令和5年度予算案が閣議決定 ~医療関連のポイントを確認~

1/04/2023

ニュース解説

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令和4年12月23日、令和5年度の予算案が閣議決定された。すでに多くのメディアでも報道されている通り、一般会計の総額は過去最大を更新する内容。防衛費の増額が注目を集めているが、医療関連を含む社会保障費も過去最大となっている。高齢化に伴う社会保障関係費の伸びは4,100億円とされているが、これは概算要求時点よりも1,500億円圧縮されている。主な内訳として、薬価の引き下げで722億円を織り込んでのことだ。


医療関係に着目して予算のポイントを確認しながら、令和5年度の取組方針の参考にしたい。


医療介護DXの推進について

全国医療情報プラットフォームの構築に向け、デジタル庁とも連携をしてマイナ保険証の推進と環境整備に努めると共に、電子処方箋の運用や電子カルテ情報の標準化について予算を割いている。電子カルテ情報の標準化とは、「医療DX令和ビジョン2030」や骨太方針2022でも大きくうたわれているが、「HL7 FHIR」をベースとした情報共有のこと。電子カルテを標準化するという意味ではなく、電子カルテに記録・蓄積された情報を外部と共有するための連携の標準化。医療情報化支援基金において、400床未満の医療機関に対するHL7 FHIR規格に準拠した文書の入出力に対応した電子カルテ導入や更新に補助ができる予定だ。また、小規模医療機関に向けた電子カルテの開発に向けた調査も実施する予定となっている。

参照)

医療DX令和ビジョン2030の実現に向けた初会合が開催される

医療DX推進本部初会合、関係省庁の取組方針を確認する


そして、サイバーセキュリティ対策について。ソフトウェアだけではなく、医療従事者の知識の向上や、被害にあったとしても早期に診療を再開できるための対策が必要だ。

参照)

医療機関におけるサイバーセキュリティ対策の基本方針が公表される

サイバーセキュリティ対策、200床未満の病院では「サイバーセキュリティお助け隊」を!




地域医療構想の推進について

現状の地域医療構想は2025年の必要病床数を基に策定され、取り組まれている。2025年以降も新たな目標を設定し、取組が進めされていくこととなるが、ポイントとなるのは「かかりつけ医機能」となる。現状の地域医療構想は主に病床の役割が主になっていたが、ある程度の病床整理ができたという前提で、今後は在宅を含む外来機能の在り方、病棟と外来/在宅の一元化、すなわち地域医療連携推進法人などをはじめとする地域全体で住民をカバーする体制創りを目指すこととなる。自院の外来機能について、さらにほかの医療機関との外来機能分化について改めて確認をしておきたい。

参照)

地域医療構想を巡る最近の話題を整理 ~重点支援区域、独法化と指定管理者制度、アマゾン~


また、健康寿命を3年延伸する、というキーワードの基、糖尿病性腎症の重要化予防やワクチン接種・相談体制なども重要なポイントだといえる。例えば、高齢患者の退院時に肺炎球菌ワクチンの接種歴などを確認し、接種を進めるなどの体制創りなども検討しておきたい。なお、がんと並び循環器病対策に関する予算も計上されている。特に、循環器領域については2030年に心不全パンデミックが発生する可能性も指摘されていることから、医療従事者においても心不全療養指導士などの資格取得なども含めた専門知識等を習得するための学びの機会を医療機関からリスキリングの一環として、賃上げにつながる支援として提供することなども検討したい。


就労支援と働き方改革について

2040年問題と言えば、団塊の世代の皆さんが90歳を超える、その一方で少子化の進展でそれを支える人が減る、だから本格的な高齢者化が始まる、と言われている。それに付け加えることがもう一つある。それは、就職氷河期世代の皆さんが65歳以上になる、ということだ。社会保障を維持していくには、経済成長は必須であることから、今後財政面において大きな課題になる。そこで、就職氷河期世代の働く場作りも重要だ。また、多様な働き方を受け入れていく上では、社会保険の適用拡大も整備し、出産・子育てができる環境を作っていくことが必要となる。こうした取り組みはすぐに結果が出るものではないので、いち早く進めると共に、結果が出るまでの間を何とかつなぐための施策が必要だ。そこで、処遇改善に関する取組であったり、障害者の就労支援、外国人労働者の支援なども引き続き行っていかなければならない。

働き方改革とは、労働時間の上限規制ではなく、生産性向上であることを改めて理解したい。

参照)

全世代型社会保障構築会議報告書より~かかりつけ医機能の在り方、医療におけるリスキリングの推進などに注目~




今回の閣議決定については、令和5年1月27日からを予定する通常国会に提出され、決定となる予定だ。

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