生活習慣病対策にDXで医師の負担軽減を、多職種連携・長期処方/リフィル処方で患者の負担軽減を。メリハリを効かした外来診療の評価を検討へ。

12/10/2023

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 令和5年12月08日の第571回中医協総会の資料が公表されている。テーマは、医療DX・人生の最終段階のケア・明細書・生活習慣病対策・処遇改善・入院時の食費となっている。ここでは、生活習慣病対策を軸に、医療DX・明細書について確認する。

生活習慣病対策としては、具体的に生活習慣病管理料と特定疾患療養管理料に関する扱いが焦点になっている。また、病状が安定している患者であれば、長期処方もしくはリフィル処方箋での対応を促すことが検討に上がっていたが、今回もその議論が継続されている。

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当日は医療DXに関する議論が行われており、その中で医療情報に関する電子的な共有の取組について確認されると共に、生活習慣病管理料における療養計画書の簡素化(具体的には血液検査の項目については患者も含めて情報共有が可能なので、記載しなくてよいなど)について提案されている。



また、電子カルテ情報共有サービスとマイナポータルを連動して、治療上のアドバイスを患者と共有する仕組みとして患者サマリー(「外来の記録」と「6情報」を組み合わせた情報。あくまで患者に共有するためのもので、他の医療機関には共有しないが、患者が自らの判断で他の医師に見せることは可能)を運用することになっている。


本年成立した改正医療法では、令和7年度から患者の求めに応じて文書等で説明をすることが努力義務として求められるようになることもあり、生活習慣病管理料の要件に患者への説明文書の交付を加えることについて提案されている(現在は療養計画書の交付のみ)。患者サマリーの運用である程度カバーできるように感じられるので、患者からの求めに関係なく、患者サマリーの作成を要件とすることなどは将来的に考えられるかもしれない。


今回の議論で注目したのは、受診間隔について。生活習慣病管理料については、月に1回の受診が必須となっているが、生活習慣病の患者は2-3か月の間隔の受診者がいることと、リフィル処方箋の発行状況を見ると、糖尿病・高血圧症といった生活習慣病患者が多いのが分かっていることから、患者の状態に合わせて受診間隔を広げることと、リフィル処方箋の利用促進をすることについて提案がなされている。




なお、令和5年11月22日、第566回中医協総会(参照:バイオシミラーの使用促進を入院でも。リフィル処方箋の推進は患者への周知を評価する方策を。)では、リフィル処方箋と共に、特定疾患処方管理加算(生活習慣病等を対象に28日以上の処方を評価)について、28日以上の処方を評価する新たな区分の提案があったことも考えると、それがリフィル処方箋であるかどうかは関係なく、病状が安定している患者や軽症患者の受診間隔を広げるための施策は導入されることにはなりそうだ。そう考えると、患者と会う頻度が少なくなるため、患者の変化や服薬状況・副作用の有無などの確認が難しくなる。薬局では、調剤基本料の更なる引き下げと対人業務の評価拡充が今回の改定でも進むことが考えられていることもあるので、薬局薬剤師との連携を強化して、服薬フォローを通じた患者の状況確認と共に、受診勧奨を促すための関係構築を進めておきたい(参照:調剤報酬のトレンドは、対人業務の質と比重を高める方向に突き進むこと)。


その他、診療ガイドラインに沿った生活習慣病対応についての検討では、プログラム医療機器の活用・評価の例なども挙げられ、特定疾患療養管理料と生活習慣病管理料で疾患が重複する高血圧症・糖尿病・脂質異常症についての今後について議論された。確かに、重複していることから、わかりにくさはこれまでもあったが、特定疾患療養管理料は幅広い慢性疾患の初期段階の重症化予防の評価、生活習慣病管理料は重症化が進み専門的な診療が必要な対応の評価、と考えると少し整理はつくので、患者の状態などを明確化した対象の線引きや項目名称の見直し(令和10年以降に明細書は義務化する方針が同日の中医協でほぼ了承を得られたこともあるので、患者にわかりやすい表現などが必要になると思う)など考えられるのではないだろうか。


その他、診療ガイドライン等でも有効性が明らかにされている多職種連携について、生活習慣病管理料において要件等で追加していくことについても提案されている。例えば、糖尿病では管理栄養士の役割が大きく期待されているものの、看護師に比べて少ない。そもそも管理栄養士が採用されていないことが多い。そこで、外来栄養食事指導料2が前々回の診療報酬改定で新設され、他の医療機関や栄養ケア・ステーションからの派遣で実施・評価が可能となっているのだが、非常に少ない(参照:栄養サポートは地域で取組むもの ~地域の貴重な人材をシェアして重症化予防と経営支援~)。今回の診療報酬改定は、栄養管理も重要なキーワードとなっていることから、栄養ケア・ステーションそのものの認知度向上もさることながら、積極的な連携なども注目したいポイントだ。



栄養管理と同様に「口腔管理」もポイントだ。医歯薬連携として、歯科領域からの積極的なアプローチ・連携も検討が進んでいるところ(参照:医科歯科連携・医歯薬連携に関する評価の拡充へ)。すでに連携が一定程度進んでいることから、眼科との連携がすでに加えられているように、歯科との連携も加えられていくことは考えられる。


なお、看護師による関わりは多いことについて紹介したが、在宅療養支援に関する研修を受講することで、理解が深まり、より充実した療養支援が実現できる。受講の時間を確保することや定期的な研修などの要件もできるかもしれない点に注目したい。


多職種連携の観点では、慢性腎臓病(CKD)対策における早期チーム医療の介入が効果があるとの報告から、取組開始後の期間に応じた評価についても議論されている。


軽症患者やある程度自己管理のできる患者に対する外来診療と重症化リスクの高い患者への外来診療を明確にし、外来における医療資源の効率化を図ろうというのが狙いとみえる。地域医療構想の進展で、自宅も療養の場となってきている。入院医療でチーム医療・働き方改革を実施しているように、在宅を含む外来診療でも、患者の自宅を病床と考えた新しいレギュレーションを周囲の医療機関と連携して進めることが必要だ。

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