し、今後を見通すことを目的に、後者の2025年6月と2026年6月の比較に着目して確認したい。



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規模が大きいと考えられる急性期病院では収益が改善しているが、医業費用も増加

 令和8年度診療報酬改定の特徴としては、救急受け入れを積極的に行い、難易度の高い手術等を積極的に行う病院に対する手厚い評価、があげられる。実際、今回の調査結果を見ると、DPC対象病院と対象外病院比較すると、診療単価に差があることが分かっている。



2026年度病院経営定期調査 中間報告(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会)


 

 また、おそらく規模が大きく高度急性期病床の比重が高い病院が多いであろう設置主体が自治体・公的の病院の医業収益を見てみると、2025年6月度より約10%増となっている。私的医療機関についても平均病床数347床となっているが、こちらも医業収益は10%を超えている。ベースとなる基本診療料の引上げと物価対応料の新設、急性期病院入院料への転換による診療単価の向上や外科医療特別加算の算定などの影響が考えられる。

 ただその一方で、医療費用は5%を超える上昇となっている。人件費については、特に自治体立病院で大きな上昇となっている(人事院勧告に基づく給与引き上げに応じるためにベースアップ評価料にプラスして病院側が支払う必要があるのが理由と考えられる)。水道光熱費については、補助の影響もあり前年度よりは抑え込まれている。


2026年度病院経営定期調査 中間報告(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会)



 病床区分別にみると、より急性期が多いであろう一般病床では医業収益の改善が進んでいるが、先ほどと同様に医業費用が他の区分と比べて大きくなっている。

2026年度病院経営定期調査 中間報告(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会)



 全体の傾向・結果としては、2025年6月度よりも赤字病院の割合は減少している。しかし、医業利益でみると赤字病院の割合はまだ55.4%もある。

2026年度病院経営定期調査 中間報告(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会)

 あくまでも診療報酬改定直後の6月時点の情報だ。毎月1日本ブログで施設基準情報の推移をお伝えしているが、急性期病院一般入院料(特に急性期病院B)は毎月増加しているし、地域包括医療病棟入院料及び包括期充実体制加算の届出も増加している。もう少し経過を追っていくと、改善度合いは変わって見えてくるのではないかと思う。


参照:マンスリーレポート



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今後について考えておきたいこと

 令和8年度診療報酬改定で新設された物価対応料、ベースアップ評価料の見直しでは、来年6月以降、さらに点数を引き上げることになっているが、骨太の方針2026では。経済状況を鑑みて増減を検討することとなっている。減る可能性ももちろんあるが、今回の調査結果からは引き上げとなる可能性の方が高いと考えられる。また、昨年のように緊急的な対応として令和8年度補正予算による手当、電気代・ガス代の負担軽減策なども考えられるだろう。ただ、こういった緊急的な対応については、来年度以降はかなり少なると考えられる。それは、骨太の方針2026にもあるように、補正予算ではなく当初予算でしっかり対応していく方針が示されていることだ。補助金等をあてにしない姿勢が大切だ。



参照:骨太の方針2026より、医療分野に着目 ~地域住民の健康増進に資する薬局機能・薬剤師の役割強化を、社会保障改革工程表を今年度末までに~



 そう考えると、改めて診療報酬のトレンドに合わせた経営を意識していくことが必要になる。今回の診療報酬改定は、新たな地域医療構想との整合性を図る内容であり、冒頭でお伝えした地域の拠点的な機能を担う病院の下支えするものとなっている。従って、診療報酬のトレンドに合わせるということは、新たな地域医療構想に合わせることにも近くなる。

 なお、地域の拠点的な、というのは何も高度急性期機能や大規模な病院だけを指しているわけではない。例えば、包括期充実体制加算であったり、回復期リハビリテーション強化体制加算、在宅復帰機能強化加算といった「〇〇充実体制加算」「〇〇強化加算」など、実績のある機能を持つということだ。それは、地域での役割分担と尖った機能を持つ同業者から選ばれる病院、と言える。



参照:地域医療連携の主な形態から考える、新たな地域医療構想への備え



 機能を尖らせること、役割分担の連携をすることには時間をかけて醸成していくものだ。取組が遅くなれば、醸成も遅くなる。時間がかかることこそ、早く取り組む必要がある。