高齢患者の充実した急性期入院に関する新たな評価の検討。慢性心不全患者の退院後の療養支援など入退院支援の充実化を。

12/16/2023

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 令和5年12月15日の第573回中医協総会の資料が公表されている。テーマは、在宅医療(訪問看護等)・入院(入退院支援・栄養管理、高齢者救急)・歯科医療・オンライン診療・長期収載品となっている。ここでは、入院(入退院支援・栄養管理、高齢者救急)について確認したい。

〇入退院支援について

書類作成や情報提供などをデジタル化することで医療従事者の負担軽減を推進するとともに、施設を飛び越えた連携促進・情報共有を促すべく、今回の診療報酬改定では医療DXを促進する内容が盛り込まれることになっている(参照:医療DXの推進を「コスト」ではなくリターンのある「投資」となるよう、診療報酬で評価を。)。退院時の情報を連携していくことで退院後のフォローをしていくことをこれまでも退院時共同指導料などを通じて積極的に評価してきていたが、入院前からの情報把握をして病棟で備えることも質の高い入院と早期退院を実現していくには重要だ。そこで、入退院支援加算そしてその加算である入院時支援加算がある。入退院支援加算については、急性期一般入院料等の急性期病棟の多くで届出があるが、地域一般入院料や療養病棟入院料等では入退院支援加算の届出は少なく、入退院支援部門の設置もないことが分かっている。


地域包括ケアシステムの基本的な考え方である「日々在宅、時々入院」を実現していく上では、入退院支援部門を設置し、入院前の情報と退院時の情報を医療DXによる情報共有の推進について検討された。要介護認定を受けている高齢患者の入院においては、介護支援専門員との情報共有が特に重要となることから、その書式の見直しなど具体的に検討されている。


また、連携する先についても議論が及んでいる。これまでの中医協でも、連携先については単に件数だけではなく、その内訳別の件数についても検討されたが(参照:地域への接近強化、地域包括ケア病棟・回復期リハビリテーション病棟の質的向上をどうやって評価するか?)、今回の議論でも連携先について、とりわけ、急性期一般入院料1では連携する医療機関が少ないケースや障害福祉サービス事業所が0施設というケースがあった。連携先については、その内訳に着目した要件設定がなされることとなりそうだ。特に、障害福祉サービスについては、利用者数が増えていることもあり対応が急務といえる(参照:障害福祉に関する現状、医療機関との連携の視点)。



その他今回の議論では、入院前の支援強化の観点から、入院時支援加算に着目し、現状の加算2を廃止して、加算1に一本化することで入院前の情報把握や褥瘡のリスク判定などを充実化することで平均在院日数の短縮化につなげることや、退院後の継続フォローとして、慢性心不全患者に対して退院後1か月間の集中的な療養支援を行うことによりセルフケア行動が改善し再入院の回避に有効であることが示されていること等から、在宅療養指導料の対象に退院直後の慢性心不全患者を追加し、ガイドラインに基づく支援を評価することについても議論されている。



〇栄養管理について

栄養管理については、今回診療報酬改定において重視されているポイントの一つだ。今回は、先の入退院支援に関する議論に連動するかのように、退院後の生活を見据え、入院患者の栄養管理体制の充実を図ることを目的に標準的な低栄養の基準やDPCデータ等の活用について、さらに退院時も含めた定期的な栄養状態の評価を推進することについて議論が行われたところだ。栄養状態の評価の平準化、退院時の栄養情報提供加算の積極的活用の後押しとなる評価が期待される。




〇高齢患者の救急入院について

下り搬送、高齢者救急など人口に占める高齢者割合がたかまり、高度急性期・急性期入院における高齢患者割合が高まり、診療報酬でも支援できるような様々議論が行われてきている。先日は、救急外来経由による下り搬送に関する大まかな考え方が示されたところだ(参照:下り搬送の評価の方向性が明らかに。集中治療室での負担軽減と医療の質の維持にTele-ICUの利活用の評価を検討へ。)。しかしそこで、課題とされているのが、搬送先となる医療機関の体制。当初は、サブアキュート機能を強化した地域包括ケア病棟を期待し、手厚い人員配置等を加算で評価することなどで体制整備を考えられていたところだが、看護配置が13:1であることや在宅復帰機能を強化している場合は救急患者の受入れに課題があるケースもあることが分かっており、搬送先の十分な確保が地域によっては難しくなると考えられていた。そこで今回の議論では、厚生労働省より、急性期一般入院料2-6を主な対象とした高齢患者の救急対応を強化するとともに、リハビリテーション、栄養管理、入退院支援、在宅復帰等の機能を包括的に担うことを評価新たな病棟の類型の検討について提案がなされたところ。


これまで中医協では、休日リハビリテーションの評価やADL維持向上体制等加算の評価の充実化なども議論され、今回の中医協では入退院支援及び栄養管理体制についても合わせて議論されてきている(参照:骨太方針2023に記載された「リハビリテーション、栄養管理及び口腔管理連携・推進」を診療報酬で ②リハビリテーションの視点)。こうした議論されてきたことを取り入れた新たな高齢患者対応の急性期病棟の評価類型となりそうだ。ただ気になるのは、地域包括ケア病棟との違い。点数及び要件次第だが、地域包括ケアケア病棟からの移行が増え、看護配置及び重要度、医療看護必要度の基準を満たすために病床規模を縮減する病院が増えることなども考えられる。そうなると、地域医療のバランスが崩れてしまいかねない。地域医療構想調整会議などの協議の場での合意なども要件に加える可能性なども注視しておきたい。

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