令和5年5月26日、「令和5年第7回経済財政諮問会議」が開催され、骨太方針2023に向けた議論、とりわけ社会保障関連に関する議論が集中的に行われた。6月の閣議決定に向けて、いよいよ大詰めを迎えようとしており、骨子案も提示されたところ。
厚生労働省から現状の課題と取組の方向性について資料が提示されている。
診療報酬・介護報酬・障害者サービス報酬のトリプル改定を契機に、医療・介護の連携を深め、サービス品質と効率性を高めると共に、賃上げにつなげることも視野に入れている作りになっており、報酬の引き上げを考えていることが示される内容となっている。また、地域医療構想を2025年以降もさらに推進するための取組と共に、医療法人・介護事業者の経営情報データベースの構築を急ぐことも記載している。
財務省からも、春の建議の議論の中から医療・介護に関する論点について資料が提出されている。
地域医療構想をさらに推進するための法制度の見直しについて記載があるが、医師偏在対策も踏まえて、新規開業規制にまで踏み込んだ内容となっている。またリフィル処方箋の活用促進についても記載がある。
有識者議員からも提案があった。注目すべきと思われるポイントのみだが以下に列挙しよう。
・地域医療構想は、2025年の目標年限に対して都道府県の権限強化等だけでは進展が不十分であり、改めて実効性が確実に担保できるよう法制上の措置を講ずべき。
・24時間を通じ、妊産婦から小児、高齢者までの幅広い層や様々な診療・介護ニーズへの対応を行うには、医師を含む多職種連携によるグループがかかりつけ医機能を担うことも推進すべき。
・国民が適切な医療機関を選択できるよう、医療機能情報提供制度を拡充すべき。
・薬価改定では、新薬の薬価算定の改善や特許期間中の更なる薬価特例など新薬創出を強力に後押しすべき。同時に、長期収載品の負担やその他薬剤自己負担の在り方等、保険制度の持続性確保に向けた見直しを進めるべき。
・医療法人の財務情報のデータベースは、できるだけ早期に全ての保険医療機関へと対象を拡大すべき。さらに、保険給付の内外にかかわらず医療・介護サービスを包括的に捕捉できる国際基準(OECD Health Expenditure)での速やかなデータ整備と公表の早期化を実現すべき。
・医療サービスの質の地域差是正・標準化による一人当たり医療費の地域差半減、医師・薬剤師の連携等によるリフィル処方箋の所期の効率化効果の達成、OTC医薬品・検査薬の拡大、バイオシミラーの研究開発・普及促進等、改革工程表の施策を着実に推進すべき。