令和7年1月14日、第641回中央社会保険医療協議会が開催されている。今回の議論は、前回提示された物価高対策に対する詳細な議論と改正医療法改正への対応、重症度、医療・看護必要度における内科系症例の受入れを底上げする評価の考え方について。また同時に、これまでの議論の整理も取りまとめられ、いよいよ短冊の公開、答申に向けて大詰めを迎えている。


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薬局内のオンライン診療受診施設、へき地等医療資源が少ない地域で可能に

 改正医療法でオンライン診療受診施設が新たに設けられ、届出が必要になるが、薬局での届出も可能となることから、その是非について議論になっていた。


参照:保険診療の受診が可能なオンライン診療受診施設を保険薬局で開設することの是非。骨塩定量検査の測定間隔の適正化も議論。


 今回の議論では、保険薬剤師療養担当規則において保険薬局とオンライン診療受診施設の一体的な構造・経営の禁止、経済上の利益の提供による誘引の禁止について新たに明記する方向となった。ただ、医療資源が限られた地域においては、薬局内にオンライン診療受診施設を設けることについては可能とする方針だ。



内科系症例を底上げする重症度、医療・看護必要度の見直し、手術無し症例の多い病棟で重症者割合が大きく増える。課題は、該当患者割合の基準値の設定をどうするか

 令和8年度診療報酬改定で大きな注目の一つとなっている重症度、医療・看護必要度の見直しについて。具体的には、手術を必要としない者の多くの検査が必要となる高齢患者の受入れへの対応を評価する見直しで、内科系症例を底上げするもの。ポイントはA・C項目の評点の見直しや追加、救急搬送受入実績を加味するというもの。

 今回、そのシミュレーション結果がしめされた。なお、地域包括医療病棟については、A項目3点以上ではなく、2点以上としてシミュレーションをしている。結論としては、救急搬送の受入れを積極的に行う病院で手術なし症例の多い病棟では、重症者割合(看護必要度該当患者割合)が大きく向上する、という結果だった。








 こうした結果から、A・C項目の追加及び地域包括医療病棟におけるA得点を2点以上もしくはC得点1点以上とすることと救急搬送受け入れ実績を加味する方向でまとまった。ただ問題は、該当患者割合をどうするかということだ。重症の基準を見直したこともあり、ある程度の割合の引上げも考えられるだろう。



看護職員処遇改善評価料は名称変更の上、存続の見通し。ベースアップ評価料も同様に。

 看護職員処遇改善評価料を廃止し、入院基本料やベースアップ評価料に包括する可能性も議論であったが、今回の議論では存続する見通しが明らかとなった。ベースアップ評価料も同様に存続、名称変更される。

 また、届出に必要な事項を厳選して簡素化を図ることや賃金改善計画書の廃止、算定区分の再計算を従事者数や診療回数・日数に大きな変動があったときのみ任意に行うこととするなど負担の軽減を図る方針だ。




 なお、ベースアップ評価の今後の在り方についての方向性も示されている。

 まず、入院に関しては前回改定分のベースアップ評価料と今回の賃上げ余力・回復分を入院料に包括した上で引上げ、令和8年度診療報酬改定でのベースアップ評価料をさらに評価するというもの。なお、現在ベースアップ評価料を届出していない場合は、引き上げられた入院料から相当分を減額する。

 また、今回からは対象者は拡充され、事務職員・看護補助者の他、前回は入院基本料で措置賃上げの措置が行われた40歳未満の勤務医等も加えられる。







 外来については、診療所はベースアップ評価料の届出が全体の4割程度と低調であることから、初診・再診料に包括するのではなく、前回改定分・今回改定分として評価する方針だ。なお、ベースアップ評価料(Ⅱ)については継続となる。





  また、薬局(調剤報酬)については、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)を参考に、目標とする賃上げに必要な金額の中央値に基づいて、調剤基本料1回あたりの新たな評価を設ける方針も明らかとなった。



物価高対策の新加算、算出の基礎的な考え方が示される

 物価高に対する新たな加算を設定する方針が前回の中医協で固まったところ。だが、具体的な数字や算出の基礎的な考え方が示されていなかった。


参照:物価高対策として基本診療料を引き上げた上で新加算も新設し、経済見通しに合わせて令和9年度は新加算を2倍に引き上げ対応も。先行バイオ医薬品の選定療養への追加は見送りの公算が高まる


 外来(診療所・病院)に関しては前回方針・考え方と大きな違いはないが、入院については、⼊院料の5区分ごと(特定機能病院・急性期・回復期・慢性期・精神)に⼊院1⼈1⽇当たりの物件費・委託費を算出、その結果、導き出した物件費:年2.0%・委託費:年3.2%をそれぞれ一日当たり診療報酬に乗じて物価上昇分を算出する考えが示された。



 

 考え方についてはまとまったといえる。ただ、やはり複雑だ。また、医療機関の立地や機能によってはギャップも大きく、どこまで補填できるか、補填が過剰になることも考えられる。今後の議論は引き続き注視しておきたい。