令和5年4月からの診療報酬の特例について、これまでの経緯と点数を含めて確認しておきたい。
●医療情報・システム基盤整備体制充実加算の点数見直し
令和4年4月の改定で「電子的保健医療情報活用加算」として、オンライン資格確認の体制を評価するものとして新設されたものの、患者の負担が上がることに批判が集まり、同年10月には「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」と見直され、オンライン資格確認体制のある医療機関での受診に際しての患者負担はオンライン資格体制のない医療機関の受診に比べて低いものとなった。さらに、初診のみの対応で、再診は対象外に。
その後、国を挙げての医療DXの積極的推進とスピードアップを図ることとなり、年末の令和5年度大臣折衝などを通じて、「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」をさらに見直し、今度は患者側にマイナンバーカードに保険証の機能を紐づける「マイナ保険証」化を促す内容となった。これまでは、医療機関側にオンライン資格確認体制の構築を求める内容だったといえるが、今回の見直しは患者側に行動変容を促すような内容ともいえる。
なお、あくまでも特例措置ということで、令和5年4月から同年12月までの期間限定の対応となる。医療機関側からも患者に対してマイナ保険証に関する説明など、今から準備しておきたい。合わせて、オンライン資格確認の受付・受診業務のフローなど改めて確認すると共に、健診情報・薬剤情報の確認をしたことを記録上に残せるようにしておく必要があるだろう。
●医薬品の安定供給問題への対応としての後発医薬品に関する見直し
後発医薬品の製造に関する一連の不祥事に端を発し、いまだに安定供給に問題が続いている。そうした問題への対応への協力推進を名目に、後発医薬品に関する診療報酬への特例措置が設けられることとなったもの。こちらも令和5年4月~同年12月までとなっている。
後発医薬品については、令和6年度からの新たな医療費適正化計画においてバイオシミラーを含めた後発医薬品の使用促進策が盛り込まれる見通し。バイオシミラーについては、令和4年度中に数値目標を設定・公表することとなっている。例えば、今回の特例措置の対象となる「後発医薬品使用体制加算」は入院基本料に対する加算だが、バイオシミラーも後発医薬品として対象カウントになり、外来を含めた医療機関全体での使用割合をあげていくことがポイントになる。今回の特例対応を機会の一つととらえて、医療費適正化への対応を促進する体制作りにしたいところだ。
近年、中医協の意向とは関係なく、政治に近いところからの介入が増え、中医協自体の在り方が変わってきつつあるように感じる。今は、新型コロナ蔓延の緊急事態でスピードが求められるから、という特殊・臨時的なことであればいいのだが。